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地位確認等請求反訴事件③(平成27年6月8日最高裁)


概要

業務上の疾病により休業し労働者災害補償保険法に基づく療養補償給付及び休業補償給付を受けている被上告人が、上告人(学校法人)から打切補償として平均賃金の1200日分相当額の支払を受けた上でされた解雇につき、被上告人は労働基準法81条にいう労働基準法75条の規定によって補償を受ける労働者に該当せず、上記解雇は労働基準法19条1項ただし書所定の場合に該当するものではなく同項に違反し無効であるなどと主張して、上告人を相手に、労働契約上の地位の確認等を求めた事案の上告審。

結論

破棄差戻

判旨

労働者災害補償保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者は、解雇制限に関する労働基準法19条1項の適用に関しては、同項ただし書が打切補償の根拠規定として掲げる同法81条にいう同法75条の規定によって補償を受ける労働者に含まれるものとみるのが相当であるから、労働者災害補償保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても疾病等が治らない場合には、使用者は、当該労働者につき、同法81条の規定による打切補償の支払をすることにより、解雇制限の除外事由を定める同法19条1項ただし書の適用を受けることができるものと解するのが相当であるところ、法人は、労災保険法12条の8第1項1号の療養補償給付を受けている元従業員が療養開始後3年を経過してもその疾病が治らないことから、平均賃金の1200日分相当額の支払をしたものであり、同法19条1項ただし書の規定により本件について同項本文の解雇制限の適用はなく、本件解雇は同項に違反するものではないというべきである。

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