君が世

ガードレールまでも綺麗に見えた、カウンセリング帰り道。どこまでも続く道路の白線だけが私を導いてくれる。やけに世界がキラキラしてるなって思ったけど、死に近いだけだった。

不幸のレッテルを貼られてしまった私は俯いて歩かなくちゃいけなくて、堪えてもいなかった涙がこぼれた。幸せな人間になれないからせめて幸せにみえる人間でいたかった。生身をまもるレースのスケルトンは私の自慢だったのに、それを化けの皮みたいにさ、ふざけんな。ふざけんな。

私を救わない神はいらない。お前を救わなかった神はもっといらない。この世に神なんか存在しなくて、あるのは嘘と無駄と少しの本当。嘘を崇拝して、無駄を祈り、本当を信じない馬鹿ばかり。神こそが人間の生みだした嘘なのだから笑える。私の喜びだけが本当で、私の苦しみだけが本当で、それ以外の全てが嘘で無駄。思想強いくせに芯がないから矛盾でも愛しておけ。お前にはそれくらいがちょうど良い。現代の神は私の本当を嘲笑う。私を救わない神はいらない。私はいつまでも君だけを、本当だけを、信じていたいだけ。

人生が打ちのめされた日、はじめて死を意識した日、それからの毎日、すべてが地続きで、あり得なかった。たしかに私はこの世界に絶望をしたのに、朝が来て、君が起きて、夜が来て、君が寝て。ありえない。ありえない。この世はゴミだ。あの世の世論が知りたい、それが死にたい理由。それだけで良いと思った。それだけが良いと思った。ずっとずっと先に書いた遺書の行方を君はまだ知らない。それで良いと思う。

私の言葉は、命より重い。
ニュートンも笑っちゃうくらいの重力で君を強く強く愛せたなら、君は宇宙だと思います。

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