見出し画像

#005 彼は日本語が喋れない

私がフランス語を話せないように、彼も日本語が話せない。

しかし、彼の日本語は上手い。

発音が上手いのだ。普段フランス語の繊細すぎる子音を操っているだけあって、日本語特有の荒削りな発音はいとも容易いようだ。「でもフランス語話者ってハヒフヘホが言えないよね」という話もよく聞くが(フランス語ではHを発音しないため、発音できない人が多い)、彼はハヒフヘホもうまく発音している。もちろん、ちょっとばかり力んで発音しているが、私の本名「みずほ」もきちんと発音できているし、中国人の友人が発音する「みずホオ」をちゃんと言えていないと「みずほ!みずほ!」とプリプリ怒りながら訂正するくらいである。(中国語は細かすぎて伝わらない子音が多いわりに日本語的「ほ」は発音しにくいのか?教えてえらいひと)

彼の得意な日本語は「大盛り」「特盛」の他、「お前はもう死んでいる」であれば録音したら日本人か外国人か分からないレベルまで上達している。そうなるまで何回唱えたのか教えて欲しい。

もちろん、流暢じゃない日本語もある。「ごちそう様」は「ゴッショシャマァ」になっててかわいいし、「とんかつ」と「とんこつ」は間違いやすい(ただし両方大好き)。

先にも書いたが、アニメの決め台詞や必殺技は本当に完コピできている。これはもうオタクの性なのだろう。彼は聖闘士星矢のゲームも大好きなのだが、ゲームをしながら必殺技を放つタイミングで

「スターダスト!レボリューション!!!!」

とゲームボイスとユニゾンしたときは「貴様…!カタカナ英語発音まで完璧に習得しただと…!!?」と驚いたものだ。

そしてもう一つ、彼の大好きな技がある。これもまた彼の大好きなマンガ「NARUTO」から「千年殺し」である。私はNARUTOを履修しなかったので分からなかったのだが「隙アリィ!」と突如身をひるがえし、「千年殺し!千年殺し!」と執拗に浣腸されまくった時は死ぬかと思った(尻が)。

アニメ業界の人へ:外国人に変な技教えるの止めてください。私からのお願いです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?