女を取り戻す

(※女性のアンダーウェアの話ですので、抵抗のある方は素通りしてくださいませ。)


女だと意識するとき。

それはたとえば、赤い口紅を差したとき。

あるいは、新しいヒールの靴を履いたとき。

もしくは、恋をしたとき。

それは、ひとそれぞれである。

でもふとした瞬間、「あ、女。」と思う。

性別が女かどうか、ではなく。

それと同時に、私は「女」を忘れるときも多々ある。

しなびた花を通り越して、オヤジになる瞬間。

オヤジ行動というものは結構、普遍的だとおもう。

それでも、

自然体ブームではあっても、死守したい「女」である一線。

それを超えたらもう戻れない気がする危うい一線。


それは、大昔のようにコルセットをぎゅうぎゅうに締めることではなく、

男性の三歩後ろを歩くことが当然であった時代に戻るということではなく。


私が「女」を意識するときは、アンダーウェアを見に行ったときである。

男性方々はちょっと引く内容ですね。

最近は、女性のアンダーウェア売り場で、男女のカップルを見かけなくもないけれど。

それでもたいていの男性的にはおそらく、男子禁制の香りが漂っているのではないだろうか。


先日その香り漂う場所に踏みいれ、商品を見ていると、店員さんが

「何かお探しですか?」

と尋ねてきた。

私は、ふむ…と一瞬間をおいて、

「スポーツブラよりエレガントで、普通のブラジャーより楽なもの、ありますか?」

と聞いた。

店員さんはにっこりと微笑み、

「お客様にぴったりのものがちょうどございます。」

と、

スポーツブラよりエレガントで、普通のブラジャーより楽な、ブラを持ってきた。

素敵なものである。

サイズ感も気に入った。

購入を決意したあと、ふと私は言った。

「実は最近、臀部がたるんでいないか不安なんです。でもガードルはちょっと抵抗があるし、そもそも普通のパンティだとずりあがってきてしまうんです。」

店員さんはまたしてもにっこりと笑って、

「確かにガードルに抵抗のあるお客様は多いんですよ。

そのため、ガードルとパンティの間のものがあるんですよ。

ちょっとお持ちしてみますね。」

そう言って持ってきたものは、

確かにガードルとパンティの間のものであった。

試着可能と言われたが、私は未経験ゾーンだったので、

「えっと…、もちろんパンティの上からですよね?」

なんて間抜けなことを聞いた。

きっと店員さん、「当然じゃん!」って思っただろうな。

試着してみると、そのフィット感、ずりあがり感のなさ、

それでいてエレガント。

4枚お買い上げした。


そこからがナントカ効果とかいうんじゃなかろうか。


スポーツブラやスポーツショーツをあっさり脱ぎ捨て、

毎日、エレガントブラをつけ、フィット感のあるこれまたエレガントガードルを履いているのである。


そしてそれからというもの、

姿勢もしぐさも、なんとなく、気を遣うのだ。

「女であること」。

それ以前に、大切なことというのは外見ばかりではない。

むしろ外見ばかり気にしているのは、

ちょっと、なんというか、アレである。

だって、内面が輝く人は、美しい人なのである。

外見がどうとかではなく、

美しい。


しかし、そんなストロング精神や美しい内面を常に保てない私には、

気を引き締める「何か」が時に必要だったりする。

お金をかけるかけないではなく。


まさにアンダーウェア売り場という場所は、

「女を取り戻す場」だな…。


しみじみ思ったものである。















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