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京都暮らしエッセイ

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京都が大好きで、京都に暮らし始めました。ささいな暮らしの中で感じること、街歩きのエッセイを集めています。
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京都の夏を楽しむ │ 下鴨神社 みたらし祭

祇園祭の前祭が終わって、すっかり空気が梅雨から夏へと変わった。京都の夏は暑い。本当にうんざりするほど暑い。 けれど、そんな夏の京都にはたくさんの神事がある。神社やお寺が多いからか、いたるところでお祭りが行われているように思う。そのひとつが、下鴨神社のみたらし祭、通称足つけ神事だ。 うだるような暑さが少し和らいできた夕方に、糺の森を抜け下鴨神社へ向かう。少しずつ夕方から夜へと移りゆく空気を感じて、この移り変わりは「夏だなぁ」と思わせてくれる。 「足つけ神事」ともいわれてい

やっぱり京都の街が好きだと思わせてくれる日のこと │ 祇園祭 前祭 山鉾巡行

7月17日、今日は祇園祭 前祭の山鉾巡行の日である。京都の街がいちばん浮足立つ日といってもいいかもしれない。残念ながら夜行われる神幸祭には行けないので、今年は巡行に合わせて朝早くに四条に向かう。 祇園祭の交通規制の影響で私が乗っていたバスが四条まで行けず、だいぶ手前で降ろされた。改めて京都の人たちはそういった面倒事も受け入れてこの祇園祭の期間を乗り切っているのか、と感心する。 朝8時、山鉾巡行がスタートする少し前に四条を訪れる。巡行前の山鉾を間近で見られるからだ。昨日まで

京都暮らしの夏の楽しみ方。祇園祭の過程を眺めてみる。

さて、今年も京都に7月がやってきた。7月の京都といえば、言わずもがな、「祇園祭」だ。7月になるとほぼ毎日のように祇園祭関連の行事が続くし、街全体が祇園祭仕様になっていく。 2年前、京都に仮移住しているときに初めて祇園祭を目にし、あっという間に虜になった。当時滞在していたゲストハウスが四条に近い場所だったので毎日のように街に繰り出して。京都の街が発する熱気や、果てしないほどの伝統や歴史を受け継いで今も続いている凄まじさ。街にさりげなくとも圧倒的な存在感で姿を見せる山鉾たちを見

京都暮らしの半年を写真と言葉で振り返る │ 何気ない日々でこそ美しい

京都での暮らしも、気づけば2年が経とうとしている。あんなにも京都で暮らすことが憧れで、遠い存在だと思っていたけれど、今ではもう、すっかり日常だ。 好きな街で暮らすということは、ささやかな日常でさえ、愛すべき存在になるということ。当たり前すぎる日々の暮らしからも、幸せや素敵だと思う景色をたくさん吸収できる。憧れだった暮らしが実現したことの嬉しさを噛みしめながら、この2年間を過ごしてきた。 2024年前半の京都暮らしの記録として、訪れた場所やお店を、写真と言葉で振り返ってみよ

憂うつな梅雨を彩る、京都暮らしの紫陽花めぐり

桜、紅葉、新緑、紫陽花、チューリップ、コスモス、金木犀、ネモフィラ、日本で暮らすということは、季節ごとの花を愛でることなのかもしれない。それだけ、次から次へと見頃の花々が移り変わる。 京都でも、ついこないだまで桜によって街全体が浮き足立っていたというのに、新緑の瑞々しさを感じていたら、次は紫陽花だ。あっという間に、目の前の景色が移り変わる。 そんななかでも、私は数ある花々のなかで上位で紫陽花が好きだ。 一色では表現できないような曖昧な色の広がりや、前日の雨によって水滴で

京都暮らし、新緑を巡る朝活│鴨川、下鴨神社、京都府立植物園

昨日は6月のスタートにふさわしい、晴天の日だった。暑いけれど、朝はまだひんやりとした冷たい空気を感じられる。紅葉の名所が多い京都は、いままさに新緑の美しさが際立つ。あふれんばかりの緑を追いかけながら、京都の街を歩いた朝活の記録です。 朝の空気を纏う、鴨川にて大好きな大好きな、朝の時間の鴨川。ゆっくりと太陽が昇り、だんだんと景色は明るくなっていく。散歩やランニングをする人たちが行き交い、静かだけど確実に人の暮らしに根付く何かを感じられる時間。日差しにあたると少し暑いくらいだっ

京都暮らし、晴れた日の朝活│左京ワンダーランド

「明日は晴れだ」 天気予報を見て、大きな晴れマークがついているのを確認するのは、私が幸せを感じる事柄のひとつだ。次の日が休みであればなおさら。 というのが、「明日は晴れだ」ということを確認してからの、脳内の動きだ。やっぱり晴れだったら出かけたい。でも暑いのも人が多いのも苦手だから、朝早く出かけよう。そう考えてから、軽い計画を立てる。ああ、計画を立てて明日の過ごし方を妄想するだけで、楽しい。 そして、今日。朝から雲ひとつない青空!日中は暑くなるとはいえ、朝の気温はまだ20

