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北風のメロディ


公園に散歩に出ました
空はとても青かったです


少年が野球をしているようです
空は青かったです


小鳥が散歩しているのかな
空は青かったです


数人の若い母親は
幼児を遊ばせながら
忙しく談笑しています
楽しい時間だといいですね
ベビーカーと空は青かったです


若い父親はボールをやさしく蹴り返しています
サッカーに興じた思い出を
息子にあつく語る空は青かったです

きっとあの日のように



草木が吸い込む空は青かったです


枯れ木のひと呼吸は光の休符のように時を止めるのですが
きびしい冬はお休みくださいと
優しい木が時間とお話しています

その枝に春をたくわえても
自慢もしません


ハナミズキの赤い笑みを
そうっと包む空は青かったです


ひとり寂しい心にさえも
空は青かったです


時が経ちましたね


見上げるたびに気がつくのは
生まれ故郷の父母の慈愛の深さ
受け取った手紙


あの日も空は青かったです

ある日の日に
不孝者の心にも
空は青かったです


ベンチにただ座るだけの私の休符は
だれからも見えないけれども
おそらく認識されない優しさに
涙は青かったです


目の前を通りすぎる素敵な若夫婦
その胸に抱かれた
幼子のあくびと希望の音符が
まるでピアノの音階です
イ音を奏でるのですね


空はこんなにも青かったのかな


公園は次世代のよろこびを歌うように晴れ渡るのです
原っぱの緑に青い空は


北風のメロディでみたされた


私の空は青く澄みわたるようです


空はいつでも青かったことが
何よりも嬉しかったです






ありがとう伝わる年はじめ
手のひらに
メロディのよう
空耳のよう

べじ句


ハナミズキの実


成人の日ですね
実りある一年になりますように




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