ふつうって、幻想
あ、ここじゃない。あ、この人じゃない。
その感覚って鋭いなと思っていて、
でも一番厄介なのは、
あっ、この人・・だけど、ここじゃない。
そんな感覚。
その関係を、その仕事を、続けるのか辞めるのか線引きが難しい。なぜなら正解なんてないから。だから少しの違和感を理由にその場を離れることも怖さや不安を理由に留まることもできる。
わたしは人に面と向かって本音や自分の内側を言うことがすごく苦手だ。受け入れてくれるかわからなくて、拒絶されるかもわからないそんな状況に丸裸で飛び込むなんて。避けられるなら避けて生きてきた。できるだけのその場の空気を悪くしたくなかったし人を嫌うことも嫌われることもしたくない。
でもそれは自信のなさとして現れ、誰でも自信のない人に自分の身を預けたいと思わない。怖がりなわたしからも身を預けることができない。
信頼って信じて、頼るって書くんだよ。
それやってないじゃん。
つい数ヶ月前、先輩から言われた言葉。
好きなことをして生きていくと決め会社を辞めた先輩は今、安定した生活の代わりにイキイキした自分を取り戻していた。
スクランブル交差点の点滅に早足で歩く。相変わらず真面目だなと思う。引けるものなら引いてみろとばかり点滅の中を堂々と一度は歩いてみたいものだけど、どうしてもできない。
そうなのだ。
気づいてしまった。
やっぱり、どう頑張ってもどう真似をしてもどう繕ってもどう愛想を振りまいてもどう理想を掲げても、
自分は自分にしかなれないんだ。
それが格好良くても悪くても、成功しても失敗しても、わたしはわたしにしかなれなくてそれは過去も現在も未来も変わらない。
何者かになろうとするのをやめられたとき、夢はわたし自身になることですくらいに言えるようになったとき、やっと手のひらに残るものがあるんじゃないかなと思った。
自分を殺せば簡単に死んでしまう。
目の色や表情や、その声色は、本当に自分自身だろうか。
少し遠回りになっても、やっぱり、自分自身になって、生きたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?