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【福岡・博多区】美術作家 美雨 初個展「Pray」 2021.7.23(金)〜25(日)

九州在住の美術作家・美雨(みう)さんの初個展『Pray』が、博多区の冷泉荘ギャラリーにて開催されます。

▶︎美雨さん初個展のご案内

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↑画像の引用元(2枚):
https://twitter.com/mirinmiu_o/status/1413056140833820676?s=21

美術作家 美雨 初個展「Pray」
日時:2021.7.23(fri)〜25(sun)
11:00〜18:00(最終日は17:00まで)

会場:冷泉荘ギャラリー
(福岡県福岡市博多区上川端町9−35 リノベーションミュージアム冷泉荘B棟1階)
http://www.reizensou.com/access/

会場では、過去作品から現代の神話をテーマにした作品を展示されるそうです。

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《オフィーリア》2017年
引用元:
https://twitter.com/mirinmiu_o/status/1412041067235405825?s=21

今回が初個展とのことですので、まだご存じない方もいらっしゃるかと思います。
そこで、少々長くなりますが、どのような作品を作られている作家さんなのか、詳しく読み解いてみようと思います。


▶︎現代の神話とは

現代の神話について知るべく、個展の案内ページに書かれている、ご本人の言葉を引用してみましょう。

現代の神話とは、
別れや終わりを意識した瞬間の、その時の物語を、神聖化し解説したもの。

引用元:
http://www.reizensou.com/event/miu_pray/

神話とは一般に神々について描いた物語を指します。しかしながら、日常語として捉えてみると「(スポーツなどにおける)不敗神話」や「神ってる」など、生きている人間そのものの成し遂げたことに対しても、神や神話といった言葉が使われていることがわかります。
よって現代においては、古典的な神話と、現在進行形で起きているすごい人・出来事などに対する「伝説」的な物語とが混じり合っていると考えることもできるでしょう。

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《畏れ》2019年
引用元:
https://twitter.com/mirinmiu_o/status/1412043914324762629?s=21

そのような見方をしてみると、今現在起きていることが現在進行形で伝説のように語られたり、もしくは時を経て「神話化」することがあってもおかしくは無いと考えることができます。そしてまさに今、その場所その時間に、私たちは生を受けているのです。

その中でも美雨さんは、特に「別れや終わり」に着目して作品制作を行なっています。

現代では希薄化している出会いと別れ、
あるいは生死について、祈りについてを
絵を見て感じていただき、思考していただきたい

引用元:
http://www.reizensou.com/event/miu_pray/

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《あの日へ還りたい》2019年
引用元:
https://twitter.com/mirinmiu_o/status/1412047212016652298?s=21


すなわちこの個展は、美術作家・美雨の作品を発表する場であると同時に、「祈り(Pray)の場」にもなりうると言えるのではないでしょうか。

作品そのものについて考えを巡らせるだけではなく、作品をきっかけに個人個人の記憶や思い出と向き合い思考する。
それにより観客の行為・想いと作品がリンクしやがては会場と一体になり、『現代の神話』(と呼べる可能性のある物語)が個々人の中に顕現する…

個展『Pray』には、そういった装置的な意味合いも込められているのではないでしょうか。

しかしながらまだ『現代の神話』という言葉に確定的な意味が必ずしも込められているというわけではなく、これからの活動・作品制作を通して紡がれていくものと考えることもできるでしょう。


▶︎メメント・モリとはやや異なる、「死を想う」ということ(ステートメントからみえるもの)

死を想うという観点から考えると、メメント・モリを想起する方も多いのではないでしょうか。

ではそもそもメメント・モリとはどんなものなのか。Wikipediaから引用してみましょう。

メメント・モリ(羅: memento mori)は、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」、「死を忘るなかれ」という意味の警句。芸術作品のモチーフとして広く使われる。(Wikipediaより)

しかしながら、美雨さんのステートメントを読む限り、描かれているものはメメント・モリとは異なるものであると考えられます。

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引用元:
https://twitter.com/mirinmiu_o/status/1413056140833820676?s=21

