【タイ在住】2泊3日シェムリアップ旅行②
1日目は昼到着のため午後しか使えないため、少し郊外のベンメリアへ行くことにしていた。ホテルにチェックインを済ませ、世界最高峰のカンポットペッパーを買い求め、お昼を食べて、いざ出発。
ベンメリアはシェムリアップ市内から車で1時間半ほどのところにある、11世紀頃に建造されたという遺跡である。自然と一体化しつつ一部は崩れかけていたりする風貌が特徴的で、日本ではラピュタのイメージだと人気の遺跡である。ベンメリアと言うとカンボジア人が口を揃えて「ラピュタね」と言うので、よっぽど日本人観光客が連呼していたのだろう。私はラピュタの粗筋さえ覚えていないクチなのでリアクションに困った。
数年前までは独自のチケットを買う必要があったそうだが、今ではアンコール・ワット等に入れる共通遺跡券で良いらしい。裏を返せばその遺跡券が必要ということで、まずはチケットセンターにて購入。
思ったより立派で広い建物(空港より広いかも?)に連れていかれ驚いたが、きっと数年前まではこれぐらいの規模が必要なほど客が多かったのだろう。なんだか切ないのである。
チケットは不正利用ができないように窓口で撮影された写真が印刷される。以前は写真がなかった為に数人で使い回す不届き者がいたそうで現在のスタイルになったそう。翌日も含めチケットは割と頻繁にきっちり確認されたので常時必携・紛失厳禁だ。ちなみに、カンボジア人と南ベトナム人の一部は地元民扱いで無料。
ベンメリアまでの道のりは途中からでこぼこの未舗装道路となる。雨季のためたまに驚くほど大きな水溜まりがあったりして、避けすぎて横の溝に横転するのではないかとヒヤヒヤしたりしたが無事に到着した。
着いたよと降ろされたのは普通っぽい道路脇。停まっている車は数台。「ここから入ったらいいから」と運ちゃんが言うが、なんというか、閑散とし過ぎていて本当かと疑いたくなる。とりあえず道に沿って入っていくと、おっちゃんがひとり立っておりチケットを確認された。
その後も全然人がいない中、道を進んでいく。結局すれ違ったのは1人と掃除のおばちゃん。貸切状態である。
しばらく進むと本丸らしき建造物が見えてきた。脇には制服姿のおっちゃん。警備員なのかその正体は分からないが「右から入っていけるよ」と言われたので右手に回り進むことに。
しばらく歩くも外から遺跡を眺めるばかり。こんな感じで外から見て回るだけなのか…?ガイドさんをお願いした方が良かったか…??などと2人して首をかしげていると、さっきのおっちゃんが「おーい、こっちだよー」と手招きしている。行ってみると「ここから入れるんだよ、ホラホラ」と明らかに入口では無さそうなところから中へ入っていく。なんてこったい。これは自力では分かるわけがない!
親切過ぎるおっちゃんに着いていくと、日本語・英語混じりで説明しながらズンズン進んでいく。
時には絶壁のような脇道を、時には低い門跡を潜り抜け、石を乗り越えて進んでいく。ちょっとしたアドベンチャー気分を味える。これは今来て本当に良かった。もう10年歳を取って乗り越えられる気がしない。
おっちゃんが「ここは第三回廊」「こっちは図書館」「ここが北門」などと解説してくれるので単に眺めるより数倍面白い。多くの場所で石が崩れているが、これらは全て木の成長によるものだという。自然の力強さと、遺跡が建造されてからの時の経過が感じられ畏敬の念を覚える。
そうして冒険気分を味わうこと数十分、木の足場が組まれたエリアが現れた。と共に他の観光客が現れた。どうやら私達が歩いたのは裏メニューだったらしい。
ベンメリア、想像以上に素晴らしかった。
1000年も前にこんな規模の王宮を作る為政者の力と建築技術、そして再発見されるまで長年に渡り忘れさせるように覆っていた木々の成長力。堅牢に見える石造りの建物も、自然の力には抗えず崩れていくものなのか。
現代都市に建ち並ぶビルたちも、人間が手を加えることを止めてしまえば同じように滅びていくのだろうかと想像が頭を巡る。
約1時間の観光を終え、心ばかりのお礼を渡し、帰路につく。
それにしても、あのおっちゃんは何者だったのだろうか。