身内が癌になったとき一番最初に行くべきなのは「資格」の棚なのかもしれない。

必要があり癌関連の本を探したのだけれども、本屋さんに行き健康や癌に関する棚を見るとあからさまに胡散臭げな本の魔窟と化していて眩暈がした。よしんばこの中に本当に信頼に値する本があったとしてもこの混沌の中から正しい本を選び取るのは不可能に思われた。

そもそも、治療をショートカットする裏技が知りたいわけでもないし、乾季に雨を降らせるおまじないが知りたいわけでもない。もっとこれからの判断のベースになるような体系的で正しい知識が欲しいのだ。

一旦癌の棚を離れ途方に暮れながらふらふらしていると「資格」の棚に看護師の教科書などを扱っている一画があり、その中にまさに癌についての本がある。中を開いてみると図版が多く、体系的な分類、診断・治療のフローチャート、各治療法のメリットデメリットが詳細に載っていてしかも分かりやすい。私が買った本はおそらく入門書のような内容なのだと思うが、さらに詳しく知りたい場合次に読むべき文献も載っている。

おい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

これでいいじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!

あまりにもあっさりと知りたいことが不足なく載っていて、店内で取り乱しそうになった。看護師さんが勉強で使う書籍を読むのが一番信頼できる情報を得られる、というのは考えてみれば当たり前だけれど、なかなか自分や身内が癌になったとき「資格」の棚を見ることはないだろう。そして当たり前のように「健康」などの棚に行き怪しい本の中から地獄のロシアンルーレットをする羽目になる人は多い気がする。

今回、癌になったのは私ではないので、看護師さんの教科書を読むことで「信頼性の高い知識を得る」という当初の目的の他、看護するときの注意点や「やれること」を知れたのは思わぬ収穫だった。

身内が癌になったとき一番最初に行くべき棚は「資格」の棚なのではないか、と思った一件だった。

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