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aiko『赤い靴』を口ずさむとき

このまえ、会社のミーティングで「男はaikoを語りたがる」という話がチラと出て、思い出したことがある。

そういえば、わたしもaikoにどハマりした時期があるなーってハナシ。しかもその時期は、椎名林檎にハマる直前のこと。奇しくもこのふたりはほとんど同世代&同時期にデビューしているという偶然。

わたしがaikoで特に好きな曲は、『キラキラ』『悪口』『赤い靴』。

特に『赤い靴』は、aikoにどハマりしたきっかけになった曲で、当時のぼせるようなホカホカの片思いをしていて、でもそれは確実に叶わぬヤツで、想いを告げずに終わりかけ、一気にこの恋心を自分から引っぺがしてしまいたくて『赤い靴』を聞きまくった記憶がある。

「バイバーイ」という歌詞を何度カラオケとか心の中とか誰かの目を見てとか言ったことでしょうか。

今となってはただの14歳の、竜宮城の中で見ていたようなピチピチした片想いでした。

よく、失恋したりなんだりで、いろんなことがうまくいかなくって気分が落ち込むと、アガる音楽を聴くか、それともどん底まで落ちる曲を聴くかなどという質問があるけれど、わたしの場合は等身大のそれを無意識に選んでいるようだ。

なんとかなるかもしれないし、諦めたくないけれど完全ポジティブにはなりきれない、不安で寝不足になりつつ、でも希望は捨てたくないというあの釈然としない蛇の生殺し状態の鬱屈としたココロを、うまく代弁してくれるものを選んでそればっかり聞いている。

その、初めての「どうにもならん恋心」をうまく言い当ててくれたのがaikoの『赤い靴』だった。

とにかく明るい曲調で、ギリギリ友達にバレない程度の平穏を保てる元気をくれるけど、泣きながら笑うような、笑いながら涙が止まらないような、そんな歌。

わたしがこの歌を口ずさみたくなるのは、塞ぎかけで重たくなっていく頸を、空元気でもいいから現状打破して、なんとか前を向きたい時。

いま、“情愛持って”「バイバーイ」と手を振るのは、何も知らずに笑っているあなたへ、なのか、塞ぎこんで陰鬱とする寸前のわたしへ、なのか。

それは誰にも分からない。

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