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せわしない


かわいいケーキを買い ニヤつき

見つけた桜を写していると
風で自転車がひっくり返り
ケーキの箱がふっとんで
あわてふためく

自転車の向きをかえ
これで倒れないだろうと
写真に夢中なっていると
またもや ガッシャ―ン

飛び出したケーキの箱をカゴに入れ
自転車をヨイショと持ち上げると
勢いあまって反対側に倒れるという

なにやってんだ私はと 呆れ

まだ写したかった桜を諦め

今日の一番の目的は
お気に入りの桜が
まだ咲いていないかの確認だからと

自転車を安全な場所におき
歩いて近づくと
なんか嫌な感じなのだ
あの屋根の向こうに木がある気配がない

ない

住宅と塀の狭い間に
きっと勝手に育った桜は
根本からバッサリ切られていた

ねぇ
木を切る人って
なにを思い切るの?
桜だよ?
誰が切ると決めたの?
どうして?
絶対切らないとダメだったの?
桜なんだよ
私以外の人だって
毎年咲くこの桜を楽しみに
見上げていたと思うよ
こんなところに桜がって
面白がって
愛でていたはずなんだ

そんな思いが沢山の人の中にあるのに

仕方ない仕方ないと分かっていたって

お気に入りの木が切られ
消えてしまうたびに

しょぼくれる

お気に入りの木を見てまわる習性は
子供の頃からずっとで

趣味というか
私にとって当たり前のことで

ずしりと重苦しい気持ちで帰宅し

ケーキの箱を開けると
なんかもー原型をとどめていないの
あわれな姿に笑えてきてしまった

そりゃーそうだ

3回も箱をひっくり返したのだから
ぐっちゃぐちゃだ

小さなケーキは3段目に…確かね?
淡いピンクのクリームがのっかってて
箱についたクリームを指ですくい
舐めるとベリーの甘酸っぱい味がした

ひどい ひどすぎると笑い

マイナスを 見事なマイナスっぷりが打ち負かし

取り敢えず 最後に
笑ったもん勝ちってことで
なんか違うような気もするけど

笑っとけってことだよ




古い長屋の裏手 雑然とした民家と桜ってコントラストが好きでした。

あと何年か通えば
もっと上手に写せたかもしれないのに
残念

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