自己破産のススメ

 私はお客様の多くに自己破産を勧めています。理由は単純で、お客様にとって、自己破産はメリットでしかないと感じているからです。

 自己破産は、人生の終わりのようなイメージが一般的になっていますが、決してそんなことはありません。私個人としては人生の再出発を後押ししてくれる制度だと思っています。

 私のお客様(自宅を競売にかけられている人)には色々な事情があり、住宅ローン以外にもカードや消費者金融などで多重債務になっている方も多くいます。これまでに最高で約10社から合計約1,500万円の借入をしている方もいました。

 そんな中で、任意売却をすることによって、引越代を工面することができたとしても、借金全てを完済できる人は少ないです。数百万円単位での残債が残る方が殆どです。金融機関は当然この残債も返済するように請求してきます。

 その様な方に、利用してほしいのが自己破産です。

 以下が、ざっくりですが自己破産を勧める具体的な理由です。
1:残債が無くなる
2:任意売却後の生活が楽になる
3:個人情報(ブラックリスト)の記録が無くなるのが早い
4:自己申告しない限り、職場はもちろん家族にも自己破産したことを知られない
5:現在使っているクレジットカードは、支払い遅れ等無い限りそのまま使える

各事項を細かく説明するとこのようになります。

1:残債が無くなる
自己破産をすることで、多くの場合は税金以外の債務は免責となります。(厳密には損賠や詐欺等による賠償金などは免責になりませんが、ここでは簡単に話を進めます)

2:任意売却後の生活が楽になる
任意売却後に残る数百万円の残債やその他に借り入れをしていた場合、それらも基本的には免責になります。金融機関は、残債を月々2万円とかでも回収しようとします。住宅ローンを支払えずに任意売却をする状況の方にとって、家賃+返済分となりかなり大きい負担です。返済分が無くなるだけでも生活はだいぶ楽になるのでないでしょうか。

3:個人情報(ブラックリスト)の記録が無くなるのが早い
仮に300万円の残債を月々2万円づつ返済した場合、150か月(12年半)かかります。個人情報からその返済情報が無くなり、新たに借り入れができるようになるには、完済してから更に5-10年の時間が必要です。つまり、任意売却をしてから最低でも17年半という時間を経過しないと、クレジットカードを作ることも、新たな借り入れをすることもできないのです。それだけの時間があれば、病気で手術が必要だったり、子供の進学だったり、親の介護だったり、結婚だったり・・・等々まとまったお金が必要な機会は何度かあると思います。そんな時に親族・友人に頭を下げて借りるしかできないのです。

 自己破産をして残債が免責になれば、自己破産手続きが終わってから5-10年で個人情報がきれいになります。その期間が過ぎれば新しくカードを作り、再度住宅ローンを組むことも可能です。自己破産をすることで、人生の貴重な12年半を節約することができるのです。個人的には、自己破産の最大のメリットはここにあると思っています。

4:自己申告しない限り、職場はもちろん家族にも自己破産したことを知られない
裁判所に自己破産の申し立てがされると、官報というものに破産情報が掲載されます。これはインターネットで誰でも閲覧できるものです。確かに調べて知ろうとすればわかるかもしれません。ですが、官報をチェックしている人なんて身の回りにいますか?そもそも官報というものの存在すら知らない方の方が多いと思います。職場の人事も、毎日毎日自社の社員が官報に載っていないか確認していますか?しませんよね。職場の同僚も友人も、貴方に自己破産したのかしていないのかなんて尋ねてきませんよね。だから現実的に自己申告しない限り、周りの人が知ることは無いのです。

5:現在使っているクレジットカードは、支払い遅れ等無い限りそのまま使える
先の4にも似ていますが、カード会社も毎日官報など確認していません。カード会社は支払い遅れなど無ければ、わざわざ自社のカードを使ってくれているお客様の個人情報を確認することなどしません。カード会社が官報を確認し自己破産したことを知り、カードの利用を停止する。これまで支払い遅れも無く利用していて、自社に利益をもたらしていたお客様をわざわざ減らすのです。営利企業にとって、何のメリットがあるでしょうか?だから支払いが滞らない限り、殆どの場合はそのままカードの利用はできます。

 いかがでしょうか?これが実際の自己破産です。私のお客様で、数年の後に独立して企業を考えている方がいました。その方にも上記のような理由で自己破産を提案しました。最初はその提案に驚いていましたが、ご自身で調べてみて、自分の勝手なイメージだけで拒絶していたと言い、任意売却後に破産手続きをしました。

 先日、その方と話すことがありましたが、やっぱり自己破産をしてよかったと言っていました。気持ちも楽になるし、誰も言わないだけで意外と多く破産している人がいたようです。

 抵抗があるのはわかります。私も似たようなことは経験しているので気持ちはわかります。自分の力が及ばず、借金という現実に打ち勝つことができずにいる。自己破産という人生の終わりが、現実味を帯びて目の前にある。恥ずかしい?誰に対して?自分に対して?それならばその恥ずかしさを反省してバネにすれば、次の人生をより一層力強いものにできるのではないでしょうか?

 最後に改めて言いますが、自己破産は人生の終わりではありません。再出発を後押ししてくれる制度です。まずはご自身で調べてみてください。選挙権や士業などの資格のことなども含め、ただのマイナスイメージでしかないことがわかると思います。

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