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あなたは止まり方を知らない汽車だ
いつも海ぎわの深い崖の上を走っていて
落下におびえながら最果てを目指している
なにも考えず向日葵のように
明るい方に顔向けて生きていけたらいいのだけれど
あなたは美しいものを見つけるのが上手で
そうしてあなた自身も美しい
けれど美しさは脆さの象徴のようでもあって
私の心の中にはいつも消えかけた線香の匂いがする
あなたの進む線路にはたくさんのスイッチが並べられていて
ほんの指先のON−OFFで
行き先は変わってゆく
どこに別れ道が隠れているのか
私にも判らないし
きっとあなたにも判らない
ただ私は少しでもあなたの未来へ先回りして
絶望へ向かうスイッチを見つけては
ひたすら切ってしまいたい
あなたが希望に灼かれる日まで
その荷台から淋しさという貨物を放り投げてしまいたい
疲れたあなたに為す術もなく
飲みかけのウイスキーをあおる私など
踏みつけられる線路の小さな花でしか
ないのかもしれないけれど……

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