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10連休を満喫する旅の記録 2日目

意気揚々とはじまった初日
まさかの船酔いで太平洋クルーズを満喫することもなく、朝を待つ。

6時 起床

どこでもすぐに眠れるという特技を発揮して、気づいたら夢の中。
目が覚めたときにはもうすっかり朝である。
なんとなくふわふわとした感じはあるものの、気持ち悪さはない。
出港時は真っ暗で風景どころではなかったが、よく晴れた青空の下、目の前に広がる太平洋。
想像より陸地に近い。
お風呂はオーシャンビューだったが、女風呂が日本列島側で、昨夜楽しめなかった分の景色を満喫。

到着は13時。
だいたい3分の2ぐらいまで進んでいた。起きた頃は岩手のあたり?
Google Mapで位置を確認しつつ時間を潰す。また気分が悪くならないように基本ゴロゴロ。
船の中は電波が微妙。docomoはほぼ入っていたけどsoftbankは死んでいた。ど田舎の旅はsoftbankは危ういことを感じることが多かった。

寝たり起きたりしているうちにランチタイム。
朝食バイキングもあったけどスルーしたので割とお腹は空いていた。昨夜空っぽになったこともあり。
昼は食堂でカレーのお弁当を購入できる。500円。
やっぱり船といえばカレーである(金曜日ではないけれど)。
キーマカレーはなかなかの味だったが、酔い気味だからスパイスが更に美味しく染みた気もする。
お米が美味しいのはよい。

食事が終わって荷造りなどをしていたらあっという間に到着。定刻通り。
苫小牧は初めて。ただ特に見るものも出てこなかったので車をピックアップして今日の目的地へ移動することに。

14時 苫小牧出発

苫小牧で車を借りて、トマムに宿泊。翌日は小樽に車を返却することになっていた。
船の遅れやらトラブルも想定していたけれど、万事順調でむしろ時間が余るくらい。
せっかくなので夕張に寄ることに決定。苫小牧から2時間かからないぐらい。
実に8年ぶりの運転で若干緊張。
奇しくも前回の運転も北海道だった。道が広くて真っ直ぐで混雑していないのでペーパードライバーには向いていると思う。

今回の旅行では800キロぐらい運転したと思う。これを機にもう少し頻度を上げて運転したいものだ。

16時 夕張到着

さて夕張には来たものの、なんと一番の見モノと思われる炭鉱が火事……。出発数日前にニュースで見て知っていたが、よく燃えそうだし、消えなさそうだなあという予感が的中し、この日も炭鉱は燃えていた。貴重な観光資源が。
特にどこへ行くあてもなかったので、ひとまず夕張駅へ向かう。
「駅は町の中心だろう」という想定がある。到着して思い出したが、なんと夕張支線は廃線になったばかりなのだった。
駅舎は残っているけど、元の役割を奪われた箱である。

電車の旅が好きで、青春18きっぷで何度も旅をしたし、海外でも好んで電車を選んだ。スイスからイタリアに移動した際は世界一長いトンネルも通った。
鉄道が無くなっても生活は続くし、使い勝手が良いものでもなかったかもしれないが、何か「終わった」ような感じがしてしまう。

まだ時刻表が残っていて、売店でお土産を売っていたお姉さんが
「どうなるんですかねえ」
と話していた。
この日は4月28日。平成も残すところ3日であった。

駅舎の隣には横丁スタイルの飲食店が入った建物があった。
GW初日だというのに人影はまばら。中途半端な時間だからか、それともこんなものなのかはわからない。

居酒屋、うどん屋、インドカレー屋などバラエティに飛んだ顔ぶれ。オーダー到着時に会計するスタイルで、別の店の商品も注文を取ってくれる。

イチオシのカレーうどんを選択。
調べたら本当のソウルフードはカレーそばらしい。
2食連続4時間ぶりのカレーだとは着丼してから気づいた。
出汁が効いているからか、和風っぽさがあり、サラッとしている。濃い。よく食べるうどんチェーンのカレーうどんとは違いがあるが美味しい。

アスパラ巻きも食べた。
アスパララブなのでこの旅では見かけると食べていた。アスパラは本当に美しくて美味しい。

17時 トマムへ移動

お腹も満たされたところで、宿泊地のトマムへ向かう。下道で1時間程度の距離。

夕張と言えば、メロン、破綻、炭鉱、そして幸福の黄色いハンカチ。あらすじも結末も知っているが、実は未視聴。
ロケ現場があるらしいという情報を見つけて立ち寄ってみることに。
整備され、売店があった。
近くまで行ったものの、なんとハンカチがたなびく姿を見るのは有料……。
そこまでの思い入れが無かったこともあり、引き返してしまった。

この先に黄色いハンカチがあるのだ。

夕張は破綻した自治体として今もよく取り上げられるが、実際にどんな状況なのか興味があった。途中wikiやニュース記事を読んで暗い気分になったのだが、車で走る分にはよくあるど田舎の町。
そもそも何もないので、むしろ人気のない温泉街とか、シャッター商店街の方が悲哀があるなと考えたのもつかの間。

