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ポエム帳

90
酔っぱらったときに書きます。
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2018年6月の記事一覧

みずうみ

君がいないひとりの夜が、どんなに淋しいか、それは月の出ている宵に、みずうみを覗いてみれば判るだろう。みずうみには青い花が咲いて、清い風が吹いて、おまけに鏡のわたしが映る。だけどわたしは泣いている。かなしげに眉をひそめて、唇とがらせて、ふたつの小さな瞳からは転がるように涙が落ちる。それがみずうみにぽつんと跳ねて、ああ、六月が終わったぞ。君のいる街の灯りは一体どんな色だろう?窓の外には月が見えるだろう

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あれから

あのさわがしい幸福から
もう一週間も経つんだね
笑いつかれた週末は
眠ることさえ口惜しいような
まばたきのできないひととき
こぼれるほどのふるさとの香りは
かなしいくらい穏やかだった
ぼくが気取らずに済むように
大人にならずに済むように
あの頃で部屋じゅう埋め尽して
迷い鳥のようなか細い声は
ビルの山には響かないだろう
けれどこの夜だけは
窓ガラスの中に野はらが咲いて
ぼくだって少年でいられた

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