![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/14768243/rectangle_large_type_2_db21b40d930271fffd004ba80cd1c54b.jpg?width=800)
明るい夜更けの夕涼み
「暑い、、。」タオル1枚、桟橋の突端に腰掛けた。右隣には先客。僕の母くらいの女性が目を閉じて風を楽しんでいた。「あら、いらっしゃい。ようこそ、特等席へ。旅行中?フィンランドは初めて?」と目を開けた途端、突然の涼み客へ質問のシャワーだ。「いや、2度目です。この前は仕事で来て、その、また来ちゃいました。」ぼかして言ってはみたが、実は取り返しのつかない失敗をして逃げ出してきた、のが実情。しばらく向かいの太陽を眺めた後、再び彼女が口を開く。「サウナの後、残っているのは今日から先の自分だけなのよ。いつでもまたいらっしゃい。」そう言い残すとそのまま湖へ飛び込んだ。1人残った僕の傍には目をつぶって羽根を休めているカモメ。優しい眼差しの太陽はまだそこに居ればと問いかけてくる。カモメくん、きみはまだゆっくり休むといいよ。そんな午後10時、僕は少しだけ軽くなった腰を上げた。
北欧の皆様を日本各地へご案内中。時々書いたり、ツーヤクしたり。はたまた、ラジオに出ちゃったり。