桜から新緑へ。季節の巡りをこの目で観察すること。

京都の多くの名所では桜が散り始めていて、少し寂しい。せめて少しでも春を長引かせようと、今まさに満開の場所を探てみる。そこで、妙心寺退蔵院の存在を見つけた。ちょうど大きなしだれ桜が満開だそう。退蔵院であれば自転車で行ける。今日は晴れだし暖かくてちょうどいいだろう。よし、行こう、と朝に決めて退蔵院へ向かった。 境内を歩いてすぐに飛び込んできたのは、とてつもない大きなしだれ桜。薄ピンクの花を咲かせて、青空をバックに堂々たる姿で咲き誇る。 桜の好きなところは、否応なしに上を向かせ

京都暮らしの春巡り。近所の名所・東寺と六孫王神社を定点観測

京都には本当に多くの桜の名所がある。どこに行こうか、どのように過ごそうか。選択肢はたくさんある中で、逆にたくさんあるからこそ、途方もない気持ちになり、選択疲れに陥ってしまう。 去年の桜の時期はというと、鴨川(賀茂川)でひたすらピクニックをしていた。お寺や神社を巡るわけでもなく、ただ目の前の景色をうっとりと眺めているような。 今年はどのようにして過ごそうか。引越した関係で、大好きな鴨川が遠くなってしまったし、観光客が例年以上に多い今年はなかなかゆっくり過ごすことはできないか

春の京都の片隅を歩く。桜の行方を追いかけ彷徨う日には

4月1日。新生活にドキドキしたり、そうでなくてもなんとなく背筋がピンとしたり。フリーランスで特に環境に変わりはない私ですら、「新しい区切りだな」と思えるこの時期が好き。4月1日、桜の開花も進みつつあり、そして京都の天気予報は大きな晴れマーク。いいスタートを切るためにも、始まりにふさわしいこの日を、桜巡りDayに充てることとした。 気づいたら、1日で10キロ近く歩いていた。歩こうと思って歩いたわけではなく、桜を追い求めていたら、歩いていたのだ。バスは混雑していてあまり乗る気に

京都暮らしの春巡り。春を先取りする、長徳寺のおかめ桜

京都暮らしの春巡り。京都暮らし2年目の私が、大好きな京都で過ごす春の美しさを記録として残しておくnoteです。こちらのnoteに続き、第2弾は一足早い春の訪れを知らせてくれる、長徳寺のおかめ桜について。 京都の街で、春の訪れをひっそりと知らせてくれる場所3月中旬にもなるのに、雨が降ったり気温が10度近く下がったり、100%の気持ちで「春が来た!」と言えない気候が続く。まだ真冬に着ていたコートとマフラーは欠かせないし、長時間の外出は厳しい。本当に来週には桜が満開になるのだろう

京都暮らしの春巡り。梅小路公園で一足早い春の香り

京都が大好きで、気づけば京都に暮らし始めていた。京都には有名な寺社仏閣がたくさんあり、観光客の心を惹きつけて止まないけれど、この1年ちょっと京都に暮らして思うのが、京都の魅力は日常にこそある、ということだ。 京都に暮らし始めてから、昨日と今日と明日のそれぞれの景色の移り変わりをこの目で確追うことの楽しさを知って。春夏秋冬だけでなく、春と夏の間、冬と春の間、季節の移り変わりの美しさを愛おしいほどに感じられる。その移り変わりを体感できるのが、旅行と暮らしの決定的な違いだと思う。

京都が大好きな私が、さらに大好きでたまらない場所について。丸太町~出町柳~鴨川

京都が大好きでたまらずに移り住んでしまった私だけれど、その京都の中でも、とりわけ大好きなエリアがある。それが、神宮丸太町~出町柳~下鴨神社のあたりだ。地図でいうと、鴨川が左右に分かれて、賀茂川(西)と高野川(東)に分岐するちょうどそのあたり。 晴れた日には、ついこのエリアを散歩したりカフェにふらっと立ち寄りたくなったりする。数ある大好きな京都のエリアの中でも、特別視したくなるほどにお気に入りのエリアなのだ。 今日はそんな大好きな場所で過ごすお気に入りの時間、場所をまとめて

晴れた日、鴨川にて。

久しぶりの、晴れの日だ。ここ最近ずっとどんよりとした曇り空で、時にはしとしとと雨が降り続いていた。東向きの寝室には、本来なら朝の時間を知らせるかのように、あふれんばかりの太陽の光が差し込むのだけど。ここ1週間くらい太陽の光が届かず、つい目覚めが悪くなっていた。 けれど、今日は違う。ベッドに降り注ぐ太陽の光を感じたとき、「あ、今日は晴れなんだ…!」と、届く日差しを全身に浴び、一瞬にして目を覚ますことができた。 うれしい。そんな単純な気持ちによって顔がほころぶのが分かる。サボ