たまに現れる体育館や公民館のような施設は揃って廃墟。修繕されることも解体されることもなくそのままある。
誰も管理することもなければ、壊すこともしない。なんの価値も生み出さない建物がこれから日本中に生まれていくのだろうと想像すると暗い気持ちになる。
かつてはここに営みがあったはずなのに、用がなければ見向きもされない。壊すことも痛みはあるが、その先には未来がある。朽ちるままにその場に残される物には未来がないのだなと感じた。
もう少し時間があれば、町中を見て回ってもよかったかもしれない。

18時 寄り道

夕張からトマムまではひたすら田舎道。
並行して流れる川に近づいたり遠ざかったり。青い美しい川だけど、まだ季節は遅れていて秋と冬の間のような風景。

特になにもないけれど、ただ景色を眺めるだけでも心地良い時間。
しかし、GWの北海道は寒い。
8年前はもう少し寒かった上に、雨の中釧路湿原でカヌーを漕ぐという苦行をおこなって「GWに北海道は早い」と学んだのに。
次は6月に来ようと2度目の誓い。

19時 トマム到着

トマムと言えば星野リゾートではないか。というぐらい、周辺になにもないのだが(失礼)、富良野〜美瑛まで1時間ほどの距離なので、広大な北海道を旅する中で宿泊するにはいい位置。
星野リゾートはすでに満室だったし、今回は宿泊については「立地と最低限の清潔感」という寝る場所としての判断しかしていないので、安宿に宿泊。ホテルと言うより大きなペンションといった感じ。
楽天トラベルの口コミで「ジンギスカン臭い」と書かれていた通り、到着した頃はちょうど夕食タイムだったこともあっていい匂いが充満。

20時 星野リゾートトマム

トマムに泊まる目的は水の教会を見るため。
安藤忠雄先生の名建築である。
星野リゾートトマムは雲海テラスで有名だけど、2019年はGW終了後のオープンということで残念ながら見られなかった。

水の教会は結婚式場として使われるので、見学は朝、昼、夜に30分〜1時間程度可能。GW中は朝は見学が出来ず、それも残念だったが仕方ない。
だけど思わぬ良いこともあるもので、ちょうど着いてすぐに花火がはじまった。
しかもウッディで焚き火(本物)の揺れる素敵なスペースで見学。

空気が澄んでいるせいか、文字通り満点の星空に上がる花火は格別。
そして花火を写真におさめるのは難しい……。
スマホでもパシャパシャ撮れるので、実物を見ていないなということがよくあるからちゃんと記憶に残しておいたほうがいい。

星野リゾートトマムは悪く言うとテーマパークっぽさもあるけど、きちんと整備されて安定感のある空間が提供されていて、子連れや高齢の親がいるなど手近な場所で満足できる時間を過ごしたい人に向いているなという印象。
実際トマム周辺は特になにもないし。

少し時間があったので、先に腹ごしらえすることに。
教会を見た後に、ホテルの人におすすめされた居酒屋に行くことにしていたのだが、なんとこの日は定休日だということが後に判明。
しかも他に店はなく、コンビニは往復1時間の距離……。
これが今夜最後の食事になるとも知らず、「あとで食べられるし軽めにね〜」と気楽に楽しんでいた私たち……。


ボウル&ロールハウス Eni
ポップな店内では、アメリカで魔改造されました系の海鮮メニューが提供されたが、味は美味しかった。結局素材の美味しさがキモである。

あらためて見ると芋虫感はあるが、穴子とアボカドのロール寿司は思い出しても美味しかった。
ここでビールと行きたいところだが、車があるので酒が飲めないのがつらい。このつらさはこの旅で幾度となく味わうことになる。

行ってから知ったが、星野リゾートトマムの敷地はかなり広い。
レストランなどがあったホタルストリート(今調べて知った)から水の教会までは、いくつか建物を横断して10分ほどかかる。
もう7年ほど前になるが、星野リゾートが主催していた連続セミナーに参加したことがあり、当時トマムの支配人だった方に話を聞く機会があったので個人的に親しみを感じていた。
再生案件なのでいろいろ大変なこともあったのだろうな。この場所では苦しかろうなどなど思いを馳せる。
世界観はしっかり作り上げられていたが、ハード面はけっこうコストを抑えているなと感じる部分が多かった。

水の教会は建物の背後からアプローチするルートになっている。
今回の旅では期せずして安藤建築を多く見学することになった。この建物の入り口までダイレクトにたどり着けない構成は個人的に好きである。


GWということで、混雑しているかなと思ったけど先客は10名ほど。
フロアから水面が同じレベルで広がっている印象的な風景。中と外から見ることが出来て、写真の数倍広がりと清らさかを感じる。
夜の落ち着いて照明が浮き上がる感じも良かったけれど、やっぱり朝に見たいなあと思った。

ほどなくクローズの時間ということで、見終わった頃には電気も消されてしまった。
1988年築ということで、傷んでいる部分はあったけど古臭さはまったくない空間。
この建築の人気が高い理由がわかった気がする。

心清らかにホテルに戻ったのだが、お目当ての店が休業で、もうごはんが食べられないことを知ってゴネたので、すぐに魂は濁った。
悲しみと空腹を抱え寝た。

でも2日目にしてぎゅっと濃厚充実な1日を過ごすことができた。

3日目に続く。

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