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穴澤孝太郎の短歌シリーズ(他にも15万字の原稿あり)


月明かり虫の音運ぶ夏の風耳にし我はなんと鳴く 
青信号呼ばれし君は物思いふけゆく夜に急ぎ足
バス乗りて寒風強し避ける我隣の人はなんと思う 
夕飯で疲れを癒し慰めるありふれた日々悪くない
朝起きて初蝉鳴きて夏告げぬまだ寝ていたい蝉知らぬ顔
過去ひどいあなたはどうして生きて行く詫びの気持ちが赦しに溶けて
ありがたい運命(さだめ)が追いぬ光の樹満たされし愛共に喜び
コンビニで暑っ!と書かれし飲料水滴る雫は我と同じかな
働きと犠牲の上に成り立つはそれを忘れぬ感謝の心
今生きる遥かな道が照らす先光となりて道となりぬる
タイヤ鳴るネオンの街で舞踏会仲間は何処(いづこ)朝まで走りて
今生きる安らかな声奏でつつ語りし海は月夜の闇に 
静寂の響きを奏で安らかに月夜の海に心映して
無上なる喜びの中暮らしゆく変わらぬ日々に想い溢れて
何よりと心つぶやき感じ入る夢見心地で今日も終わりて
食卓で光り輝く瑞穂米命を紡ぐ神の働き
吹き上がる宇宙に放つその力鼓動伝えし神の息吹か
夜が明けて冴えた空気に胸いっぱい小鳥の歌は歓喜の中に
魂が大きく呼吸GODのそばにあなたに降りるその日から
光射す晴れゆく心そのままに影から生まれ愛に溶けゆき
赦すとはすべてを包む愛の技責める心も鳴りを潜め
仕事せず家でぐうたら寝る夫解雇の波に心休めて
わからない寝てない自慢何故するのタフな男と見られる喜び 
星明かり照らすスキなく夜街灯 寂しさ募る人の心かな
シャター降ろす女将の背中物語る愛する夫と暮らす喜び
夜7時商店街は明かり消し明日の勤めまで一息入れよう
門入る激辛グルメ列並ぶ尋常ならぬ汗で満足
八咫鏡闇の底にて我映し笑う姿に怖気が立ちて
チョコレート愛する気持ちしたためるあなたのうちに木霊する味
あるがまま感じるままに抱きいずる常世の夢に現世かくも 
異邦者辿る天啓懐かしい天地繋ぐ天の御柱
純白の雪覆う城梟(フクロウ)の鳴くも鳴かれぬ決戦前夜に
さざれ石小鳥と歌う千の花弥勒咲き出て永遠の依り代
蓮の花清めの儀式生きる道泥から生まれ天に帰りて
風香る愛に眠りて語る君夢から目覚め春を寿く
かぐや姫月夜に浮かぶ羽衣に雲の闇さえ恥ずかし隠れる
山登り夏もたけなわ水涼し暑さ貫く汗を放ちて
トイレで待つ作戦勝ちの蚊が一匹刺されまいとしモジモジ動く
非常食美味しいお菓子食べてしまい乾パンまずいそれも役割
薔薇の花生垣の隙間凛と誇る孤高の呼び名相応しきかな
星明かり暁の夜ギンギンと凍てつく大気熱気冷めやらぬ
不相応近づきし罠心得よ何人たりと我を露知らず
濡れ落ち葉踏み惑う人しげしげと眺め入りたる束の間の時
愛するは胸の痛みの意味を知る離れたくない笑顔のあなた
沈黙は微笑み添えて花となる抱きしめながら香りあふれて
落ち葉舞う風楽しげに散歩道カサカサ鳴るは暮れゆく秋に
雲の色白に化粧す黄金色大きな空に見染め流るる
幸せが濁流となり打ち寄せて身を弄ぶ喜びの朝
朱に濡れて千柱から御仏の風に香るは露より先に
朱色の不死の息吹きが冴え渡る水面の霧は黄泉の狭間で
静寂の雪降る夜に語る君親の仕打ちに凍えた心
綺麗だと盗み見るしか情けない蝶の標本一つ増えた
貝殻の波間に揺れて雲隠し泡姫眠る夢はかなしと
牡丹とは香りゆかしき春の花 佇まいから祖母の面影
夏早し雲の海原月乗せて物静かなり帳に溶けて
愛してる響き合う波黄昏の夕日に沈む想い遥かに
らしくない我慢に満ちる希望の灯明日は我が身耐へて超え行き

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