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わすれたくない、きもちをつづる

夏休みに入り
気の緩みからか
風邪をひいた。

病休をもらい
ゆっくりやすみねむり
ちょっと症状がマシになったので
ソファに横たわりながら、

「52ヘルツのクジラたち」
の頁をゆっくり繰る。

本屋大賞にも選ばれただけあって
重い題材なのにさらっとしていて
読みやすい。

けれどわたしには
好きになれない作品だった。

なんだろうな。
登場人物たちに
苛立ちを感じてしまう。

どこか自分と似ている部分があって。
無意識に自分と重ね合わせて。

現実で上手くいかなかった部分を
本を読むことで昇華したいのに
できないからかもしれない。



そんな苛立ちも
町田そのこさんのインタビュー記事を読むと
ちょっと違った感情に変わった。

作家を目指す前、28歳の時は自分がすごく空っぽでした。学歴も資格もなくて、身につけておいた方がいいものをほとんど持っていない。

たくさん遠回りしてきたことは、結果的にどれも役立っています。ポジティブすぎるかもしれませんが、自分が空っぽだった時期ですら、その虚しさも、今では大事にしようと思えています

私は今、結果的に作家になれましたけど『たとえ作家になれなくても、書き続けていれば満足して死んでいけたんじゃないかな』と思っていました。せめて人生に1本でも芯が通っていたい。作家を目指すという芯をもう二度と消してはいけないと思っていました。そうであれば『後悔はなく死ねる』と。

町田さんにも
からっぽな時期があって
それを大事にできているからこそ
こんな絶妙な表現ができるのかと
腑に落ちた。

作品を好きになるのには時間がかかるかもしれない。

それ以上に
町田さん自身の考え方や生き方に
惚れ込んでしまった。
人として憧れる。

正直今は、
フィリピンに滞在しているだけの
中身のない28歳ではあるが。

町田さんが仰る「芯」を忘れず
からっぽな28歳をも愛せるように
毎日少しずつ頑張りたい。

そしてそんな
からっぽな28歳を
見守ってくれる人たちの言葉を
忘れずに心に留めておきたい。

「たった一度の言葉を永遠のダイヤに変えて、それを抱きしめて生きているひとだっているという。」

「52ヘルツのクジラたち」町田そのこ


“行動に移せる、移せないの間にはとてつもない壁があるからあなたの輝きは群をぬいている。世界を見聞きするだけで重い経験値が確実に体に刻まれると思うので、そこは間違いなく、今気付けなかったとしても後々の財産になる。”


以上

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