見出し画像

どんな感染症も自分ごととして考えて欲しい

コロナに限らず、どんな感染症も
「自分がうつすかもしれない」
そういう感覚を持って欲しいと、心から強く思った出来事がありました。

新型コロナウイルス(以下:コロナと表記します)の感染拡大が徐々に言われ始めた1月の下旬あたりから、私は手の消毒やマスクなど、様々なことに気を配り生活していました。そしてそれは、日を追うごとに細かになりました。外出は必要最低限にし、買い物も3日に1回程度、出かける時も消毒、スーパーに入るときも出るときも消毒。公衆トイレに行けば、ドアノブや扉には極力触らず、必ず石鹸で手を30秒以上洗って、さらにその上で、手持ちの消毒液を手にふっていました。
自宅に帰れば、まずは手洗い、うがい、そして、買い物した商品を全て消毒液で拭き取り、また手洗い。
とにかく「うつらない、うつさない。」を心がけて過ごしてきたこの3ヶ月。


仕事は、3月以降、全ての仕事がキャンセルになり、会社としても個人の生活としてもとても苦しい状況です。それでもコロナの感染収束まで、なんとか生活できるようにと仕事の内容も見直し、新しいサービスを提供できるように取り組んできました。

ようやく唯一あった6月中旬過ぎの司会の仕事。
1月の中旬に美容院に行って以来、ほぼ半年。髪は伸び放題、髪の色は落ち放題だったので、司会として人前に出るにはあまりにもみっともないこともあり、行きつけの美容院に予約を入れて、本番の1週間前に、やっとの思いで髪を切りました。

美容院に行くことも、とても悩みました。
しかし、コロナは少しずつ落ち着き、美容院でのクラスターは出ていることもなく、7年ほど通っている美容院だったので信頼していたこともあり、私は行きました。

来店も、お店がオープンして直後の人が少ない時間帯を選び予約。
お店では、店員さんも客もマスクをして、入店時に消毒液を手につけてくれるなど、感染対策も取られていました。


が、しかし・・・


無事に髪を整えてもらってウキウキ気分で自宅に帰っている途中、電話が鳴りました。それは、美容院の担当美容師さんでした。よく忘れ物をする私は、また忘れ物でもしたのかと思ったのですが、美容師さんから出た言葉は全く違いました。

「実は、先ほど眼科に行ったら、ウイルス性の目の疾患と言われました。」と。

私は出先だったこともあり、その時は、まず話を聞いただけで電話を切ったのですが、その後、色々と調べていると目のウイルスもいくつかあり、ウイルスによって潜伏期間が短いものもあれば、1週間を超えるものもありました。これはもしや状況によっては、「6月の仕事をキャンセルしなくてはいけないのではないか」と思い、夫にも相談。

「まずは、ウイルスの種類や感染状況などを美容師さんに再度確認すること。」となり、自宅に戻ってからすぐに、もう一度美容師さんに電話をしました。

そうしてわかったのは、アデノウイルスという感染力の強いウイルスであること。これは、はやり目と言われ、子供がかかってまたたくまに広がってしまうようなウイルスです。大人でも同じように流行する可能性があるので、基本的には会社を休むなどの処置が必要です。感染は、飛沫と接触でおきます。感染者が自分の目や涙などを触った手で人や物に触れ、それを他の人が手に触れて目を触ったりすると100%感染するとも書かれているほど感染力が強いウイルスです。
しかも、原因となるアデノウイルスに効く薬はありません。2週間ほど、人に会うことを避け、自宅で過ごすしかないのです。


美容師さんに話を聞くと、「朝起きた時点で目が真っ赤に充血していて、午後からお客さんが少なくなったので病院に行ったとのこと。」しかもその美容師さんは、複数店舗を持つ店長・オーナーさんです。

私はこの言葉を聞き耳を疑いました。

「朝の時点でおかしいと思っていたのに、なぜすぐに病院に電話で相談するなどしなかったのだろう?」

「このコロナ禍、コロナは結膜炎の症状が出ている人もいると言われているのに、なぜ、すぐに病院に行かなかったのだろう?」

「店長であるにもかかわらず、最善の方法を考えられなかったのか?」

「衛生管理が強く求められる美容業なのに、なぜ???」

信頼していた美容師さんだっただけに、私の心の中は、悲しさと悔しさと腹立たしさでいっぱいになりました。


そして私は夫と相談し、6月の仕事は、ご依頼先に正直に話をしてお断りすることにしました。万が一にも、本番の日に発症したら、発症せずとも、もしかしたら潜伏期間に人にうつすかもしれない。そんなことがあっては絶対にダメだと思ったからです。そしてそれが、人と接する仕事をする私の責任だと思ったからです。そして、夫にうつる可能性もあると考え、夫は1週間ほどホテルで過ごすことにしました。私たちは2人で会社を営んでいて、夫は音響の仕事をしています。私も夫も、指名でお仕事をいただくので、基本的に代わりがいません。だから、私が夫にうつすわけには絶対に行かないのです。

仕事が全てキャンセルになっている中での貴重な仕事を断るというのは、私は、はがゆさでいっぱいです。何より、ご依頼くださった方々にご迷惑をおかけしてしまうことへの申し訳なさと心苦しさは言葉になりません。


もしかしたらこの記事を読んで、「だったら行かなければ良かったじゃないか」「自衛が足りなかったんじゃないか」と言う人もいるかもしれません。
確かに、行かない選択をすれば良かったと後悔する気持ちもあります。けれど私は、自分ができうる限りの最大限の自衛をして出かけ、ギリギリまで行くかどうかの判断を迷い、最も信頼している場を選んで行きました。それでも、このようなことが起きてしまいます。自衛する側もそうですが、自分自身が人にうつすかもしれないという意識を、誰もが持つことが必要ではないかと思うのです。

コロナに関しても、中には「気にしすぎ」「風邪やインフルエンザと同じレベル」という人もいます。でも本当にそうでしょうか?
もし、あなたが症状が無いにしても、感染していて誰かにうつしているとしたら。それが後になって分かって、うつした人が重い症状で苦しめられることがあったとしたら・・・
しかもコロナは、特効薬もワクチンもまだ開発されていません。

これはコロナに限ったことだけではありません。他の感染症も同じです。
「このくらい、なんてことない」と思っていても、それが他の人を苦しめることもあるのです。そしてそれは、大切な家族や友人、パートナーでもあるかもしれないのです。

「もしかしたら・・・?」そう思ったら、病院に電話するなどして相談してください。

私は、アデノウイルスについて様々なことを調べる中で、「東京都感染症情報センター」に直接電話をしてお尋ねしました。とても丁寧に、細やかに教えてくださいました。心から感謝しています。
ウイルスという目に見えないもの。なんだかわからないもの。
それについて正しく知ることで、冷静な対応ができます。

私は今回のことでとても強く思います。
「誰もが、感染症というものを、自分ごととして考えて欲しい」と。

私自身も、「さらに意識を高めて過ごして行こう。」
そう改めて強く強く思った出来事です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?