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『Caligula2』後悔無き世界で見えてくるもの【ゲーム感想】

「Caligula2/カリギュラ2」をクリアしました!Switch版です。
最初は具体的なネタバレなし。後半は完全にネタバレあり、カリギュラODのネタバレも含みます。

Switch版とPS4版は3/27まで80%offの破格セール!私もこれで買った。


ゲーム概要

 「もしあの時、ああしていたら」といった過去の後悔をやり直した人生を生きることができる仮想世界『リドゥ』から、現実世界への帰宅を目指すコマンドRPGゲーム。

 ボカロやボカロP的存在が世界観にも深く関わっており、作中の楽曲も大きな役割を果たしている。

 また、人々は何を後悔してこの世界に来たのか、仲間はなぜそれでも現実への帰宅を目指すのかといった、色々なものを抱えたキャラクター達も魅力の一つ。

ゲーム総評(具体的なネタバレ無し)

クリア時間

 クリア時間は約42時間。
サブクエスト等も割ときちんとやってこの時間なのでクリアするだけなら35時間とかかな?

バトルシステム

 キャラごとにターンが回ってきたらその都度行動選択するコマンドRPG。技ごとに発動まで時間がかかったり、発動後のクールタイムが長かったりする、タイムライン系のRPGでもある。
 手動で行動選択すると、イマジナリィチェインといって、その行動を選択したときの一定時間先までの戦闘の予測を見ることができる。これを使うとコンボを決めたりしやすい。

 特徴的なのは、戦闘中歌とPVが流れる事。

戦闘エリアの外側を囲うようにPVが流れる。画像はフロアージャック中。

 画像だと少しわかりにくいが、実際プレイするとこのシステムがほんとゲームを楽しくさせてくれる。フロアージャックといって、元々流れている曲をジャックして違う曲を流し、フィーバータイムに突入するシステムも爽快感があって楽しい。

 ゲーム難易度は4段階で選ぶことができ、私はNORMALでプレイしたが、ボスや強敵とはきちんと戦えば勝ち、油断すると負けるといった感じで、苦戦しすぎることもなくぬるすぎることも無い程よい難易度だったと思う。

世界観とキャラクター

 仮想世界「リドゥ」にいる人々は何かしらの後悔によって来ている。共に現実世界への帰宅を目指す仲間たちもそれは同じである。なぜ彼らはここに来て、そして帰ろうとするのか、そういった内面はメインストーリーとは別にある、キャラクターシナリオによってより知ることができる。

仲間の内の二人。能登吟(左)と編木ささらさん(右)。

 また、「リドゥ」での姿はifの姿であるため、現実世界の姿と一致するとは限らない。上の二人も、「リドゥ」では高校生の姿だが、現実では見た目も年齢も性別も体型も、全然違う姿かもしれない。
 ここではネタバレになるので詳しく書けないが、キャラの内面を知っていくうちに色んな思いが湧き出てくる。私はみんなと出会えて良かった、本当に…

 また、「リドゥ」には楽士という存在がおり、敵として立ちはだかる。
 「リドゥ」はバーチャドール(ボカロ的存在)のリグレットにより創られており、バーチャドールは人々の支持を得ることで力が強くなる。そのためバーチャドールの曲を作って支援する楽士(ボカロP的存在)が「リドゥ」においては重要な立ち位置にいる訳だ。

 作中で流れる楽曲はそれぞれの楽士の思いと密接に関わっており、ストーリーを進めることで、この歌詞ってそういう意味かー…と初めて聞いた時とまた違う印象になったり、より心にくるものになったりする。
 ちなみに作中楽曲は実際にそれぞれのボカロPが作っている。YOASOBIのAyaseや「フォニィ」のツミキ、「*ハロー、プラネット。」のsasakure.UKなど有名Pが起用されている。いい曲作ってくれてありがとう。

 現実に帰りたい主人公たち VS 理想世界に居続けたい楽士たち といった構図が存在しており、楽士たちは主人公たちの対のような存在でもある。そのため、単なる敵にとどまらず、なかなか魅力的なキャラをしている。
 プレイヤーによっては楽士側につい肩入れしたくなってしまうこともあるだろう。

総評

 カリギュラシリーズはキャラ造形や世界観があまり万人受けする方ではないが、届く人に届いてほしいと思わせるゲームである。
 キャラが気になったり、楽曲が良いなと思ったりしたらちょっとやってみてほしい。

