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クリスマスのショートストーリー

クリスマスの朝。その時は突然訪れた。

これまで何年も全く心を開いてくれなかった青年が、背中を丸めながら僕に言った。照れくさそうにはにかみながら。

「あ、おはようっス」

僕は一瞬涙が出そうになるのをこらえながら、何とか笑顔を保って「おはよう」とだけ答えた。

充分だ。今はその一言だけで充分だ。思いはきっと通じる。心はいつか必ずつながる。心を開いてくれた青年のその勇気が、僕にはしっかりと伝わっている。

その一言だけで僕の胸はいっぱいだった。それなのに、青年は更に言葉をかけてくれたのだった。

「あと…メリークリスマっス」

(いや、それだとクリスマスの「ス」がどっか行っちゃってね?だからと言って「クリスマスっス」っつーのも何かおかしいけど。まあいいか、いやよくねーか。いやどっちにしても今言う事じゃねーか)

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見上げた空の高い高いところから、やわらかな白い雪が落ちて来て、僕の頬で溶けて水になった。こらえていた涙のように。

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僕からみなさんへ、クリスマスプレゼント代わりのショートストーリーです。「相変わらずどうでもいいことばっか考えてるんだなロケットは」と思いましたか。

お言葉を返すようですが、俺、ロケットじゃねーし。

メリークリスマス & ロックンロール!

25th Dec. 2023
ミサイル・クーパー

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