高校生野手、今年の注目度は?

今年はドラフトnoteに殺風景なタイトルはつけたくないと思ってアイデアを練ってますが、2本目で早くもやっつけ感が出ていて自分の限界を感じています。第2回目の今回は、高校生野手編。こちらも投手同様、ワクワクするような選手が現時点では少ないですが、フィジカルスペックに秀でた選手や、長打力に長けた選手はかなり評価されて高い順位で指名される傾向にありますので、逃さずチェックしておきたいところです。

支配下指名を受けた高校生野手(高校時代は投手だったが野手として指名された選手も含む)は、2018年と2019年は21人、2020年は18人、2021年は14人。年々、減っているのが現状です。今年はさらに減るのか? 昨年レベルか? それとも巻き返すのか? 注目したいところです。それではポジション別にGO。

【捕手】過去3年の支配下指名人数 4→3→4

高校生に限ったことではないですが、捕手というポジションに、高身長イニシアチブはありません。身長170㎝台前半の捕手でも評価が差し引かれないのが特徴です。

今年の高校生捕手の中で、早いうちから評価されていたのが松尾汐恩(大阪桐蔭)。身長178㎝のお手頃サイズで、甲子園では既に通算3本塁打。遠投110m、50m6.2と身体能力も高い捕手です。最近トレンドになりつつある、遊撃手からのコンバート組で、機敏な動作が出来るのも魅力。公式戦120打数で6三振という三振の少なさも好印象ですが、少し捻り依存のように思える打撃フォームなので、評価は分かれそうです。一時期より評価が落ちたようにも思えますが、3巡前後での指名はあるのではないでしょうか。

松尾と同様、評価されていそうな捕手が田代旭(花巻東)。こちらは肩で言えば松尾以上の遠投120m。身長も少し高く、180㎝。体重もトレーニングの効果により86㎏とかなり仕上がっています。左打席から放たれる一発は既に通算45本塁打以上。ただ、公式戦で54打数12三振とかなり三振が多いのは気になります。スイングも少し大きく振りすぎている感があり、ボールになる変化球にバットが止まるかどうかがカギになるのではないでしょうか。指名順位は正直読めません。プロ志望なのかどうかも分かりませんが、支配下ギリギリぐらいかなと思います。

他の捕手で言えば、高山維月(浦和学院)が良さそうだなと思いました。身長180㎝、50m6.2もさることながら、メカニクスが非常に好印象。うまく末端を振らせているという感じで、良い意味で力感のないスイングをしており、公式戦通算で4割近い打率に加え、50打数で7三振はまずまず。ただ、肩はさほど強くなさそうなので、プロでは元々の守備位置である外野手として起用されていく可能性も高そうです。プロ志望かは分かりませんが、指名されるなら支配下ギリギリ~育成になりそう。

【二遊間】過去3年の支配下指名人数 10→7→3

とにかく、ポテンシャル・フィジカルに長けた選手が指名されやすいポジションです。守備力はそこまで重視されていない印象がありますが、しっかり守れればかなりのプラス要素になります。身長の高い選手が好まれる反面、身長170㎝未満だと少し支配下は難しいかな、というのがこれまでの見方でしたが、昨年、西武に指名された身長160㎝台の滝澤夏央が、高卒ルーキーながら一軍抜擢されて目覚ましい活躍をしていますし、今年はそういう選手は支配下ギリギリで指名されるのではないか、と思います。

この観点で今年の高校生ショートたちを見ますと、50m6.0以下で、打撃も良い候補は見当たらず、上位指名にガンガン食い込んでくる感じではなさそうです。現状、誰が一番という感じはなさそうなので列挙していきます。

今春のセンバツで二塁打4本を含む11安打、打率.647という猛打を見せた金田優太(浦和学院)は、振り抜きの形がとても綺麗で、投手もこなす運動センスがあり、面白い選手だと思います。公式戦で107打数・8三振という三振の少なさも魅力で、身長も180㎝以上。もうひとつ身体能力が高いと上位確定感がありますが、そこまでフィジカルモンスター感はないので、4巡あたりが現実的でしょうか(プロ志望かどうか分かりませんが)。