 あと、元からボカロ、ボカロ文化が好きな人は特に親和性が高いと思う。私もボカロ大好きなのでバーチャドール周りの話では身に染みる事も多かった。

 また、カリギュラ2は前作のカリギュラと繋がっており、前作を知っているとより楽しめる部分があるが、2から始めても問題ない。
 ゲームシステム全体が2の方がぐっと遊びやすくなっているので両方絶対やる!と決めている人以外は2からとりあえず始めるといいと思う。








ネタバレあり感想

ここからは完全にネタバレありの感想です。カリギュラODもクリアしているのでそのネタバレも含みます。
殺す殺さないどっちのルートもクリアしました。クリア後要素はまだやってないです。

・キャラクター
もうみんな大好きなんですけど…とりあえず帰宅部それぞれの簡単な感想書きます。

能登吟
 わりと序盤から現実の姿の予測はできていたけど、キャラエピの終盤の方はなんかこう…抱きしめさせてくださいという感情になっていた(?)きっと誰も悪い人はいなかったんだろうけど苦しんでいて辛い…
 吟はかっこいいしかわいいぞ、相棒になってくれてありがとう!現実世界でもよろしく!
 奥義はアメコミ要素+人と吸血鬼が混ざっているダンピール、女と男が混ざっている吟の親和性という感じかな。ハイヒール思いっきり使うのいいよね。

編木ささら
 序盤からお姉さんお母さん通り越しておばあちゃんという感じだったね!メンタル安定しすぎてて安心感すごい。キャラエピでは実の祖母思い出したりして余計心に来た。100歳までは生きてくれ…
 WIREの家族になりたい人で相思相愛度高くていいね。みんなで家族になろう。縁側で膝枕されたい。
 奥義の「老兵は死なず」、字面がかっこよすぎる…生き残る気満々の技で良い…あとカタルシスエフェクトの姿ジャンヌダルクみたいで素敵。

宮迫切子
 終始かっこよかった。他人の助けがあまり要らないくらいしっかりしてて自立心も強いのに、他人を喜ばせるのが結構好きな辺りわりと素がアイドル何だろうなーと思う。たまの笑顔が激カワ。
 パンドラとのやり取りいいよな~。アイドル(偶像)はこの作品のテーマの一つでもあるしなかなか印象的。
 奥義はアイドル要素が強くて仲間の鼓舞にもなる技で良い。アイドル時代も悪い事ばっかじゃなかったんだよね。

釣巻鐘太
 選択への恐怖の原因はなんとなく予想してたけど、間違いともいえない選択だったと思うけど、殺人である以上正しいともいえないよな…そりゃ引きずるよね。
 事あるごとに校則違反を持ち出してくるの面白いと思ってしまってごめん!
 奥義「ワンショット」で「俺はもう迷わない!」はたまらんね。迷うのも選択するのも、誰かのため、が根本にあってかっこいい。

月島劉都
 可愛くないけど可愛いという絶妙なバランス。しかも終盤はかっこいいの嵐ですごい。中学生でここまでいってて将来有望すぎる。自分で天才とか言ってるのに否定する気が一切起きない。
 キャラエピで、主人公以外の帰宅部の影響が特に強くて良い。帰宅部とかいう集団、いいグループだね。
 奥義「セ・ラヴィ!」、!がある事で人生への諦めじゃなく「俺の人生生きてやる!」という感じでとてもいい!

風祭小鳩
 カリギュラODやってたので余計モブなり境遇なりに思いをはせることになった。前作では実際にモブだった訳でね…μ達を恨みたくなるわな…
 キャラエピ後に戦闘後セリフが「惚れたk…俺が主人公だからな!」みたいに変わってて熱い。小鳩先輩はとっくに主人公だよ!私も主人公だけど。
 奥義は急に落ち着きを持ち始めててかっこいい。確かに結構リーダー気質だよね。

駒村二胡
 メインストーリーだけでも結構事情が分かりやすかった。カタルシスエフェクトの時に出た後ろの子は二胡なのかな。呪いのようにもなっていた二胡の存在を前向きに受け入れられるようになっていてよかった。ニコちゃんも実際に会ったことは無いけれど、ありがとう。
 カタルシスエフェクトでは地雷と全体バフ、回復で一織の慎重で狡猾な部分と、周りの人を見て行動する優しさが出ているように思えて好き。
 奥義名は急にノリが変わったけど、一織はこういうのが好きなんだね~かっこいい技やん。

