2021年のデザインの仕事をスタッフ対談で振り返ってみた
2021年ももうすぐ終わり。毎年恒例、スタッフの福田奈実さんと三迫事務所の一年間の仕事を振り返る対談の時期になりました。
(2018年、2019年、2020年のアーカイブはこちら)
今年は4月にLitraシェアオフィスを離れて自分の仕事場「たろうのアトリエ」を作り、福田さんとはリモートを中心に仕事を進めていくという、新しい動きの多い年でした。
今回も一年間の仕事で印象に残ったものを挙げながら、二人で振り返って行きたいと思います。ではどうぞ!
※福田さんはリモートのため、ここで初めて見たデザインがあったりします。
ホンマタカシ「鬼と白い馬」
三)まずは毎週通わせてもらっている、太宰府天満宮での仕事を振り返ろうかと。1つ目はホンマタカシ「鬼と白い馬」のグラフィックです。これは一瞬でアイデアが浮かんで、初回提案のデザインに一日もかかっていないんですよ。
方程式の穴埋め問題みたいな作り方で、テーマになっている「鬼すべ」というお祭りで登場する「鬼」と「白い馬」の写真を「と」の文字で結んで、タイトルを表現したタイポグラフィーになっているデザインです。
福)実際の展示では、ホンマタカシさんが天満宮に来られた時に撮った写真を展示していたんですよね?(注:福田さんはリモートのため未鑑賞)
三)天満宮にいた「シロちゃん」という神馬に注目した映像と写真の展示です。鬼すべの時に、シロちゃんは小屋の中にいて、外で大きな音がするのを横目に小屋の中で歩き回るシロちゃんの映像を、鬼すべの映像と並べて上映されていました。
福)ポスターを制作されてる時に、シロちゃんの写真の候補を他にも見せてもらったんですけど、シロちゃんのことを知らなくても心が動くような素敵な写真がたくさんありました。
三)写真、素敵ですよね。その中から天満宮の宮司さんが選んだのがポスターの写真だったんです。
福)そうだったんですね。
三)この写真を選ばれた理由は聞いていないけど、トリミングされて見えない体の部分に炎があるのと、白い体の右上がりのシルエットが結果的にすごく効いてますよね。宮司さんにも「会心の出来ですね」と言って頂けて嬉しかったです。
福)それは嬉しいですね。他にもタペストリーも制作していましたよね?
三)天満宮の参道に、九州国立博物館の企画展の旗が毎回下がるんですけど、今回はそこもデザインしました。あそこ、前から作ってみたいなと思っていたんです。
福)太宰府に来る人がたくさん目にする場所なので嬉しいですね。
中村人形と太宰府天満宮
三)もう一つの天満宮案件は「中村人形と太宰府天満宮」ですね。前期・後期に分けて半年開催されている展示で、今は後期が始まったタイミングです。天満宮には前田景さん、河村美季さん、僕の3人のグラフィックデザイナーが関わっているんですが、「鬼と白い馬」に続いてデザインを任せて頂きました。
前田景さんが真ん中で二分割するレイアウトをアドバイスしてくれたので、完全に自分のオリジナルというわけではなくて。3人でSlackを使ってやり取りするので、出したデザインに更に2人のアイデアが加わることもあります。一つの仕事をみんなで叩きながら作れるので、太宰府の仕事は面白いですね。
福)そうですね。三迫さんと私で作るのとは違う表現が出来たりしますよね。
三)福田さんにはキャプションを制作してもらったりしてお世話になりました。作品が本当に素晴らしいので、ぜひいろんな方に見て頂きたい展示です。
中村人形展 後期グッズ
中村人形展の後期用に、グッズ制作をしました。これは京都の三重野龍さんにお願いして作ってもらったキャップとTシャツ、コーチジャケットです。
最初は僕がデザインする予定だったんですけど、自分が作ると作品をそのまま使った無難なデザインになってしまいそうだな…と思って。後期のメインになる4代目の中村弘峰さんの、作品の細かい花柄などのディテールが、三重野さんのいい意味での「ワルさ」と組み合わさったら面白いかもと思って依頼しました。
福)そうだったんですね。これは中村さんの人形(立体)を三重野さんが線画(平面)にしてデザインしているんですか?
三)これはですね、弘峰さんがわざわざ墨で書きおこしてくれたんですよ。墨絵です!
