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題名のない展覧会 ―栃木県立美術館 50年のキセキ 栃木県立美術館

栃木県立美術館では開館50周年を記念して「題名のない展覧会 ―栃木県立美術館 50年のキセキ」が開催されています。2022年6月26日まで。


1972(昭和47)年に開館した栃木県立美術館は、2022(令和4)年開館50周年を迎えます。その間に収集した作品は約9,000点、開催した企画展は240本にのぼります。今回の展覧会は特定のジャンルや時代、作家に注目したものではなく、当館50年のキセキを過去の企画展や選りすぐりの収蔵品を通してたどる「題名のない展覧会」。当館の活動をご支援いただき、あたたかく見守ってくださった皆様への感謝の気持ちを込めて、企画展示室、常設展示室の全館を使って展示します。あわせて歴代のポスターも一挙公開!作品の制作秘話や学芸員だけが知っている裏話を織り交ぜながら、コレクションの魅力をひも解きます。50年にわたり培ってきた伝統を活かし、皆様とともに、栃木県立美術館は新たな扉を開きます。

PRより




プロローグ 「白亜と鏡の美の殿堂」―美術館誕生!
Ⅰ コレクション「ゼロ」からの出発

「72年に開館した当館は、美術館としての核を築くために、まずは学芸員の調査研究に基づく主体的な企画展を開催することに最も力を注ぎました。当初、収蔵品はわずか数点でしたが、性急にコレクションを作るのではなく、関連作家やその作品の調査、回顧展の開催といった美術館活動と連動して徐々にコレクションを形成していくことが計画されました。作家やご遺族、ご所蔵家との信頼関係を築いていくなかで、作品購入予算がほとんどなかった収集初期には、特に多くの貴重な作品をご寄贈いただきました。新生美術館への期待と支援の意を込められたそれらの作品群は、現在もコレクションの大切な礎となっています。その後、購入による収蔵も少しずつ増え、収蔵品の数は今や9,000点を超えています。ここでは、美術館草創期に大規模なご寄贈をいただいた本県ゆかりの作品などを通して、地域と密接な関わりをもった当館のコレクションの成り立ちをご紹介します。」

図録より引用 
栃木県立美術館 題名のない展覧会 ―栃木県立美術館 50年のキセキ 4p


展示風景 


展示風景 


Ⅱ 調査研究から展覧会へ

「展覧会の多くは、限られた会期よりもずっと長い準備期間を経て生み出されます。そのベースとなるのが調査研究です。(中略)日々の地道な研究成果が未来の展覧会に結びつき、良い作品との出会いやさらなる発見につながります。ここでは当館の学芸員の調査研究により発見・再評価された作家や作品、企画展開催を機に収蔵された作品や資料などを担当学芸員のコメントとともにご紹介します。」

図録より引用 
栃木県立美術館 題名のない展覧会 ―栃木県立美術館 50年のキセキ 8p


飯塚琅玕斎と重要無形文化財保持者セクション。鈴木さとみ学芸員により当時企画担当された展示と作品が紹介されています。

展示風景 


展示風景 


菊川京三セクション。当時企画担当されたのは志田康宏学芸員です。

展示風景


展示風景


展示風景


女性アーティストたちセクション。ジェンダーに関する日本の美術館での展示として重要な「奔る女たち」「前衛の女性1950-1975」を紹介しています。小勝禮子学芸員(2015年退職)が企画担当されました。 

展示風景


展示風景


展示風景


Ⅳ 印刷物でたどる美術館のあゆみ
これまで開催された企画展ポスターを年譜形式で紹介されています。
美術館の長い歴史と、数多くの展示を行ってきた蓄積がビジュアルでわかりますね。図録や鑑賞ガイドなどの刊行物も展示紹介されています。

展示風景


展示風景


Ⅴ 魅せます!県美のコレクション
1階では近代に成立したジャンルである日本画と油彩画を解説しその歴史を追いつつ、栃木ゆかりの作家や作品紹介しています。工芸作品もありますね。

展示風景


展示風景



栃木県立美術館は多くの版画作品を所蔵しています。2階ではそれをまとめて紹介しつつ、西洋挿絵本という特徴ある作品を見せています。


展示風景
展示風景

「時代をうつす―2000年代栃木の美術」セクションでは栃木ゆかりの現代美術家である田中巧起さんの作品が紹介されています。

展示風景 
画面左が田中功起作品(《By Chance(2 Ducks)》(2003年)と《世界を救うためのプラン・ドローイング》(2005年)



無料日である県民の日には千人の観客が訪れる盛況さで、美術館の50年を振り返る本展を見て過去に見た展示を懐かしく思い出す人もいたそうです。大阪万博直後に建設されたモダンな建物、学芸員の研究成果を重視しつつ企画された展示とそれをきっかけに収蔵につながる多くの収蔵品は重要な県の資産ですね。本展を通じて過去を振り美術館という資産の価値を再認識する一方でこの重要な資産を未来へどう継承するのか考える機会にもなりそうです。


展示風景 栃木県立美術館建物
撮影協力:わきもとさき(パープルームメンバー)




会期:2022年4月16日(土) - 6月26日(日)
会場:栃木県立美術館(栃木県宇都宮市桜4-2-7)
休館日:月曜日
観覧料:一般800(700)円、大高生500(400)円、中学生以下無料、( )内は20名以上の団体
無料日:6月11日(土)、12日(日)、15日(水・県民の日) 終了
開館時間:午前9時30分 - 午後5時(入館は午後4時30分まで)
主催:栃木県立美術館
後援:朝日新聞宇都宮総局、NHK宇都宮放送局、エフエム栃木、産経新聞社、宇都宮支局、下野新聞社、東京新聞宇都宮支局、とちぎテレビ、栃木放送、日本経済新聞社宇都宮支局、毎日新聞社宇都宮支局、読売新聞宇都宮支局

*関連事業については、新型コロナウイルスの感染予防・拡散防止のため変更になる場合があります。

WEB
http://www.art.pref.tochigi.lg.jp/exhibition/t220416/index.html
Twitter
https://twitter.com/artpref_tochig
youtube
https://youtu.be/9q40zT4AYYs

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レビューとレポート



参考
【artscape 2022年06月01日号(キュレーターズノート)】「コレクション」を考える(4)──栃木県立美術館50年分のコレクションの歴史|志田康宏
https://artscape.jp/report/curator/10176608_1634.html