甲子園で活躍と言えば、昨夏の甲子園で4本の二塁打を放ち、打率.385を記録した山里宝(神戸国際大付)も忘れてはいけないでしょう。とにかく守備力がズバ抜けて高く、見ていて楽しくなれるショートです。ただ、こちらも、身体能力がとても優れているというわけではなく、身長169㎝というのは少し気になります。滝澤は50m5.8というスピードがあったのが指名の決め手のひとつでしょうし、山里も、身長でアピールしきれないならスピードは欲しいところです。現状、支配下ギリギリor進学という感じかと。

甲子園で本塁打は打ったものの、全体としてはアピール不足だったのが下川邊隼人(国学院久我山)。こちらは50m6.1で駆ける身長181㎝の強打の右打者です。とにかく打撃が良い。メカニクスもとても良い。ただ、まだ筋力がついていないのか、少しバットに振られている印象を受けました(公式戦で73打数・19三振なのもその辺りが原因でしょう)。守備も軽快ですが、少しショートとしては肩が弱いように見えるのは不安要素。ただ、打ちまくれるのであればショートとして起用する旨味は十分にあると思います。こちらも金田同様、4巡あたりかなと予想しています。

甲子園には出れていないですが、大阪桐蔭と常にマッチアップしているので実質全国レベルの履正社のショート、光弘帆高も、ドラフト候補になってくると思います。守備動作が軽快なのは好印象、打撃も三振が少ない中距離ヒッターですが、50m6.5という数字は少しショートとして見るには遅いかな?というのが正直なところ。ただ、韮澤雄也(花咲徳栄→広島)も光弘と同じような身長や身体能力で4巡指名でしたから、光弘が同様に評価されてもおかしくはありません。

最後にもう1人。まるでHUNTER×HUNTERにでも出てきそうな名前のイヒネ・イツア(誉)。ナイジェリア人の両親を持ち、182/84の恵まれた身体から、攻守ともにセンスを感じさせる選手です。こう書くと、技術は粗いながらも身体能力を活かした選手、のように思われるでしょうが、彼はむしろ、技術の方がある選手。反面、身体能力がズバ抜けて高いわけではありません(あるとしても発揮しきれていません)。指名されるなら育成でしょうし、進学できるならそれもアリではないか、と思います。

【一三塁】過去3年の支配下指名人数 2→3→3

育成まで回されることも多いポジションですが、その反面、長身で強打の三塁手は上位指名されることも多いというのが、このポジションです。支配下指名は少ないものの、指名された選手のほとんどが上位指名です。なお、投手をしていた選手のコンバート先になることもしばしば見られます。

現状、そこに当てはまってきそうなのが、小久保快栄(明秀日立)と内藤鵬(日本航空石川)。小久保快栄は元ホークスの小久保裕紀さんの甥にあたる人物で、188/79という堂々たる体格を持ち、甲子園でもヒットを記録しています。三振も少ないのは評価できる点ですが、打球に猛烈な破壊力が足りない気がします。少し身体をかがめすぎているような打撃フォームなので、今後のフォーム変更により、一気に花開く可能性に賭けたいところでしょうか。現状では直プロっぽさはさほど感じません(身体能力は中の中ぐらいです)。

内藤鵬は180/100というロマンしかない体型で、一部からは上位候補という声もありますが、情報が少なく、地方のロマン砲の域を出ていない気がします。フォーム自体は悪くなく、打球も力強いので期待したいところではありますが、スカウト視察情報がまずは欲しいところです。

【外野手】過去3年の支配下指名人数 4→5→4

このポジションの特徴は2つありまして、ひとつは、身長175㎝未満だと上位指名はかなり難しいという点、もうひとつは、投手からのコンバート組が回されがちという点です。「身長」「身体能力」「長打力」がかなり高評価の対象になるので、候補はピックアップしやすいです。

