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アラサーデザイナーがアニメ声優オーディションの一次審査を通過するために考えた戦略

少し前ですが、アニメの声優オーディションの一次審査(書類+ボイスサンプル+簡単な自己アピール文章)を通過した時に考えた戦略です。
ちなみにアラサーと書いていますが、西郷隆盛だったらあと数年で明治維新をするくらいの年齢です。

オーディションをうけた理由は、自分でご当地キャラクターを運営して声優募集もしているし、ビジネススキームにも興味があって....と書けばカッコはつきますが、キャラクタービジネスの端っこにいるクリエイターの好奇心です。

演技力でもアイドル力でも勝てないデザイナーが、デザイン思考を持って挑んでいった話です。
オーディションの書類選考突破の時に考えた戦略は声優の友人たちも面白がってくれたので公開してみます。

デザイン思考とは何なのか

デザイン思考とは何なのでしょうか。Wikipediaには以下と書いてあります。

デザイン思考(でざいんしこう、英: Design thinking)とは、デザイナーがデザインを行う過程で用いる特有の認知的活動を指す言葉である。

ざっくり説明すると、プロダクトを理解しその先にいるユーザーを理解し、仮説をたて、戦略や問題解決方法を見つけていく思考法です。
私の本業はITスタートアップのUI/UXデザイナーですので、調査を行い、仮説をたて、実行しています。

この考え方はデザイン現場だけはなく、ビジネスなど様々な現場で応用されている思考法です(詳しくは専門書を読んでね!)

演技素人のアラサーデザイナーが現役声優に勝つための棚卸し

まずは自分自身の強み弱みを整理します。
なぜならこれを見誤ると突破も何もないからです。私は声優としての現時点のアドバンテージは0。オーディションで勝つには強みと弱みを理解し、審査突破を目標に作戦をたてるしかありません

まずは強みです。今回は圧倒的差別化ポイント、他の応募者に負けないポイントを整理しました。
ただでさえ演技力はなく、若さも足りないためそれ以外で勝てる部分を棚卸しします。

〈強み
・ご当地キャラ運営
・歴史をテーマとした活動が長いため、トーク対応可能
・デザイナーとしての実績とデザイン思考

上記から見えてくるのは、デザイン思考をもって戦略や解決方法を考えられること。まさに今やっている思考の整理がそれです。
そして歴史好きというのは圧倒的な差別化ポイントであり、それにより声優イベントへの対応も考えられそうです。

次に弱みの整理です。
今回のポイントはライバルに絶対に勝てないものを整理しました。

〈弱み
・アイドルにはなれない(若さとスペックの不足)
・演技力、実力
・実績

特にアイドルとしては生まれ持った愛らしいルックスポテンシャルも若さもないのでアイドル声優を求める場ではコテンパンにされることが予想されます。
演技力、実力、実績は声優ではないのでしょうがありませんが、やはりオーディション突破に対して足を引っ張る項目でしょう。
ここから見えてくるのはアイドルを求める場には絶対に出ないことと、演技力・実力実績を凌駕する別スキルの提供だと考えました。

凌駕する別スキルは、おそらくイベントにおける歴史トーク対応。そしてご当地キャラ運営であるという意外性ではないかと考えました。

オーディション挑戦予定のアニメに受かっている声優の傾向と、周辺ビジネスの調査

次にオーディションを受けるアニメですでにわかっている情報の調査です。
例えば調べたのは以下の項目です。

・アイドル声優中心であるのか
・演技素人のポテンシャル採用の有無
・声優のその後の売り方(イベント対応や歌の発表など)

上記を調べることで、どのような人物が受かりやすいか、アイドル声優以外の枠はあるのか、私のような演技素人色物枠でも突破できるのかを検討することができます。

特に昨今はアイドル声優が求められるので、アイドルのポテンシャルが0の場合は色物枠があるかを調査する必要があります。
この時に前作でのイベント開催情報をみつけたので、バックグラウンドによるイベント対応力をアピールできればワンチャンあるのではないかと考えました。
確実にアイドル声優を当てるキャラを外して、歴史ネタと親和性が高いキャラクターを受ければ一次突破の可能性が見えてきました。

