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代表取締役の不法な行為と労働者死亡に因果関係があるとされた例(平成26年1月15日名古屋地裁)

概要

被告会社の従業員として勤務していた亡従業員の相続人である原告らが、亡従業員が自殺したのは、被告会社の代表取締役及び被告会社の監査役の亡従業員に対する暴言、暴行あるいは退職強要といった日常的なパワハラが原因であるなどとして、被告らに対し、不法行為に基づき、被告会社に対し、会社法350条及び民法715条に基づき、それぞれ損害賠償金の連帯支払を求めた。

結論

一部認容、一部棄却

判旨


代表取締役の亡労働者に対する暴言,暴行及び退職強要のパワーハラスメントが認められるところ,代表取締役の亡労働者に対する前記暴言及び暴行は,亡労働者の仕事上のミスに対する叱責の域を超えて,亡労働者を威迫し,激しい不安に陥れるものと認められ,不法行為に当たると評価するのが相当であり,また,本件退職強要も不法行為に当たると評価するのが相当である一方、監査役が,亡労働者に対し,日常的に暴言,暴行をしたことがあるという抽象的なものにすぎないこと等から,監査役が,亡労働者に対し,日常的に暴言や暴行を行っていたということを認めるに足りる証拠はなく、本件暴行及び本件退職強要を直接行っていない監査役が,代表取締役と関連共同していたことを認めることはできず,代表取締役らの関連共同を認めることはできない。
代表取締役により短期間のうちに行われた本件暴行及び本件退職強要が亡労働者に与えた心理的負荷の程度は,総合的に見て過重で強いものであったと解されるところ,亡労働者は,警察署に相談に行った際,落ち着きがなく,びくびくした様子であったこと,警察に相談した後は,「仕返しが怖い。」と不安な顔をしていたこと等から,亡労働者は,従前から相当程度心理的ストレスが蓄積していたところに,本件暴行及び本件退職強要を連続して受けたことにより,心理的ストレスが増加し,急性ストレス反応を発症したと認めるのが相当であり,亡労働者は,上記急性ストレス反応により,自殺するに至ったと認めるのが相当であり,代表取締役の不法行為と亡労働者の死亡との間には,相当因果関係があるというべきであり,会社法350条により,会社は,代表取締役が亡労働者に与えた損害を賠償する責任を負う。

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