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ポエム帳

90
酔っぱらったときに書きます。
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2017年1月の記事一覧

忘れないで

私のいない故郷では、今もそれぞれの暮らしが続いている。そこに私がいないという状態だけが、途切れることなく続いていって、いつか私がいたという事実だけが、額縁の風景みたいに色あせて飾られて、彼らは今日も、変わらずに生きている。憂鬱をこぼしながら週末には酒を交わし、夜と音楽に包まれながら生きている。ひょっとしてみんな、私がいなくたって平気なんじゃないか? そんな風に思う夜もあった。けれど私が望んだことだ

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xxx

あなたは止まり方を知らない汽車だ
いつも海ぎわの深い崖の上を走っていて
落下におびえながら最果てを目指している
なにも考えず向日葵のように
明るい方に顔向けて生きていけたらいいのだけれど
あなたは美しいものを見つけるのが上手で
そうしてあなた自身も美しい
けれど美しさは脆さの象徴のようでもあって
私の心の中にはいつも消えかけた線香の匂いがする
あなたの進む線路にはたくさんのスイッチが並べられていて

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