審査員の調査

次に行ったのは審査員の調査です。どのような人たちが審査を行うかはとても重要です。
アイドルプロデューサーのような方が審査員に多ければ、アイドルのポテンシャル0の私の勝率は低くなります。
声優事務所の方が審査員に多ければ、年齢も高く、演技素人の私は伸び代が少ないと捉えられ、目もかけてもらえないでしょう。

しかし今回のオーディションの審査員には作者も入っていました。ご当地キャラクターをやっている身としては、作者の思考はかぶる部分があるのではないかと考え、深堀っていくことにしました。

私はクリエイターとしてはキャラクターが仕上がってる段階で、声が聞こえているタイプです。
キャラクターがしゃべり、笑い、わちゃわちゃしはじめてはじめてデザインが出来上がります。(声が完璧に出来上がっているキャラとふわっとしているキャラはいますが)
このアニメの作者がわたしと同じタイプであったと仮定すると、すでに頭の中に声を含めてキャラクターイメージが出来上がっているのです。

では、この作者の頭の中で出来上がっているイメージを垣間見ることができるものはないでしょうか。
今回の作品は運良く、海外作品であったために本国で放送されたものがありました。そこから自分の声質に似ているキャラクターを探していきました

そうすると、アイドル声優以外でもアサインされる可能性があり、自分の声をさほど変えずに通過できる可能性があるキャラクターがいくつか見えてきます

ちなみにさらっと流しましたが、アイドル声優以外でもアサインされる可能性があるというのはキャラクター別の募集要項から読み解いています。
また、声質が似ているキャラクターを探した理由は、声優としてのスキル不足のためです。様々な声を出すことは難しいため、自分の声に近いキャラクターを探しました。

大事なのは「なぜ私がそのキャラクターを演じる必要があるのか」伝えること

最後に書類の記載内容です。アピールポイントを考えていきましょう。
ここでは声優を目指す人たちを調査しました。

ここでは公開オーディションの投稿や、その他声優になりたい子たちの思いを見れるものを見ながら調査していきました。

声優オーディション初心者としては、どのようなアピールポイントを書けば差別化できるかを考えていく必要があったからです。

ここから見えてくるものアピールで多かったのは「みんなにxxを伝えられる声優になるのが夢です。精一杯頑張ります!」というもの。
ニュアンスは様々ですが、多くの人が夢を語り、頑張りをアピールしているように見えました。

まず前提として、私にとって頑張ることは当たり前であり、それはアピールポイントとしては別のものを設定した方がいいと思いました。
それに「頑張ります!」という言葉は、若ければ未知数のポテンシャルを伝えるという意味では意味をなすとは思いますが、ただのアラサーデザイナーがそんなことをいえば「今から頑張るの?」「何で声優になろうと思ったの?」「その年齢だとただ頑張るだけじゃ難しくない?」と聞かれることは必至です。

そこで考えたのは、作者だったらどういった人を声優にアサインしたいかです。
私が作者だったら考えるのは二つです。

・キャラクターとの親和性
・キャラクターを愛してくれるか

親和性はバックグラウンドの共通点や、強みである歴史好きに絡められるものを。
キャラクターを愛してくれるかは、自分を選んでくれればこのキャラのために何できるかなどを強みから当てはめました。
今回の場合はイベントトーク対応が出来そうな雰囲気を出したり、デザインアウトプットとの親和性の高さもアピールすることにしました。

この二つをうまく融合させ、私がそのキャラクターを演じるべき理由をアピールポイントに記載することにしました。

こうして演技素人のアラサーデザイナーがアニメオーディションの一次審査を勝ち抜いた

こうして考え抜いた戦略が功を奏したのか....は定かではありませんが、審査員の記憶に残ることに成功し、無事に一次審査を突破しました。
本当は次のステージのオーディションにも参加したかったのですが、ご時世的になかなか外に出れずに諦めることになってしまいましたが、非常に良い経験になりました。

このようなデザイン思考を応用して声優オーディションに挑戦する人も珍しいと思いますので、一事例として誰かのお役にたてれば。

最後に文中に出てきた、私が運営中のご当地キャラクターも声優募集しておりますのでご興味があればぜひ!
https://koganyanko.com/actors_recruitment

※募集キャラクターは随時更新されていきます。
※基本は友人知人から募集しています。繋がりがない方はまずは連絡をいただくか、共通の友人を探していただけると幸いです。

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