(127)霜月小春日和
ひょうたん池の側の草叢に踏み入れた時に何かが足元から横っとびに跳ねた。アッと思ったらまたぴょんと跳ね、その次のジャンプでひょうたん池にちゃぽんと入った。土色の蛙だった。小春日和とはいえ11月だし、庭で蛙を見たのも初めてのことで驚いた。蛙はすぐに池から這い出て落ち葉の中を去っていったが、はやく寝なさいねと見送りながら心配した。
しばらく前から昔のようにブリッジ(床から持ち上げる方)がまた出来るようにならないものかと試行錯誤していて、体を持ち上げる前の準備姿勢で太腿の前側やら腕などが攣りそうになるので、背後に反るときに使う部分をこまめに伸ばしていた。だいぶ柔軟性がついてきたので試しに床に寝て両膝を立てて両腕を逆手にしてみたところ、肩も太腿もふつうの状態だからよしと思って体を持ち上げようとしたが、力が全く入らない。どこに力を入れていいのかも分からない。頭のてっぺんを床に付けるところまではいくけど、そこから全然頭が床から離れないのだった。
頭側に高さを出せば楽になるのかなと、壁際に丸めたカーペットを置いていたので、カーペットに頭と手を付いて持ち上げようとしたら、ちっとも上がらないどころか頭の重みでそのまま床へずり落ちてしまった。ううむと膝をつく腕立て伏せをしてみたところ、半分の高さまでなら元の姿勢に戻れるが、半分より下までおろすと床にぺったり落ちて永遠に浮かび上がらない。完全な腕立て伏せは元々できないが膝をつく腕立て伏せは出来たのに。あまりにも出来なすぎて途中から笑いが込み上げてきてしまい、ヘラヘラ笑いながら床にぺったりしていたら異変を感知したジジが駆け寄ってきて、ンニャア~ンニャ~と心配してくれた。猫にまで心配をかけてしまった。
仕方ないので、エアー腕立て伏せで立位で腕だけ上げたりして色々動かしたらそれだけで充分疲れた。鏡で背中の動きも観察してみて、つまり中年になってずっと疑問だった脇のたるんとしたところや肩甲骨下のぷよんは弛みだけじゃなくて、筋肉がなくなっていた、ということだろう。そうだったのか!そうなのかー。ひどくショックを受けたが、しかしブリッジが出来るようになって、ブリッジが出来るカラダを維持すれば、肩こりや腰の痛みから解放されるかもしれない。現実にこの後買い物へ出かけたが荷物がいつもより楽に持てたし、今日も背中がすこし軽かった。肩と腰が楽になったらどんなに快適なことか。ブリッジが出来るカラダになる夢はいまや私にとって希望の星となった。
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