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最新トレンド...? ベヨネッタ眼鏡は流行るのか

縦幅の浅いナロースタイルの人気が、いよいよ本格化しそうなムードだ。

40代より上の世代には、リアルに懐かしい横長フォルム。実際このサムネイル画像のフレームは、20年程前に購入した私物である。う~ん、今見ると驚くほどに細長い。じつはこの横長なナロースタイルが、ここ最近になって実際のスタイルサンプルとともに取り上げられる機会が増えているのだ。

『madame FIGARO.jp』
セクシーセクレタリーの流行を受け、「ベヨネッタ」メガネが人気に。
『Harper's BAZAAR JP』
IVEレイやNewJeansへインも夢中!
細長いスクエア型のアイウェア“ベヨネッタメガネ”に注目

『WWD』
ダサくすればする程イケてる“ギークシック”って何?

上記のフィガロやハーパスバザーの記事によると、縦幅浅めのスクエアモデルのことを、「ベヨネッタ」スタイルというらしい。日本の眼鏡業界ではあまり聞きなれない呼び名だが、これはゲームのキャラクターが掛けている眼鏡に由来しているとのこと。

そもそもこの横長スクエアは、Y2Kファッションのトレンドを受け、1昨年ぐらいからメゾンブランドのサングラスでよく見かけるようになった。昨年CREA WEBにてサングラスの企画を担当させてもらったときにも、トレンドのひとつとして「ナロースタイル」を取り上げている。

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その人気が、ついに眼鏡にまで波及してきたということなのかもしれない。

なぜ今人気に?

なぜこのスタイルが注目されるようになったのか? その理由に、フィガロとWWDの記事ではMIU MIUのランウェイを取り上げている。

ミュウミュウ 2023-24年秋冬コレクション(FASHION PRESS)
ナローなオーバルフレームが印象的。
MIU MIU 2024年春夏コレクション (FASHION SNAP)
スクエア系のブロウフレームが目立つ。

2023-2024AWに見られるナローなオーバルフレームは、実際にサングラスで取り入れている人がじわじわ増えているように思う。昨秋の展示会で見たなかだと、EYEVAN 7285のメタルフレームが印象的だった。

EYEVAN 7285「197」。サングラスと眼鏡の展開がある。ぶら下がっているのはタグです…。

2024SSのランウェイで見られるブロウフレームは、「ベヨネッタ」と呼ぶには少々縦幅が深いように思うが、日本の眼鏡ブランドの展示会ではこれぐらいのサイズ感が多く見られた。昭和の紳士が掛けていたような少々お堅い印象のスクエアフレームは、掛けやすくも新鮮味があり、ボストン・ウェリントンから乗り換えとして人気が出そうだなと感じた(今ならパリジャンも良いけど、スクエアのほうがさらに変化が出るよね)。

TAYLOR WITH RESPECTの「dork」(上)と「dweeb」(下)。

そう。ウェリントンやボストンの広い視界に慣れてしまった私たちは、いきなりレンズの縦幅が3㎝にも満たないような細長いフレームを掛けると、見た目と視界の違和感が拭えない。それゆえ、上写真のようなスクエアが今はリアルな選択のように私は考えている。

予想もしていなかったリムレス人気

一方で、同じ“ベヨネッタ”眼鏡としてハーパスバザーの記事で紹介されているリムレスは、たしかに横長気味のシェイプではあるのだけど、こちらは少し文脈が違うのかなと個人的には感じている。そもそも、同じナローシェイプでも、プラスチックとリムレスでは、掛けたときの印象がまったく違う。また、プラスチックのナローシェイプがメゾンブランドなどの打ち出しから火がついたのに対し、このリムレスのトレンドは、韓国の人気ガールズグループが発祥だと思われるからだ(下のInstagramの写真はIVEの日本人メンバー、レイさん)。

従来無難な選択として選ばれがちなリムレスを、いわゆる“今どき”なタレントさんが掛けている姿には正直驚いた。カジュアルなスタイルに、あえて生真面目にも見えるリムレスを掛けるスタイリングがとっても新鮮で。調べたところこのレイさんのフレームはクロムハーツのものであるという情報もあり、重厚でソリッドな質感が良い意味でのハズしとしてさらに効いているように思う。

眼鏡業界では5~6年前ぐらいにリムレスが増えたことはあったけれど、それはボストンやラウンドなどクラシカルなスタイルがメインだったし、女性にはさほど浸透しなかった。それに、こうしたナローなスクエアのリムレスは、近年の展示会でほとんど目にしてこなかったので(普段からリムレスが定番のところを除いて)、この流れにはちょっと驚いている。いよいよ、ブームがくるのだろうか。

だとしたら、大手チェーンなどは無視できない流れになるだろう。ただしリムレスは加工が難しいこともあり、敬遠されがちだ。もしかしたら、アパレルブランドなどが、ダテ眼鏡やサングラスとして打ち出したりするのかもしれない。

(ちなみに、近年印象に残っているリムレスといえばKUMORAUMのこちらでしょう。ブリッジやヨロイが精巧な歯車になっているのがたまらない)

ナローシェイプの流れは確実にやってくる

というわけで、これらの流れを踏まえると、リムレスにしても、メタルやプラスチックにしても、これから確実に縦幅(天地幅)の浅いデザインは増えていくだろう。

ただ、現在は細長いものが打ち出されると同時に、トゥーマッチに感じられるぐらいのビッグシェイプもトレンドになっているのが興味深い。さらに、これまで長らく人気だったボストンシェイプから直線的なスクエアシェイプに人気が移る一方で、丸みのあるオーバルも増えてきているわけで。

ビッグシェイプは、これぐらいの大きさが気分?

各ブランドの打ち出しが多様になり、日本において長らく続いたボストン・ウェリントンのトレンドから少し変化が見られそうなことは確かだ(もちろん、定番のスタイルとして続くとは思うけれど)。いや、海外ブランドからの打ち出しは、もっと前から変化があったはずで。大手ショップをはじめ、店頭の品揃えにどんな変化が出てくるのか、チェックしていきたい。

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