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兎の眼

熱い思いが溢れ出る
悲しい涙でも 嬉しい涙でもない

じわりじわりと胸が押しつぶされるように
愛おしいという感情があふれるよに眼尻に涙が溜まっていく

そんな物語

灰谷健次郎の「兎の眼」

阪神工業地帯にある塵芥処理場と姫松小学校を舞台に
新米の女教師小谷先生を中心に「教育の現場」を描いた作品だ

教育に関わる友達が灰谷健次郎の作品は子供に関わるバイブルだと教えてくれた

暴力を振るい
ハエに執着し
一言も口をきこうとしない
何も話さず
文字を読み書きもできない
心を開かない
「鉄三」と姫松小学校の子供達
教師として人として彼等が成長していく姿が描かれていく

物語といえど教師としてこんなに情熱的で素晴らしい人間でいられるのかと
凄すぎて現実味がないが
小谷先生が子どもたちに深く関わるほど夫婦仲が悪くなる所を描かれていた所は

関わる全ての人々の万能の女神にはなれない人間らしい彼女には共感を得た

流石にハエの細かな描写は気持ち悪かった

わたしが鉄三ぐらいの歳
天井から吊るす粘着テープがあった記憶がある

野犬狩りもそうだ
わたしが小学生の頃近所の小さな公園に野犬が何匹かいた

わたしが公園に行くと
毛足の短い茶色のボス的存在の大型犬が
現れて一緒に遊んだ
野犬狩りに連れて行かれたと聞いた時には本当に悲しかった

今では一般家庭のハエ取り紙も野犬も見たことない

今ではゴミを捨てるのに
お金がかかってしょうがない

わたしは小学校に上がった時
ひらがなもかけなった
もちろんカタカタもだ
自分の名前も書けない
3月生まれて体も小さい
当時わたしが通った小学校一年生時の担当の女先生はこの物語の先生とは違った

わたしはいつも叱られ立たされていた

担任の先生にいじめられていたと被害妄想なのかそんな記憶が残る
ターゲットにされた生徒はわたしの他に男の子がいた記憶がある

大人になってから聞いた話だが
わたしを担当した女教師は
当時精神を病んでいたそうだ

わたしが小谷先生と出会えてていたらもっと違った生き方があったのかとふっと思った

戦時中に朝鮮人の親友を裏切ったバクじいさんの辛い過去に触れた時は

日本人が朝鮮人にした酷い仕打ちが詳細に描かれていた

今の韓国人が反日感情を突きつけてくるのは仕方がない事なのかと感じた


小谷先生は子どもたちの目は西大寺の善財童子の兎のような美しい眼と同じに感じたんだろう

どんな仏像なのか気になって
ググってみた

こんな感じなんだね

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