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ポエム帳

90
酔っぱらったときに書きます。
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2016年9月の記事一覧

挽歌

陽射しのあたたかいのが嬉しかった
そのことが淋しかった
冷たい牛乳が腹にしみる
外に出ると、あ、もうお別れだと知った
申し訳なさそうに秋がきた
恋した女の代わりを務めるなんて荷が重いという風に
忘れさせることなんてできないという風に
けれど秋にだって思い出はある
体操着を着て紅白帽をかぶり
砂けむりの中を走り回っていたころ
空は今朝のように晴れ晴れとしていた
少し感傷的なにおいの立ち込める駅の構内

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瓶の底

瓶の底

 水色でいっぱいだった私の夏は、つまるところ炭酸が抜けきらないうちに飲み干されてしまったわけだ。鮮烈な時間ほどゆるやかに過ぎるというけれど、それでも時は止まりはしない。
 六月、七月、八月と、夏のめいっぱい濃厚な部分を味わいつくして、結末はいつも日暮れの色だ。後悔しているというんじゃないけれど、グッドバイは誰だって淋しいものさ。来年もまたくるねって、そんな保証はどこにもないし。
 駆け抜けてしまえ

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