夕焼け
誰かが追いかけてくるのか
うしろに気配を感じて振り向くと夕焼けだった
手当のつかない残業をして 公園に鍵をかけ ゴミを捨て
バスを待つときにあまりに明るいので驚いた
降りるべき場所を逃さず降りる
タチアオイが背筋を伸ばして お帰り という
細い猫が小道を横切っていった
空に呼ばれて 来た道をすこし戻る
屋根の向こう 電信柱の先 昨日と明日の境界線
営みのつよさとかなしさがいちにちをもやす
帰り道 という名の裏切らない約束
茫とした夕焼けの手招きで歩いていく
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