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高校野球は特別か?

夏の甲子園大会の中止が発表されてから10日以上たつが、今でも「規模を縮小してでもできないか」「地方大会の代替開催を」など、何とかして球児に試合の場をという声が止まない。その声は多くの高校スポーツを集めているインターハイの中止発表ではあまり聞かれなかったものである。

そしてこのような意見が出るたびに「高校野球だけが特別ではない」という反対意見も多数出てくる。野球部の活動を統括する組織だけが別、NHKによる全試合の中継などいびつな実態が多くあるのも事実だがそのあたりはひとまず置いておいて、「高校野球は特別か」との問いに対して私の住む新潟での過去の事例をもとに考えてみたい。

1999年8月7日、新潟の某地方局における夕方のフラッシュニュース。トップニュースだったか2番目だったは忘れたが、この日開幕した夏の全国高校野球選手権大会開会式を扱っており、この年の県代表・新潟明訓高校の入場行進の様子を当然のごとく映像付きで流していた。そしてそのニュースをひと通り報じた後に、新潟商業高校男子バスケット部のインターハイ初優勝をスコアのみを表示して短く伝えた。

・・・、高校野球、特別なのである。                 新潟県勢としては男子バスケット部が過去に優勝している、速報で映像が間に合わなかったのかもしれない、というのを差し引いて余りある扱いの差。私は高校野球が大好きで、毎年夏の大会で県勢がどこまで活躍できるかわくわくして待っているものだがそんな私でもこの差はないだろうと感じた。さすがに翌日の地元紙は新潟商業の快挙を1面で伝えていたがテレビでは野球部の、試合ではない様子を大々的に報じたのである。

その傾向は、20年以上が過ぎた現在でも変わらない。地元メディアを広く見てみると、雑誌では、野球だけではなくサッカー、バスケ、バドミントンなどあまたのスポーツを、それも高校の部活だけではなく中学や大学、社会人のチームを広く取材しているものが一昨年に登場し、注目すべきところであるのだが、テレビにおいては相も変わらす高校野球偏重が続いている。

夏の高校野球県予選は主催する新聞社の系列局でなくても早い段階から試合結果が報道されるが、それ以外のスポーツは、サッカー、バスケット、バレーボールなどメジャースポーツの冬の全国大会でも、主催メディアの系列局でやっと県予選の決勝が報道されるくらいでその差は大きい(私は夕方の県内ニュースの時間帯には仕事で家にいないのでわからないのだが、今年の全国高校サッカー選手権での帝京長岡高校県勢初のベスト4を、Teny以外の局はどれだけ報じたのだろうか)。

高校生がそれぞれの部活において大会での好成績を目指して懸命に取り組むことに特別も何もない。高校野球が歴史、文化、さらには最初に述べた組織的なこと、試合中継の事情も相まって高校の部活動で注目度が一番上になってしまうのは仕方のないことで、平等に報道というのは不可能なのかもしれないが、高校生が青春を燃やした部活動の結果を想い出に残るようにテレビ局はもう少し「報いて」欲しいものである。

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