普通って何？

わたしがこの家に来てはや40年を終えた

何も分からず　何も疑わず

周りの引いたレールに乗って
自分の意思もなく
当たり前であるかのようにこの家にやってきた

女の子が三人生まれ
普通に大きくなり
普通に子供たちが成長すると同じように自分も老いていき
普通に暮らしていくものだと思っていたが
それは少し違っていた

長女が荒れ出した頃
何故普通に出来ないのか
心底不思議だった
もちろん本人にも
何故普通に出来ないのかと
衝突するたびに問うたものだ

上の子が荒れ出すと
伝染病のように次々と子供達がおかしくなっていった気がする

今思うと
ただ
自分の器が小さくて
子供たちを受け止めきれなかっただけなのだろう
自分とは違う　自分の物と思っていた個人に

今は
その子供たちも母となり
また子供を育てている

もちろん
事故
離婚
シングルマザーと
娘たちには紆余曲折は多いにあったが
個人の名誉もあるだろから割愛しよう

自分が産んだ子供は
自分の所有物ではないのに

自分の思い通りに支配したいから
子供達に普通を求めた
それは自分の為

形のない『普通』

よく言い返された

普通って何？
何を基準に普通の線引きになるの？

答えられない

わたしの中では
普通は普通

それでは伝わらない

そのうちに母と娘の溝が深くなる

嘆きもがいた子育て時期

そのうち自分が疲れてしまい

自分の普通のハードルをグッと下げた

最低ラインは
警察にご厄介にらならない事
死なない事

そこまで自分のハードルを下げると
世間体もさほど気にならない

今は
上の孫が中学生で受験だ
わたしの目から見ると
普通の中学生3年生

真ん中の男のは
勉強が苦手だか
普通の中学生1年生

勉強できなくてもそんなに気にならない

死ななければ

自分の子育て時期とは大違い
ちょっと離れて第三者の目で見てるのかな

自分を押し付けない
血が繋がっていても
自分の所有物ではない

ハードルを下げろ
下げろ
と今でも
自分に投げかけている

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