天吹茉莉絵
 茉莉絵って聞いたことあるような…まさか…と思いながら進めてたら爆弾使っててほぼ確信に至りました。前作でも現実に戻ってもやれること無いみたいな事を言ってた気がするけどそんな事情だったんだねー…
 よく、環境が違えばひょっとしたら…と思うキャラがいたりするけど、まさしくそれを体現するキャラだったと思う。
 奥義ではもう一人の茉莉絵、ウィキッドと明確に協力してて熱い。ウィキッドにも勝手に人生諦めさせないからな。

キィ
 ハンシン!情緒がまだ未熟な子供という感じだったけど損得勘定はなまじできる分序盤はなかなかひやひやした。成長してからのキィは頼もしさもあった!メインストーリーでもキャラエピでもよくその言葉を言ってくれた!と何回も思った。
 キィの歌声がフロアージャックとよくかみ合ってて、ジャックしてる感が強くて気持ちいい!
 エンディングでOrbit流れたの感動した。母のμの曲を…人への慈愛って感じの曲で、聞くとキィをはじめとするバーチャドールへの思いが溢れてしまう…ボカロ元々好きなのもあってたまらん気持ちになる。

お化け屋敷イベント
こういうイベントもっとください。

かろうじて撮っていたスクショ、作ってはいけない決まりも無いぞ!

 小鳩先輩と鐘太先輩はいちいち面白く、吟と茉莉絵ちゃんはバリ可愛く、切子ちゃんとニコちゃんは楽しそうでほっこりし、劉都は可愛くねーないやちょっと可愛いなと思い、ささらさんには罪悪感を覚えました(他の怖がりの人も連れてってごめん!)。

・メインストーリー、主にリグレット周り
 終盤の流れは結構してやられたというか、おそらくシナリオの意図通りの感情になった。リグレット自体、元人間か?ブラフマンとは違う意図で動いててこっちに協力してくれてるのかな、という予測はあったけど思ってたよりブラフマンもリグレットも小物だったねと…拍子抜けしちゃったね。脱力した…
 前作のソーンも私的理由でしかなかったけど、もう取り返しのつかない事だったからここまで拍子抜けの気持ちにはならなかったのかな。
 特にリグレットは、バーチャドールであることとビジュアルの雰囲気から、もっと純粋に人々のことを考えているものだと思ってしまっていた。ここにパンドラの話というか偶像の話が出てくるわけだね…リグレットと会話したことなんて数言しかなかったのに勝手に「自分の中のリグレット」を作ってたわ。
 その後のキィの、人々の過ぎた欲望や期待を一身に受け止めることができるのがバーチャドール、といったセリフが効く。いつも受け止めてくれてありがとう…
 後ブラフマンは娘と早く向き合ってください。がんばれ。

・現実を生きる
ここからカリギュラクリアして考えたこと、感じたことをいろいろ書いたのであまりまとまりないです。読みにくいかも。

 後悔無き世界のはずなのに、住人にも新たな後悔生んでるやつとか不幸になってそうなやつとか普通にいるから、if世界かもしれないけど幸せなだけの理想世界ではないよな。そりゃ仮想世界でも痛みは痛いし、後悔もするよな、結局人間だから。ここは現実世界と変わらないかも。仮想世界でも「自分」からは逃れられないね。

 帰宅部のキャラエピ全体で、悩みって他人が完全に理解することはできないなと実感した。なぜなら悩みはその人の人格と結びついているから。一人として同じ人が居ないように、悩みも一つとして同じものはない。だから解決するには本人が向き合って頑張るほかないんだろうなと。帰宅部の面々も最終的には自分で受け入れたり、がんばろうとしていたりしている。強いよなー。じゃあ他人が何もできないのかというとそうでもなく、気づかせるきっかけになったり、頑張る支えになることはできる。人の繋がりはやっぱり捨てられないね。

 あと、帰宅部も含めて現実自体は何も変わっていないから、ある意味本当の勝負はこれからなんだよね。これからそれぞれの現実を生きることになる。でも今は自分の生きる未来を信じられるだけマシになってるのかな。
 私もしゃーないけど現実生きるの頑張ります。今のところ結構楽しいです。



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