このステートメントでは次のように宣言されています。

私の絵は決して「死はいずれ訪れるから、今愛を伝え合おう」といったような、ある種のポジティブなメッセージを示唆するものではない
(中略)
寂寥感の瞬間を切り取り、絵画にしていくことが、私に唯一できる仕事だと感じている。「悲しみ」という美しさと向き合うことで、絵画を通して救われることがありますようにと願いつつ、本展を開催する。
※筆者注釈
寂寥感(せきりょうかん):「寂しい」や「侘しい」など、心が寂しい気持ちであふれ、心に穴が開いたような侘しい状態を指す。
参考→https://biz.trans-suite.jp/24899#i

すなわち、どちらかといえば自分の死に着目しているメメント・モリに対して、自分の死だけでなく、他者の死や誰かを失い心に穴が空くことに視点を置いていることが伺えます。

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《焼けた翼》2021年
引用元:
https://twitter.com/mirinmiu_o/status/1408785615131267076?s=21


その上で「悲しみという美しさ」とはどういうものなのかを考えてみました。

私個人としては、悲しみに溺れる人が綺麗というのは、もしかしたら、憎しみのない純粋な悲しみはほぼ愛に近いもの(愛があればこそ悲しみを感じる)だからかもしれないと考えています。

美雨さんの絵は、「死」を描いていますが「死体」という「物体」を描いているわけではありません。
美雨さんの絵に描かれている死は、あくまでも、『この人は生きていたんだ』という、生前のその人物の存在や意思などを感じる絵であり、だからこそ愛がこもっていて、よって、悲しみが美しく表現されているのだと感じます。

ご本人もこのようにツイートしていらっしゃいました。

これらのキーワードも踏まえつつ作品を観ることで、さらに絵の世界に入り込むことが出来るのではないでしょうか。


▶︎宗教画と神話画の違い

宗教画と神話画は非常に密接した画題ですが、実際は別物として捉えることができます。

一般に宗教画は布教の手助けをするものですが、神話画は神話という文学的な世界の一場面を描いている点で違うとされています(『絵画の教科書/谷川渥 監修』より)。

だからこそ、18〜19世紀などの『すでに布教の必要もない』時代にも様々な画家が神話画を描き、また描きたいと思ったのではないかと考えられます。

また、宗教画の場合は教会からのオーダーが主でしたが、神話画は画家が自分の意思で描きたいと思って描いたものが多いのではないかと推測しています。
それらは公式に奉られたりするものにはならなかったことでしょう。しかし、画家個人の中で還元された祈りや鎮魂の意思だったのではないでしょうか。

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《in little time》2016年
引用元:
https://twitter.com/mirinmiu_o/status/1412040666155143168?s=21

よって、今回の個展で展示される作品群も、作家個人の中で還元された祈りであったり、それをみた観客の方々の中で鎮魂の意思が生まれたりする可能性があると考えました。こうした意味でも、個展『Pray』は、個人の中に眠る感情たちを想起させる場としての意味合いも持っているように感じます。

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▶︎会場へのアクセス案内

ここまでお読み頂きありがとうございました。お近くにお住まいの方は、感染対策を行なった上 ご無理の無い範囲でお楽しみください◎

美術作家 美雨 初個展「Pray」
http://www.reizensou.com/event/miu_pray/

日時:2021.7.23(fri)〜25(sun)
11:00〜18:00(最終日は17:00まで)

会場:冷泉荘ギャラリー
福岡県福岡市博多区上川端町9−35 リノベーションミュージアム冷泉荘B棟1階

【アクセス】
福岡市営地下鉄中洲川端駅5番出口より徒歩5分
西鉄バス川端町博多座前徒歩5分
冷泉公園と川端商店街の間の細い路地に入る
※駐車場はありません。
http://www.reizensou.com/access/


2021.07 文責:ナツメミオ

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