『今』しか生きられない
電車の窓から見える景色は、毎日同じなのに飽きない。移り変わるからだろうか。今日も川の上を走り抜けるときにちらりと見える煙突を確認する。
あの煙突のとなりにある高校に通っていた。
過去を、たしかにあったそこにある思い出を確認するように視線を向けるときはたいてい少しの不安があるとき。
あの頃のわたしは、今のわたしになった。
物心つく頃からずっといてくれた、そしてこらからもそれは当たり前に続いていくと思っていた大好きな5人は活動を休止する。
魂の震えることをしたらいいと言ってくれた辞めた会社の上司は退職をして起業するらしい。
わたしは、ライターになった。
高校時代の先輩は結婚をして、もう少しで母親になる。
忘れていた、わけではない。
それでも、現実となると一度過ぎ去った窓の景色は二度と戻らないのだと頭を後ろから突然にごーんと殴られたような鈍い衝撃がじわりじわりと身体に広がる。
人は、どうしても、何をどうあがいても『今』しか生きられないらしい。
将来について悩むことは、嫌でもある。
過去について悔やむことも、ときには必要。
でも、優先順位の一番上はいつだって『今』にしておかなければならない。
もしかしたら、どんなに今を大事に生きても、どんなに目の前の人を大切にしても、最期は悲しく悔やまれ辛いのかもしれない。
それでも、
覚えておかなければ。胸に刻まなければ。
人は移り変わり、時はこの瞬間も止まらないことを。
当たり前なんて、永遠なんて、ない。
だから『今』が輝くんだ。
何を大切にしたいか?
どんな今を過ごせたら幸せなのか?
わたしたちにできることは、
今できることを精一杯。それだけ。
今、ここに、集中しよう。
今日も、幸せを摘む一日を。
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