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当たり前に明日はやってこない

小中高校時代は、将来のことなんてまったく予想していなくて、夢さえも描いていなかった。

朝は昨日放送されたテレビ番組の話から始まり、休憩時間は特徴ある先生のモノマネをして、放課後は教室からサッカー部の先輩を目で追いかけてキャーキャーはしゃいで、テストの前日は必死で丸暗記したり。

毎日笑い声であふれていた。私たちにとって大事だったのは方程式や歴史上の人物ではなく、いかに楽しくおもしろく毎日を過ごすか、ただそれだけだった。

「昔の友達」のテーマで書くとなり、すぐに浮かんだのは中学時代の友達のこと。

仲の良かった男の子の話。その子は野球部に入っていて、中学時代好きだった先輩が野球部だったこともあり、その子から先輩の情報を色々教えてもらっていた。きっといい迷惑だっただろうな。

控えめで主張することなく、平和主義。顔から優しさがにじみ出ていて、常に笑みを浮かべている子だった。体が病弱だったので体育や部活にはあまり参加していなかったけど、場を和ますムードメーカー的存在だった。通っていた塾も同じで、ふざけた話ばかりしていたな。


ある時、体育館に学年全員が集められて先生から話があった。いきなりのことだったので、なんだなんだと少し期待もしながら体育館に向かった。

「今、この場所に来れていないメンバーがいる」

いきなり集められて、何の話しをしてるんだ?急な話の展開に頭がついていかなかった。固唾を飲んで話を聞いていると、その男の子の体調が悪化して、昨晩亡くなったのだと。彼は心臓の病気を患っていた。

頭が真っ白だった。

学校、来てたよね?
まだ中学生だしそんなに早く死ぬわけない。
嘘だ信じない。

自分の心臓の音がどんどん強くなっていたのを覚えている。

教室に戻るまでもみんな無言で、鼻をすする音が四方八方から聞こえてきたけど、私は涙が出なかった。先生が再度説明をするも、何も頭に入らない状態だった。


気持ちが追いつかないままお通夜に向かう。そこにいたのは寝ているようなその子の姿だった。とんとんってしたら起きてくれそう。けれど、いつもの菩薩のような笑みを浮かべていなかった。

そっか。もう目を覚ますことは一生ないんだ。花を手向けながら、あふれる涙が止まらなかった。死とはこんなにもあっけないものだろうか。

大事な仲間を失くし深い喪失感に包まれ、何十年経った今でもまだ信じ難い。大事な友達がこの世からいなくなるなんて。


生まれた時から人間は死に向かって生きているけれど、死はいつも突然で、深い悲しみに突き落とす。彼の死はあまりにも早すぎた。3月11日の東日本大震災でも、多くの命やふるさと、思い出を奪っていった。いつ何があるのかなんて、本当に誰にもわからない。


永遠に存在しているものなんていない。それは、人間の命だけじゃなくて例えば今世間を賑わせているコロナウイルスによる被害もそうだ。日本の最強パスポートがあったって、入国させてもらえない国が増えてきた。神話が崩れ落ち、いつまた自由に旅ができるようになるのか見当もついていない。

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POOLOのメンバーがSlackに投稿していたスクショ。


早くあの場所に行っておけば良かった、きちんと気持ちを伝えておけば良かった、仲直りしておけば良かった、もっとたくさん話しておけば良かった。そんな後悔を一つでも多くなくしたいなと思う。

この広告のように、「明日が来るのは、当たり前ではないから」

ありがとうございます!これからも旅先や日常で感じたことを綴っていきたいと思います。旅で世界を、もっと素敵に。