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【新聞連載第12回】中小企業経営者の悩み①

岡崎の桜を楽しむ人たちを見ると、新しい生活が始まるなぁ、と思う方も多いのではないでしょうか。春になると、私たちの元に相談が増えます。

どんな相談かというと、『人材不足』に関する相談です。もっとも多いのが、中小企業の経営者さんからの相談で、アルバイトでも正社員でも構わないから一刻も早く動ける人材がいないか、というものです。


皆さんは、新卒は三年以内に 3 割やめてしまうという話を聞いたことがありますでしょうか。日常で少しでも人事に関わる方は、よく聞く話かもしれません。この話には続きがあります。
厚生労働省によると、社員数 30 名未満の事業所の新卒新入社員の離職率は 51.5%という数字が出ています。要するに「中小企業の新卒採用では、3 年以内に半分が辞めてしまう」という事実があります。


理由は、配属先のミスマッチや人材育成のノウハウが足りないことなどがよく挙げられますが、様々な経営者の声を聞いていると、要因は一つではなく複合的だと考えられます。企業の人材不足を招いているのは、国民の三人に一人は高齢者と言われる時代になり、若者がそもそも減っているという事実はみなさんご存知の通りですよね。

加えて、私たちの日常で当たり前になって来たのが、海外出身による働き手の増加です。内閣府によると、外国人労働者数は急速に増加し、過去 9 年間で約 80 万人増え約 128 万人いるとされています。

最も増えているのは技能実習生と呼ばれる、技能移転を通じた開発途上国への国際協力が目的とされ日本で働いている人たちのことで、最長 5 年間に日本に滞在することを許可されている海外人材のことを示します。

しかし、この急速な人材導入により課題も起きています。法務省によると、過去 6 年間で 171名の死亡が確認されており、環境の整備が整わずに社会課題となっているケースもあります。期間限定の短期的な雇用ということもあり、日本の企業の人材不足の根本的解決に繋がるかどうかは疑問が残るといえるでしょう。


また、優秀な日本人人材が海外に流出するということも起きています。先日、東京大学で教授を務める方の講演で、若くて良い研究者ほど、海外の大学に引き抜かれていくことを社会課題と表現されていました。

実際に、在留邦人総数は約 135 万人を超え年々過去最高を更新し続けていま

す。いずれ帰国を考えている人は減り、永住を考える人が増えています。このような社会背景の中で、私たちが中小企業の人材不足を手助けしていくために、どんなことを推進できるでしょうか。

一つは、経営者の皆さんと共に取り組む、経営方針を時代に合わせて作っていくことだと考えています。
現代を生きる若者が、どのような業務や働く環境を求めているかに寄り添って、会

社をつくっていくことは必要なことだと考えています。例えば、店舗で販売を行っている会社がネットショップを立ち上げることで雇用を行った事例もあります。

また、女性の働き手に対して、育児休暇だけでなく毎月の女性のための月経休暇を設けている会社もあります。そのような経営の形を、経営者と共に考えてつくっていけるのではないかと考えています。

二つ目は、企業と学生の接点をつくっていくことです。小学生から大学生に向けて、親と先生とアルバイト先以外の大人と日常で話す機会があるかと聞くと、ほとんどの学生がノーと答えます。

学校内外にかかわらず、魅力的な働き手と出会い、それが多様であればあるほど、多くの若者のキャリアビジョンを考えるきっかけになるはずです。

三つ目は、内定者研修、新入社員研修をオリジナル設計して行うことです。この研修に関しては、次回の連載で紹介したいと思います。

中小企業経営者の大学での講義


(2019年4月12日 東海愛知新聞掲載)

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