福)えー!すごい。墨でこんな細かい線を…
三)最終的に三重野さんがパス化してはいるんですけど、墨絵、めちゃくちゃ上手くて…。このイラストは無いけど、他の弘峰さんの原画は会場に展示してあるので、たくさんの人に見て欲しいです。
福)そうなんですね!見に行きたい…。弘峰さんの墨絵に、三重野さんがこの幾何学模様を組み合わせているんですか?
三)そうですね。絵もバラバラにされてるんです。顔とかが3つ4つに分かれてるでしょ?
福)本当ですね…!
三)最初は墨絵の使い方が今よりシンプルだったんですけど、弘峰さんから「遠慮してくれている気がするので、もっと崩してほしい」と言われて。グッズ制作についての裏話は、来年弘峰さんと三重野さんのトークイベントを企画しているので、そこで詳しく聞けると思います。
あと、TAG STAとmanu coffeeクジラ店を巡回する形で、グッズのポップアップ販売と、人形も展示される予定です。太宰府だけではなく、天神でも中村人形の作品に触れられる企画です。
そこではローレンス・ウィナーのグッズも同時販売されるんですよ。
ローレンス・ウィナー「ひとつの中心のその中心」
三)ローレンス、先月亡くなってしまって…残念だけど、最後の年にお仕事に関われたのは光栄なことでした。
九州国立博物館の前のアスファルトに描かれているローレンスの作品については、太宰府自慢を見ていただけたら。8号目で僕が初めて制作に携わった「太宰府自慢 第8号」に、ローレンスの作品を取り扱っているTARO NASU Galleryの那須太郎さんのインタビューが載っているので。
ローレンスが制作した「ひとつの中心のその中心」という作品を作ってもらって、その作品を使ったグッズを3人で制作したんですが、僕は扇子とかマスキングテープのデザインを担当しました。
福)扇子自体もそうですし、箱の方も上品な仕上がりでした。
三)ローレンスが扇子を持っていたら素敵だなと思って提案したら、OKを頂いて制作ができました。博多祇園山笠の扇子を作っている業者さんに依頼しています。
福)扇子の親骨のところは焼印ですか?
三)そうです。「LAWRENCE WEINER」と焼印を入れています。ちょっと和風じゃなくするための工夫ですね。
あと、太宰府自慢の表紙の写真を、天満宮で撮影した写真の中の1枚を使っていただいたのも嬉しかったですね。7〜8年の間、読者として見てきたので、自分の写真が使われているのは感慨深いなと思いますね。
福)これは最近買ったFUJIFILMのカメラ(X-E4)で撮ったんですか?
三)いや、この時はSONY(α7iii)かな?
福)学生が楼門に走っていく瞬間が撮れて良かったって言ってましたね。
三)そうそう。撮った時にはいい写真だとは思ってなかったんですけど、後から見返すと良い瞬間が撮れていたな、と思いました。今まで前田さんやプロのフォトグラファーが撮影されていた表紙に使ってもらえたのは自信になりました。
宝泉寺温泉郷
三)次はブランディング案件に行こうかな。「宝泉寺温泉郷」から話しましょう。大分県九重町の、小さな温泉地のロゴを作らせてもらいました。温泉地のロゴってすでに存在することが多いから、なかなか作ることないですよね。
この土地で有名な「蛍」をモチーフにしたこのロゴ、他にも蛍の表現が具体的な案も提案したけど、最終的には蛍にもお花にも見えるこの案が選ばれました。
小さな温泉地なので、歴史を感じさせる重厚なロゴではなく、これくらい静かな感じのデザインに決まって良かったなと思います。
福)この案件は2020年7月の豪雨で被害を受けて、復興のために温泉郷の人たちが始めた取り組みですよね。元々温泉郷って呼ばれていたんですかね?
