行列のできる人気店の今どき @ホーチミン
ホーチミンの大通りを歩いていたら、見慣れた看板に出くわした。ここは恵比寿か青山か。
東京でも人気のタピオカミルクティー有名店。ベトナムでもここ数年タピオカミルクティーが流行っているそうで、この2軒はいずれも大人気店だ。
しかし、大人気という割に、全然人が並んでいない。青山のような一等地の立地なので、家賃高いだろうに大丈夫かなと心配になってしまう。
その代わり。近づいてみると、店の前にはデリバリーのバイクドライバーが参集している。配達品ができるのを待っているようだ。
ふと横に目をやると、ここにも各社デリバリーのお兄さんたちが待っている。
そして、通りの向かい側にはさらに大勢。商品待ちと休憩の人と入り混じり、色とりどりのジャケットでごった返している。飛脚の時代だったら宿屋ができてそう。
フードデリバリーは世界中で攻勢だが、東南アジアでは特に成長が著しい。インドネシアのジャカルタでは、「もともと屋台で買う文化があるところに加えて、交通渋滞と暑さとスコールで外出がとても面倒だから、フードデリバリーは届けてくれる上に選択肢も多くて最高!」という話を聞いた。新しい便利なサービスではなく既存の大変な仕事の代替なのだから、アジアで飛ぶ鳥を落とす急成長なのも頷ける。
これはジャカルタの話だが、ホーチミンも事情は変わらない。バイク渋滞の深刻さは負けず劣らずだ。クールにタピオカミルクティーとキメたくても、その前に汗だくほこりまみれになってしまう。
デリバリーの登場で、「大人気店」の店先も変わってきている。
お客さんの列は姿を消し、代わりにデリバリーのお兄さんたちが汗を流してみんなの分を運んでくれる。そんな人たちのおかげで、よく冷えたタピオカミルクティーが列に並ばず汗もかかずに飲めるようになっている。
一時間待ちの行列に文句言わず喜んで並ぶ東京が、なんだかかわいらしくもなつかしくも思えてきた。
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