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東京

全部が高くそびえ立って見えた
降り立ったこの土地で1人でたくましく生きていこうと思った

ズルッ

足を取られる
黒い穴、蟻地獄みたいにじわじわと吸い込まれていく
あれ?これ気持ちいいかも

まとわりついて入り込んでくる「それ」は
私にあいた穴という穴を埋めてくれた
スースーする場所が、じんわりとあたたまったような気がした

「それ」はニコニコしながら代償を要求した
不安、孤独、寂しさ、虚しさを埋める代わりに
最初はお金、それから健康、時間、可能性

身体がだんだん重くなって
足が前に出せなくなって
ふらふらと進む
穏やかな湯船のように私を包み込んでいた「それ」は
まとわりついて次第に鼻も口も塞いでしまった

どうやって息をしていたんだっけ
くるしい
涙と鼻水
押し出そうとしている、防衛反応
心地いいと思っていたのに
くらくらして
気持ち悪い

もういらない、、、
もういらない!!!

うええ
おえええええええ

ビチャッビチャビチャ


・・・・・・・・・・・・・・・・・

目が覚めたら随分歳をとっていた

玉手箱を開けたわけじゃないのに

…あぁそっか、竜宮城は玉手箱の中にあったんだ

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