三)そうだと思います。でも知名度はあまり無かったので、エリアブランディングをやっていこうということで、大分の地域科学研究所というコンサルの会社が入って、僕が呼ばれたという経緯でお仕事させてもらいました。
温泉の街灯にロゴを入れてもらったり、温泉水で淹れるのに適したコーヒー豆を開発されていて、そのパッケージにもロゴを使ってもらっています。コーヒー豆は九重のモンベルのお店でも扱われているんですよ。
福)そうなんですね。これから認知度が上がるといいですね。
Craft Inn 手 [té]
三)次は「Craft Inn 手 [té]」の話をしましょうか。「うなぎの寝床」と「UNAラボラトリーズ」が作った宿です。
福)三迫さんは試泊したんでしたね。
三)そうそう。機会があったら福田さんにもぜひ泊まってほしいです。本当に良かったので。
これもロゴのお仕事でしたが、「伝統工芸ってこんな感じ」みたいな和風のイメージから意図的にずらした案が採用されましたね。代表の白水さんの話を聞いていると、「伝統工芸って歴史があるものだから、大切にして守らなきゃ」という感じではなく、もっとフラットな考え方をされているので、その距離感が形になればいいなという思いで制作しました。
あと、「いかにも」になりすぎないっていうのは最近の課題ですね。いかにも「旅館」とか、いかにも「伝統工芸」とか…。
泊まった感想としては、お部屋が本当に良くて。高級とか上質に対する他の会社の宿との方向性の違いというか、調度品や設えの、ひとつひとつへのこだわりを感じました。各地の作り手を尋ねながら「その良さを伝えたい」という気持ちが感じられる空間でした。
rhythmdesignの井手さんがこの建築の監修に入っているんですけど、「街でものづくりをしていると、カタログから素材を選んで組み合わせて作るみたいになるけど、筑後とか地域に出かけてものづくりを見ると街では考えられないレベルでものづくりに向き合っている人たちの現場を見たり、話が入ってきて、そこで作り上げるものづくりは、街の中でのものづくりとは違う」っていう話をされていて、なるほど、と唸りました。
福)ここではこの宿のためにオリジナルで製作された家具や調度品が使われていますもんね。
三)そうですね。提灯を使った照明だったりとか…
福)これ、すごくかわいいです!
三)テーブルも藍染の工房に藍で染めてもらったりとか。随所にこだわりがあるし、宿の方も親切にひとつひとつ説明してくれるので。普通の宿に泊まるのとは違う体験がここではできるのかなと思います。おすすめ。
あとうなぎの寝床は全国的に知名度がある会社で、活動自体もすごく面白いので、そういう会社とお仕事で関われるのはファンを超えたお付き合いが出来てすごく楽しいですね。
カワセミデニッシュ
三)次は「カワセミデニッシュ」ですね。これは福田さんがロゴを描いてくれた案件です。
カワセミは福岡・うきは市の「市の鳥」で、「うきはの宝石」とも呼ばれているんです。うきははフルーツの産地なので、フルーツを宝石に見立てて、地元のフルーツを月替りで紹介するフルーツデニッシュを提供するお店を作りたいというオーナーからご相談を頂きました。
それで僕と福田さんでそれぞれカワセミを描いて提案したところ、福田さんの案が採用されましたね。
福)ありがたいです。ロゴの案、いろんなテイストで作りましたね。
三)僕の案は負けました(笑)。でも、決まってしまうと「これしかない」って気がします。
福)それは嬉しいです。
三)今は連日売り切れが出る人気店になっているみたいなので、よかったですね。
いろんなツールも作らせてもらいました。空間を作っているのはインテリアデザイナーではなく工務店さんなんですけど、オーナーさんから家具はどこで買ったらいいですかね?と相談されて、アンティークが気になると言われていたのでkrankさんを紹介したんです。
オープン当初、krankさんの取り扱われている鳥の照明を使われていたので、「これがカワセミだったら最高なのにな〜」とオーナーさんに言っていたら、最近、カワセミの照明を入手されたみたいで…
福)ひとつだけカワセミの照明があるっていうことですかね?
三)そうそう!それがこれです↓
空間にはずっと興味があるので、間接的に関われて嬉しいですね。
PAULINE STUDIO
三)次は「PAULINE STUDIO」ですね。元々「Pauline」という名前で福岡・東京でポップアップをしていたインポートアクセサリーのお店なんですけど、東京の原宿に実店舗を出すことになり、ロゴや箱のリニューアルをさせてもらいました。
その流れで、オーナーの加藤さんから「東京で空間のデザインをお願いできる人はいませんか?」と相談されたので、パッと思いついたDAYSの西尾健史さんを紹介しました。
TOKYO ART BOOK FAIRの会場や山田遊さんとのお仕事で、グラフィックぽい空間作りが得意な方だなと以前から思っていたので、PAULINEのアクセサリーのポップな雰囲気に合うかもと思って。
紹介してからはノータッチだったんですけど、竣工前に現場を見せてもらったらとてもいい感じに仕上がっていて…赤と茶色を基調としたデザインは加藤さんがオーダーなんですけど、そういう意見を組みつつ、運営しやすい仕組みを工夫されたデザインが随所に隠れていました。
広めのお店で、ワインも販売されていて、試飲会や福岡のクリエイターのポップアップも予定しているそうですよ。
ダンデライオン・チョコレート「BLOOM」
三)「BLOOM」は東京の蔵前にある、サンフランシスコが本社の「ダンデライオン・チョコレート」っていうクラフトチョコレートの会社のお仕事ですね。担当の方がWebで僕を見つけて連絡をくれたことからお仕事が始まりました。
福)そうだったんですね。白熊(しらくま)さん!
