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詩 『都合の良い関係』

間違っているかもしれない、
それでも居心地が良ければ
そっと隣にいてもいい

都合がいいと思っているのは、
思われているのはどちらでもなくて、 
ただそっと私達の歩幅で会話を弾ませる

黙っていたって
お互いに心がわかるような
さりげない空気を纏って、

本当はお互いのことなんて何一つわからない
本当に大切な人も
本当に愛する人も何一つわからない

それでも何かが私達をつなぐ
曖昧だと言われればそれまでで
決着をつけようとすればそれまでだ

だけどあえて
私達はこの曖昧と呼ばれる関係を望んだ
流れ着いてしまった
きっとあなたはこういうだろう

付き合おうといえば嫌だと言われ
結婚しようといえばいいよと言われるだろうと

それでも隣で静かに座る
そっと座る

大切な人の話をしながら
詮索なんて一つもしない
その願いが叶うように祈る

好きな食べ物の話も
好きな人の話もした
それだけで
それを利用しようとはしない

どちらが沼にはまっているなんて
考えもしない
きっとどちらもこの空気に
思ったるい空気にはまってしまったのだと

いつか終わりが来ると思えば
それは一瞬の時間で
みんなが羨ましがる時間の一つかもしれない

他の人とは違うから
電話もしないし
必要以上のラインだってめったにしない
DMなんて使わないし使う必要もない

家族以上恋人未満で
恋人以上友達未満で
実は友達未満なだけかもしれない


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