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私のおはなし♯01

ヘアカラーの色落ちが全然可愛くなくて、毎日イライラしている。
ブロンドヘアからオレンジに染めて、その後色が抜けてまたブロンドヘアに戻るはずだったのに、一か月経っても微妙な茶髪のままだ。
早く色落ちしてほしくて毎日シャンプーを一生懸命泡立てて洗髪しているけど、やはり茶髪は茶髪のままで、色が抜ける気配がない。
ヘアカラーには投資してきたつもりなんだけどな、と鏡に映る自分の姿を見る度にため息が出る。

このテンションの低さは「今の髪色普通だね」と、先日友人に言われたことも関係している。
奇をてらった個性は演出したくないし、普通でも本人が気に入っていればそれで良いと思っている。
それでもやっぱり今の髪色はテンションが上がらない。
それどころか、私にとってはマイナスである。
鏡を見る度に「不合格、不合格、不合格、不合格!」と某テレビ番組のように手元のふだを挙げてしまいそうになり、このままでは満場一致で不合格だ。
なんと不健康な髪色。
このままだとノイローゼになりそうなので、ジャッジを切り上げて早く退場した方がいい。

自分のこだわりの強さには自覚がある。
これまでありとあらゆる場面でそのこだわりの強さを発揮してきて、まわりを「うーん」という空気にさせてきた。
それでも作品を制作するにおいて、そのこだわりの強さがプラスに働いたこともある。
短所は長所、という言葉をよく耳にするが、つまりそういうことである。

そんな私が絵画教室の先生をしていて「うちの子、こだわりが強いんです」と心配そうに話されるお母さんにたくさん出会ってきた。
その返答として「素敵なことじゃないですか!モノづくりをするにおいて、武器になりますよ」とよく言っている。
「こだわりが強い」という一面は、何かと世間ではマイナスに捉えられがちである。
それでも目の前の事象は全てコインの裏表で、短所は長所。
全てはただの性質であり、不必要に善悪を決めてジャッジする必要はない。
そう捉えられるようになってから、随分とポジティブになった。

今回の髪色の件は、持ち前のこだわりの強さが執着へと転んでしまい、自分自身を苦しめることになってしまった。
それでもこの残留したカラーのお陰で、今度は今までやったことがなかったレッド系の髪色に挑戦してみよう、と思えることができた。
この世界に善も悪もない。
長所も短所も全て性質であり、ただのコインの裏表。
次こそは鏡を見るたびにワクワクするような髪色になることを願って、次の美容院の日を楽しみにしている。

伸び代があるぞ、谷口実里!

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