三)僕のロゴもシロクマなので、覚えやすいお名前ですね。
今回のお仕事は、チョコレートを使ったお菓子が毎月届くサブスクのサービス「BLOOM」のアートディレクションや配送箱、リーフレットなどの制作でした。
普段の福岡の仕事だと、スタイリストさんに入ってもらうことがなくて、フォトグラファーさんと手探りで撮影することが多いですけど、今回は野崎美菜未さんという方に入っていただいて、写真は吉田塩さんにお願いしました。
液晶を覗いて「ここの余白が空いてるな〜」と思ったらサッと洋書が出てきたり、「手を写り込ませましょう」となった時も「シャツはどうしますか?」と3着くらい、事前に何も言ってないのに出てきたりとか…プロとのお仕事がほぼ初めてだったので、スタイリストさんのお仕事に感動しました。
福)いつもはその場にあるものから手探りで画作りすることが多いですもんね。撮影前から色んなパターンを想定して道具を用意したり、状況に合わせてスタイリングを提案してもらえるのはありがたいですね。どのくらいの人数で撮影したんですか??
三)割と少人数で、クライアント3人、制作チームが3人でしたかね。
ハウススタジオを借りての撮影も福岡では中々ないし、普段と違う予算配分で仕事出来たのでいい経験だったと思います。
福)ハウススタジオってどのくらいの料金がかかるんですか?
三)今回のところは1時間で(ゴニョゴニョゴニョ)かな…?それを2日間借りてるので…
福)けっこうしますね。
三)逆に自分達があれこれ手探りでやる良さもあるなとは思いましたね。もちろん予算感も違うし。
福)手探りでやった上でスタイリストさんにお願いして、気づいたことがあったということですか?
三)そうそう。普段から自分達でやらずに人任せだと、自分でやらなきゃいけない現場の時に「私はスタイリストじゃないのでできません!」…とか言ってフリーズしてたかもなと思って。
福)当たり前じゃないから余計ありがたく感じますよね。
三)スタイリストさんとフォトグラファーさんは都内で雑誌の仕事をされている方だったので、僕たちみたいに地方に出かけて打ち合わせとか撮影をすることがあまりないと言っていましたね。それで、東京は東京である意味ローカルなんだな、と思いました。
BLOOMのお仕事はサブスクなので、これからも継続で続きそうです。通常 毎月3000円が初回1500円で届く申込みが1/15締切なので、気になる方はこちらからぜひ。美味しいです!
個展「AO」
三)あと、お仕事とは別で展示の話をしたくて。
これは4月にやった本屋青旗さんでの個展で、青(AO)をテーマにしたグラフィックの展示でした。
大濠公園を散歩しながら見つけたモチーフを描いて、疑似青焼きで印刷した青いグラフィックを展示しました。今振り返るとストレートすぎかもと思うんですけど、その時しかできないノリってありますよね。
福)その時しかできない。そうですね。これを経て、九州芸文館で作っていたポスターが出来たのかな?と思ってました。
九州芸文館「はたらくアート」
三)九州芸文館で開催中のグループ展「はたらくアート」のグラフィックですね。どこが繋がってると思いますか?
福)絵を作品として発表する工程を経て、仕事で絵を描くことが抵抗なく出来ているのかなと。仕事でイラストを描いたのは今年が始めてですよね?この猫のビジュアルとか、宝泉寺のコーヒーのリーフレットの、淹れ方のイラストとか。
福)あ、動いてる…かわいい(笑)
三)いい意味でうざいでしょ?(笑)
福)目が好きですね。
三)無の表情で働いています。
最近、描くことのハードルが下がっているのはあるかもですね。
福)みさこさんがSNSで連載している「#まいにちまんが」もそうですし。
三)ですね。その流れはあったかもしれないです。
福)個展の話じゃないんですけど、来年のMdNのデザイナーズファイルの原稿に「マイケル」が載ってて…
三)あ、そうですね。
福)それ見た時、あ、すごい、マイケルここまでいったのか…!と思いました。
三)マイケル、青旗さんで展示されてた佐々木俊さんがいいですねって言ってくれて、自分でもこれはいいなと思っているのが同じ職種の人に伝わったのが良かったなと思って。
福)マイケル、私の部屋にもいます。みさこさん親子(注:子供も真似して作って販売していた)のが…
三)ありがとうございます!
