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話し方の印象は語尾表現で変わる

ドラマ「日本沈没」
途中入るナレーションが、今までのこの時間帯の重厚感のあるナレーションをイメージしてドラマを見始めたので、私は違和感を感じてしまいました。

こんにちは。
フリーアナウンサーの三島澄恵です。

私もナレーションの仕事をしますが、ナレーションは声だけで表現するので難しい反面、とても奥が深いものです。表現も一つではなく、動画に合わせて変えていきます。
私が思う良いナレーションというのは、ナレーションが目立つのではなく、動画の内容に合っていて、聞き手が聞こうとせずとも、耳にスッと入って来るものです。極端にいうと、ナレーションが気にならないくらい自然な語り口であることです。

ナレーションは、聞き手側の好みにもよるので、一概にどれが良いとは言えません。ただ私は、今回の日本沈没は、ナレーションが入るたびに物語への集中力が途切れてしまいました。
「なぜだろう?」と思い、その理由を私なりに考えました。その大きな理由の一つは「助詞や文末の音が上がることと音が伸びていること」です。
(助詞や文末を、以降は語尾と書きます。)

語尾の処理はとても難しいのですが、語尾の表現ができるようになると、同じ秒数で話していても、ゆっくり聞こえたり、速く聞こえたりします。
他にも、元気な印象、落ち着いた印象、若者っぽい印象などなど、本当に色々な表現ができます。

私がNHKで仕事を始めた頃、番組のナレーションを担当した時のことです。
プロデューサーの上司から「ナレーションが上手い人は、語尾が上手いんだよ。上手い人のナレーションを聞くといいぞ。」と言われました。

例えば、ゆっくりとした印象を持たせたい時は語尾をゆっくりと読むと、話し始めが速くてもゆっくりした印象に聞こえます。逆に、語尾が速いと、話し始めはゆっくりでも速く聞こえます。他にも、語尾に、力を入れて歯切れ良く話すと力強い印象になりますし、語尾を伸ばして話すと幼い印象の話し方になります。
これに、声のトーンなども加わって様々な表現ができます。

ビジネスでは、語尾を伸ばしたり、語尾の音を上げると、全体的に軽い印象に聞こえてしまうので、プレゼンテーションやスピーチの時には注意が必要です。
まずは、普段、どのように話しているかを録音して聞いてみると、自分の話し方の癖がわかるので表現の練習に役立ちます。そして、表現は練習さえすれば誰でもできるようになるので、人前で話す時に、聞いている人に伝わる話し方ができるようになります。

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