この基準で考えると挙がってくる選手が2人。1人目は黒田義信(九州国際大付)。身長180㎝で遠投110m、50m6.0。一塁到達も常に4.0秒を切るかどうかというような瞬発力があり、センバツでは打率.538で長打も2本放ち、13打数でゼロ三振という脅威の数字。フォームもかなり良く、打球も常に芯で捉えられています。騒がれていないのが不思議なセンターなので、夏も好結果を残すようだと、上位指名も見えてくるのではないでしょうか。なお、過去にはサードも守っていたようです。

左が黒田なら、右は海老根優大(大阪桐蔭)でしょう。こちらも黒田とほぼ同等のフィジカルスペックで、右打者なのに一塁到達4.2秒台も出してくるほどの猛烈な瞬発力があります。今春センバツでも2本塁打を含む長打4本、打率.421の大活躍。ただ、三振が少し多めで、公式戦では73打数で14三振。かなり反動をつけたようなフォームなのが原因のひとつだと思われるので、どこまで修正がききそうかでプロ側の評価が変わってくると思います。

右打者で言えばもう1人。甲子園経験はないですが、井坪陽生(関東一)が面白そうです。身長177㎝と少し中背ではあるものの、50m6.0は瞬発力の証ですし、投げてはMAX144km/hを記録する強肩。特筆すべきは(四球をあまり獲得できてはいないものの)公式戦39打数でゼロ三振という脅威の対応力でしょう。今春の関東大会でも打率.571で、放った4安打すべてが長打という豪打ぶり。気になる選手であることに間違いはありません。

低身長に厳しいこのポジションですが、今年は異彩を放つ候補がいます。浅野翔吾(高松商)。身長171㎝は正直、かなり低い方ですが、遠投110m、50m5.9で、投げれば140km/hは出せるという抜群の身体能力を持ち、身体もかなり鍛え上げられています。打撃フォームもよければ三振も少なく、昨夏の甲子園では打率.571と甲子園初アーチを記録。昨秋からは右打席に加え、左打席でも打ち始めるなど、野球センスと野球愛に満ち溢れた男です。

この身長の高校生外野手ですと、5巡目がヤマなところがあるのですが、今は内野手にも挑戦しているとのこと。内野手であれば、この身長でも活躍すれば上位指名は珍しくありません。1巡目という声もファンからは出ていますが、果たしてどうなるでしょうか。上位指名されてほしい気持ちはあります。

どこに載せるか考えていましたが、投手編では載せなかった山田陽翔(近江)は、野手だと指名があるのではないか、と思っています。身長174㎝はいくら投手としてアピールしていても高校生右腕としては指名しづらいと思いますが、野手、できれば二遊間なら支配下指名の可能性が出てくるはずです。一塁到達も右打者で4.4秒台なので動けるほうですし、パンチ力もありそう。フォームはまだだいぶ粗削りで完成形が見えてこないですが、逆に言えばフォームの伸びしろはありそうです。育成力に自信のある球団なら指名してみるのもアリでしょう。

●おつかれさまでした!

今回は高校生野手についてまとめてみました。現状、浅野翔吾以上に規格外の選手はいなさそうですが、そこまで不作感のあるラインナップでもなく、中位あたりは賑わしそうな気がします。上位ではなさそうだねということで3~4巡まで待つのか、あるいは先に指名されることを危惧して2~3巡を使ってくるのかで駆け引きが起きそうです。ただ、1巡目でしか無理だろうと思われるような選手は、高校生投手も含め、現時点ではいないですね。夏の甲子園待ちといったところでしょうか。

次回は大学生投手、と思っていましたが、とある話題でnoteを書いてみたくなったので、次回はドラフトnoteはお休みです。野球からも離れます。箸休めとしてお楽しみください。それでは、また次のnoteでお会いいたしましょう。バイバイ!


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