NEWGRAPHY FUKUOKA ART BOOK EXPO2021
この間、福岡市美術館で行われたアートブックの販売会「NEWGRAPHY」にも参加して、そこではマンガで描いているキャラクターの「はー」を陶器で作って販売していました。それも手応えが自分なりにあって…
福)マンガを知らずに来た人もいたんですか?
三)そうですね。面識ないけど「インスタ見てます」みたいな人も結構いましたね。通りすがりの赤ちゃんが、ベビーカーの中から手を伸ばして掴もうとしてくれたのが嬉しかったですね。
福)かわいい。
三)日高さん(日高印刷)のお子さん2人が目の前でどれを買うかでケンカをはじめたりとか(笑)。ちっちゃい子にピンとくるものなんだなって思いましたね。
福)その反応をその場で見れてよかったですね。
三)自分の中の子どもの部分というか、自分の心にも喜んでもらいたくて描いているんですよね。それがはたらくアートで応用できたかなと思いますね。
NEWGRAPHYでは福田さんも10zineブースでzineを発表しましたよね。
福)そうですね。ずっと祖母とのことを作品にしたくて。そう思ったきっかけは熊本豪雨で祖母の家が浸水してしまったことなんですけど、前に10zineで父のマンガを描いた時から、大事な人とのことを忘れたくないという気持ちが強くて、写真のzineを作りました。
三)うちにも1部ありますけど、素敵なzineでしたね。
福)ありがとうございます。
三)僕は天満宮の記録とか、自宅のアイテムを紹介する写真がメインで、福田さんとは写真の向き合い方というか姿勢が違うから、自分にはないものを感じて憧れがあります。
福)え〜!ありがとうございます…その違いってなんなんですかね?
三)個人的なストーリーと繋がってるかどうかが大きいんじゃないですか?僕が「光がきれいだな〜、映えるな〜」って。なんとなく写真を撮るのとは意味合いが違うのかなと思いますね。
福)三迫さんが仕事で撮る時に気をつけていることってありますか?
三)仕事だと単純にブレないとか、水平が取れてるかとか、映らないといけないものが入っているかっていう正確さが大事なのかな…。でも個人的な写真だったら別にブレてもいいし。僕は何かを紹介するために写真を撮ることが多いので、完全プライベートの写真ってあまりないんですよね。
福)そうですか?
三)今、自分が持ってる写真が全部消えてもそんなに辛くないですね。
福)え!そうなんですね。
三)現在と未来重視のタイプです。
福)みさこさんの部屋の写真とか、暮らしを感じる写真、いいなと思います。
三)ありがとうございます。確かに今年は変化がありましたしね。
シェアオフィスのリトラを出てアトリエを借りたから…。
そういえば、来年は大きめな仕事が増えてきてて。僕と福田さんの2人だと対応が難しくなりそうだなと思うので、リモートで対応して貰える人にスポットで入ってもらおうかな…と思っていて。でも、本当は2人でどうにかしたいんですよね。
福)そうなんですね。急にぐっと忙しくなる時がありますもんね。
三)そうそう、僕が「今日は何もやることないなー」っていう瞬間を作りたいんですよね。
福)それは大事だと思います。
三)年末は京都と金沢に旅行に行くことにしたので、温かいホテルの部屋で、ゆっくり考えようかなと思います。
福)いいですね。楽しいことで締まりました。
三)(勝手に締められた??)そうですね。来年もよろしくお願いします!
福)よろしくお願いします!
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PROFILE
三迫太郎
1980年福岡県北九州市生まれ。福岡を拠点に生活・アート・工芸に関わる分野でデザインワークを行うほか、zineレーベル「10zine」の運営、CINRA「HereNow Fukuoka」キュレーターなど、地域とデザインにまつわる様々な活動に携わっている。
https://taromisako.com
福田奈実
1993年熊本県生まれ。2017年よりデザインワークやイラストレーションを担当している。