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そもそも「育てにくい子」って?

大人の言うことを聞かない子? みんなと同じにできない子?
私は「子育てハックが通用しない子」かなと思っています。

まずスタート地点にたてない

『これで大丈夫! 幼児に効果的な声掛け』
『〇〇するのが楽になるアイテム!』
『ママが笑顔になる! 育児の時短テク』

世の中には色々な情報が溢れていて、その全てがどの子にもあてはまるわけではないことは百も承知です。

けれども「声掛けをする上で大切なのは、まず子どもと視線を合わせることで……」といわれても、そもそも視線が合わない子では始まりません。
「ブレンダーで時短! ベビーフードも活用して楽をしよう!」といわれても、息子のようにブレンダーの音で号泣し、ベビーフードが苦手で食べない子には使えません。

よくトイトレの手法として『ご褒美シールを活用』というものがあります。
100均などでも販売されていて、トイレが成功したら1つずつシールを貼っていこうね! それでモチベーション維持してトイトレ完了を目指そうね! というあれです。

息子の場合、このご褒美シールでのトイトレは、上手くいくどころか逆効果でした。
シールを1枚ずつ貼ろうとしても『全部キレイに埋め尽くさないと(完璧主義)』が災いして、1枚しか貼れないことに大激怒。
1枚ずつ貼れるようになっても『シールの絵柄と背景色の組み合わせはこうあるべき』とマイルール発動でぐるぐる、『貼るときにちょっとでもずれたら癇癪』で1枚貼るだけでトイレの数倍の時間……
結局オムツがとれたのは3歳10ヶ月、私のありとあらゆる試行錯誤はどれも上手くいかず、幼稚園の先生にご協力をいただいて完了させました。

息子で地獄のように苦労した数々のことが、娘ではあっさりクリアできる。
口頭だけの指示がすんなり通る、教えこまなくても見よう見まねで器用にこなす。
「効果的な声掛け」の効果が明らかなのが、娘ではすごく実感できる。
娘(下の子)が生まれてから改めて、息子の「育てにくさ」を感じる日々でした。

あれも駄目これも駄目で、折れる心

我が子に合うやり方を探そう、焦らず気長に頑張ろう。
最初のうちはそう思って試行錯誤し、あらゆる場所から情報を得ようと奮闘しました。
もちろん、中には一時的でも効果的なケースもあって、全てが駄目だった、無駄だったというわけではありません。

とはいえ、同じような年齢の子が集まる場所に行けば、あるいは幼稚園などの集団に所属すれば、息子の難しさが浮き彫りになっていきました。
それだけでなくネット上でも、育児系の投稿における「お陰様でよく寝るようになりました」「これをやったら3日でトイトレ終わりました」など、上手くいったことを喜ぶコメントを見るたびに、なんで自分は……と思うようになりました。

息子は発達が全体的にのんびりでしたが、どれもこれも
『ギリギリに個人差の範囲におさまる程度』だったため、様子見しましょう・次のときまでにできなかったら考えましょうのオンパレードでした。
そして私が試行錯誤に疲れ果てた頃に何とかクリアし、結果だけみれば『できるようになって良かったね! 安心だね! おめでとう!』と流れていくばかり。
いつしか私自身も『息子には難しいから』『また今度も上手くいかないだろう』『こんなの、どうせ発達が早い子の話でしょ』と後ろ向きになっていきました。


転機は幼稚園年中

コロナ禍の影響もあり、年少時はほとんどの行事がなくなくなり、息子の幼稚園での様子を知る機会はほとんどありませんでした。
見ることができたのは、短時間の運動会・誕生日会のお遊戯のみ。
その時はダンスや体操が周りからワンテンポ遅れ、表情も固くずっとそわそわしていました。
園バスに乗せる一瞬、バスの担当の先生に会うだけ。面談や保護者会のない園なので、年少のときは担任の先生すらほとんど顔を合わせない状態でした。

それが年中にあがって、初めての保育参観のときに、私は息子の新しい一面を知りました。
ミニゲームを通したお勉強系の授業でしたが、息子はサクサクとこなしていきます。運動遊びの時間も周りと遜色なく動き、ペアになった子とは楽しそうにお喋りしていました。
また運動会ではスムーズにお遊戯を踊り、パラバルーンも上手に参加していました。唯一、障害物競走だけは遅れて取り残されていましたが、多くの保護者の方が息子を温かく応援してくださり、ゴールすることができました。

私は今まで、息子を過小評価しすぎていた。

確かに苦手なことはあります。
お世辞にも運動が得意とはいえないですし、舞台で発表する声も小さいです。
でも、入学式ではずっと泣きっぱなしで私の抱っこから降りられなかった息子からは、確実に成長していました。

それからは色々な挑戦、特に息子が興味を持ったものは積極的に取り組みました。
自転車、ボールとバット、縄跳びなどを欲しいと言ったその日に買いにいきました。
元から好きだったパズルやブロックはさらに買い足し、絵を描きやすいように高品質な色鉛筆を揃えたり、いくつかのワークも購入しました。

息子はデジタルに強かったので、私の古いスマホをおさがりし、ひらがなや算数が学べるアプリを導入しました。
気付けば独学でひらがな・カタカナはマスターし、数字系のゲームもたくさんこなしていました。

現在は子どもちゃれんじのタブレットコースを受講しています。
まぁぼちぼち……程度の進捗ではありますが、あまり無理強いせずやらせています。

強みが分かったら

私の場合は、苦手を克服するよりも得意なことを伸ばす方向で、息子と接してきました。
息子は気が弱く心配性、不安や悲しみを引きずるタイプ。加えて癇癪もちであるため、苦手なことを頑張らせるのはハードルが高いと判断しました。

過保護かもしれないですし、甘やかしている部分も多々あります。
けれども少し田舎のおおらかな土地で、HSCの息子はのんびり伸び伸びと生活できている気がします。

息子が得意としているパズルやブロックが、将来どのようなことに役立つかわかりません。
秀でた記憶力や数への興味がこの先も伸びるとも限らないですし、理系ではなく文系に進むかもしれません。

それでも今現在にできること、それも『親も子も無理せず』『楽しい範囲で』続けられるものを選択していこうと思っています。


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