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見上げればいつも四角い青空#11 「洋の東西を臨み、サバサンドを食す」を想像してみる

我が家のすぐ近くにあるケバブサンド屋さんが、郊外に移転することとなった。土曜日の朝、ベッドから起きたときに思い浮かぶと、うちのおくさまにわがままを言い、連れだって朝ご飯を食べにいったものだ。

ピタパンにたくさんの野菜とこれでもかというほどの肉が詰められたケバブサンドを頬張ると、異国の香りが鼻から抜ける。聞けば、スタッフはみなトルコの方々で、東京に居ながらにして異国を感じられる場所だった。

トルコ、その中でもイスタンブールは、ずっと行ってみたいと願い、まだ観ぬ地だ。古代から地中海交易の要衝として栄え、オリエントでありオチデントでもあり、そして、イスラム教世界でもありキリスト教世界でもある。
イスタンブールを知ったのは、おそらく社会の教科書だったけど、行ってみたいと強く願うに至ったのは、「深夜特急」(沢木耕太郎著)を読んだ影響だ。

中でも印象深かったのは、沢木氏が、ヨーロッパサイドとアジアサイドのフェリーでの移動を『五リラ五十クルシュの優雅な航海』と名付け、幾度となく往復し、ガラタ橋を臨む海辺でフィッシュ・フライ・サンドウィッチを食べ、『はるか遠くの国に来たはずなのに、アフガニスタンやイランを経て、また日本に近づいているような気がしてきた。ただ、海があるというだけで、ミカンを買ったというだけで、魚を食べたというだけで…』と書き、日本を懐かしんだ様子だ

トプカプ宮殿では、「洋の東西」という言葉のままに、窓からヨーロッパを見ることができ、別の窓からはアジアを臨めるという。

もう少し落ち着いたらなどと悠長に構えず、サクッと行ってみようか!と、うちのおくさまに相談もなしに決意しそうになる。
そしてボクは、自分がアジアとヨーロッパをフェリーで行き来し、ガラタ橋を眺めながらサバサンドを食べている様子を想像する。

でも、先ずは移転してしまう前に、おくさまを誘って、ケバブサンドを食べに行こう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
同じようでいて同じではない日々の生活の中で、感じたことや考えたことをスケッチしています。
よかったらまた立ち寄ってください。

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