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ミケル・バルセロ展 東京オペラシティ アートギャラリー

スペインの画家であるミケル・バルセロの巡回展が東京オペラシティアートギャラリ-で2022年1月13日から開催される。

ミケル・バルセロ(1957- )は、1980 年代より欧州を中心に精力的な活動をおこない、現代芸術を牽引する美術家の一人として評価されています。国立国際美術館、長崎県美術館、三重県立美術館、東京オペラシティアートギャラリーを巡回する本展は、日本国内で初めて彼の仕事の全貌を紹介するものです。
バルセロは、スペインのマジョルカ島に生まれ、1982 年に国際美術展「ドクメンタ7」(ドイツ・カッセル)で鮮烈に登場して以来、生地マジョルカ島をはじめ、パリ、アフリカのマリ、そしてヒマラヤなど世界各地に活動の場をひろげ、各地の歴史や風土と対峙するなかで制作をつづけてきました。
その制作は、絵画を中心に、彫刻、陶芸、パフォーマンスなど領域を越えてひろがり、近年ではマジョルカ島のパルマ大聖堂の内部装飾や、スイス・ジュネーブの国連欧州本部 人権理事会大会議場の天井画など、壮大な建築的プロジェクトにも結実しています。
バルセロの作品では、海と大地、動植物、歴史、宗教といったテーマが大きな位置を占めています。バルセロは、さまざまな素材との格闘を通してそれらのイメージを生み出します。物質の存在感と結びついたそれらのイメージは、プリミティブな荒々しさと、神話的、呪術的な力を秘めており、それでいて豊かな洞察と知性の裏打ちを感じさせます。

東京オペラシティ アートギャラリー プレスリリース


80年代の美術における世界的動向であった新表現主義らしくバルセロの絵画は荒々しい筆致、主張する絵の具は物質そのものとしてモチーフへの従属すら止めたようにも見え、陶芸作品は焼成前に、殴り、突き破って造形を作り上げており、暴力性を感じさせられた。
映像で記録された彼のパフォーマンスは制作過程を作品化したようであり、作品へ閉じ込められる前の熱量と暴力性を見ることができる一方で、おかしみもあった。
また90年代ではアキライケダギャラリーを通じて日本でも紹介され、幕張メッセで開催された伝説的なアートフェアのファルマコン'90へも出品しており、日本との関係性もある。


展示風景

ミケル・バルセロ展 展示風景
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.


ミケル・バルセロ展 展示風景
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.

絵画以外にも多様なメディウムで表現をしておりブロンズの彫刻作品もある。画像左は燃えかすのマッチ棒。


ミケル・バルセロ展 展示風景
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.

陶芸など滞在地で制作する作品も多い。絵画のメディウムには現地の素材も使用する。


ミケル・バルセロ展 展示風景
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.

大きな素焼きの作品群。焼成前に殴ったような加工がされていたり、洞窟壁画をイメージソースとしたような絵付けもある。


ミケル・バルセロ展 展示風景
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.

肖像画作品。交流のある著名な人々が多い。一番左は小林康夫。


ミケル・バルセロ展 展示風景
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.

ドローイング作品。同室にはコロナ禍の間に描きためた作品もある。


ミケル・バルセロ展 展示風景
©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.

特にオススメしたいのは、展示最後のパフォーマンス記録映像。表現主義が内在する暴力性を感じさせるとともにおかしみがある作品だ。



project N 85 水戸部七絵 展示風景

ミケル・バルセロ展と同時開催されるproject N 85では水戸部七絵を取り上げている。盛り上がる絵の具の力強さはバルセロの作品を対抗するようであった。




ミケル・バルセロ展
2022年1月13日[木]─ 3月25日[金]
東京オペラシティ アートギャラリー
[3Fギャラリー1, 2/4Fギャラリー3, 4]
11:00 ─ 19:00(入場は18:30まで)
休館日 月曜日(祝日の場合は翌火曜日)、2月13日[日](全館休館日)
入場料 一般1,400円[1,200円]、大学・高校生 1,000円[800円]中学生以下無料
https://www.operacity.jp/ag/exh247/

同時開催
project N 85
水戸部七絵
https://www.operacity.jp/ag/exh248.php


挿入画像はプレス向け内覧会で撮影したものです。
見出し画像はわきもとさきさんに協力してもらいました。
見出し画像:ミケル・バルセロ展 展示風景 ©ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2021.


レビューとレポート第32号(2022年1月)