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上の段階に行きたいのなら、めちゃくちゃやれよ(と、言っていいのかこのご時世)というはなし

ひさびさに以前務めていたベンチャーの同志(この書き方はおかしいかもしれないが、同僚というより、上司とか部下とか後輩とか先輩とかそういうのより、同志という言葉がしっくりくる気がする)と、ひょんなことからメッセした。

今でこそかなり名前も知られており、名前を言うとかなりの確率で「おー!」と言われる会社なのだが、私が入った時はど・ベンチャーで、まず健康保険もなくて、労務管理とかそういう概念もなくて、まあ、要はブラックと言われてもおかしくない環境だった。一応擁護しておくと環境は年を追うごとに徐々に整った。

その中でメディアが立ち上がるということになり、ある時期、社員2人(私ともう1人)とバイトという、編集部とも言えないような編集部?で、ひたすらメディアづくりに邁進した。まだネットメディア勃興期で、いわゆるパクリメディアや著作権ガン無視メディアなども横行しており、なにが当たるのかわからないのでなんでもやってみよう……みたいな時期。とにかく取材に行きまくってみたり(取材したその日に記事を出すのはこのときからやってた)、ある時は、1か月にSEO記事を1,000記事出すということをやった。どう考えても無謀である。でもやった。

その時期はたぶん、毎日どんなに早くても会社を出るのが23時。でも朝の定時はなぜか9時なので、次の日は満員電車に押しつぶされながら会社に行っていた。

そんなことをしていたらどうも体がおかしくなり、1か月1000本が終わり(やってみてこれぐらいなんだなっていうのはわかった)時間ができて医者に行ったら胃に穴があいていた。文字通り胃潰瘍である。正確には2つ「潰瘍の跡」があると言われた。だいぶ前から穴が空いておりそれが時間が経って自然治癒したということらしかった。

今思い返してもありえないし、二度と絶対にやりたくない働き方だが、この死ぬほど必死になって働きまくった期間というのは、自分の血肉となりメディアに関わっていく上での基礎となる筋肉のようなものをつけてくれたと思う。あとは、「これだけ働いたら体を壊す」というのも身を持ってわかった(ので、それ以降もう割り切って「無理でーす」とか言ってけっこうサッサと帰るようになった)。

スポーツ取材を始めた時も、とにかく必死で現場に行き、原稿を書き、写真を撮り、人の原稿を読み、編集して、とやった。文字通り駆け抜けたと思う。そのときのことはこちらに書いた。

さて、なにが書きたいのかというと、冒頭の同志と「力をつけるには1回は激働きしたほうがいいのではないか」ということで合意したが、同時に「今の20代とかにそのように勧めるのは時代的にいかがなものなのだろうか」ということでも合意したということである。

まあ、私が激働きしてたのは全然10年前から6年前ぐらいなんですけど、ほんと時代の流れが早くて、今や「働け」っていうのは悪みたいなところもちょっとある。

このメッセをしたあとにお風呂に入っていたんだけど、それで考えたのは、やっぱ、何かで飛び抜けた技術や経験、力を得たいんだったら、それなりに時間と精神を捧げないといけないよなということ。

だって、みんなが夢中になっている箱根駅伝だって、そもそももともと走るのが速い選手たちが集まっていて、その中でも選手たちは信じられないぐらい走り込んでいて、生活は陸上を中心に回っている。それぐらいしないと、あのレベルにはいけないからだ。

ワールドカップで今をときめく存在になった三笘選手だって、もともとセンスがあったかもしれないがひたすら練習をして、さらに海外で活躍するために英語を身につけた。全てはサッカーのために。そして今多くの人を魅了するプレーヤーとなっている。

同じことが、仕事に関しても言える。と思う。

やはり人を圧倒したいなら、ある一時期でもいいので、圧倒的に働き、経験を得て、スキルを磨くしかないのではないかと。

でも、仕事に関してだけは、「働きすぎる」という風潮はNGみたいになっている。もちろん、単純に人を搾取するようなブラック労働は撲滅されるべきだ。でも、「その先」に行きたいなら、人の何倍も努力するしかない。効率よくやるなと言っているわけではなく、経験する量を増やせという話なのだと思う。これは、「働き方」の問題というよりは、「生き方」の問題になってくると思うんだけど、それが勤務時間とか、働き方改革とかと混ざってしまうので、ちょっとややこしくなっているところはあると思う。

立教大陸上部の上野裕一郎駅伝監督は、普段は1日30分程度しか走っていないのに、それでも37歳となった今でも5000m13分台で走れる。もちろん、彼に与えられた天賦の才がそうさせているのも間違いないが、競技者として積み重ねてきた走り込み、努力の貯金があるから、今でも走れるのだ。(だから選手にはその土台を今作っているところなんだよと伝えていると、先日話してくれた)

土台を作ることを軽視し、基礎的な筋力をつけることを怠っているのに、「何者かになりたい」と思っていないだろうか?もちろん、時たまどんな努力もかすんでしまう天才というのはいる。だがそれは本当に本当の一握り。大体の人は99%の凡人の側だ。(ちょっとやってみて、全然できちゃったらそれはあなたが天才なので、めっちゃラッキーだと思う)

だから、私が「ライターになりたいです」という人に「とにかく書いて」とアドバイスするしかないのも、そういうことです。

土台を作ろう。筋力をつけよう。話はそれからだ。

とか言ってる時点で、古い考えなのかな〜とか悩むよねって話をしたって話でした。

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