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【20ヶ国108社】フェムテック④女性特有の病気や症状の検査・治療後のサポートを行う6ヶ国13社のスタートアップ

2020年、世界の女性の乳がん患者数が肺がん患者数を上回り、がんの全症例に占める割合で最多になったと発表されました。

がんのなかでも乳がんは、日本女性がかかる割合がトップであり、その罹患率は増加の一途をたどっています。

日本女性における乳がんの年齢調整罹患率・死亡率の推移

https://bit.ly/3IzgdXC

日本ではマンモグラフィ検査による乳がん検診は放射線被ばくの議論もあり、現時点では40歳以上に推奨されているため、若年層は特に乳がんの早期発見が難しく、病状が進んだ状態で診断されることが多くなっています。一方で、乳がんは早期発見・治療を行えば、生存率が高いがんだとも言われています。

このような状況を鑑み、世界では乳がんの早期発見を助ける装置などが開発されています。またその他の女性特有の症状に関しても、もっと簡単に検査できるようにする仕組みが提供され始めています。

このnoteでは、女性特有の病気や症状の検査・治療後のサポートを行う日本、アメリカ、メキシコ、イギリス、タイ、フランスの6ヶ国13社のスタートアップをご紹介します。

株式会社Lily MedTech (日本)

【創業】2016年5月
【調達】Series C
【プログラム採択】Plug and Play Japan Insurtech Batch 2

東京大学医学系研究科・工学系研究科での医用超音波技術を基にした、リング型超音波振動子を用いた革新的な乳がん用画像診断装置「リングエコー」を開発している東京大学発のスタートアップです。2020年には「研究開発型スタートアップ支援事業/ Product Commercialization Alliance(PCA)」に採択され約2.4億円の助成対象に決定しました。

Vitalogue Health (日本)

【創業】2020年4月
【調達】Seed

自己採血により、自分で自分のホルモンを検査できるサービス「canvas」を提供しています。PMSや生理痛、妊娠、更年期と、女性は一生を通して、ホルモンに大きな影響を受けて生きています。生理周期などによるホルモンの変化について知ることで、ライフスタイルやキャリアプランの選択肢を自ら選び、変えていく人を増やしたい、という想いで誕生したサービスです。

https://bit.ly/3IsxO3n

アボワールインターナショナル株式会社 (日本)

【創業】2017年2月

乳がん患者用シリコンパッドの開発を行っています。創業者の中村真由美さんはご自身が、乳がんを経験した際に、治療中や乳房再建術後に利用できる乳がん専用下着はほとんど選択肢がないことに気が付き、おしゃれな乳がん専用下着を作るため起業しました。

https://bit.ly/3pDoO2B

CureMetrix (アメリカ)

【創業】2014年
【調達】Series A

La Jolla, Californiaを拠点とするCureMetrixのcmAssist AI技術は、撮影後のマンモグラムに潜在する異常を、放射線科医がハイライト、マーク、スコアリングするためのツールとして機能します。乳がんを含む多くのがんの早期発見を助けます。特に乳がんに関しては、ヘルスケア製品・医療関連機器を中心とする電気機器関連機器メーカーPhilipsと契約を締結し、共に乳がんと闘っていくことを表明しています。

Scanwell Health (アメリカ)

【創業】2018年
【調達】Seedで$3.5M (2019年11月)

Los Angeles, Californiaを拠点とし、女性の5人に1人がなると言われている尿路感染症(UTI)を対象にしたサービスを展開しています。自宅にいながら、臨床レベルの検査を可能にし、検査結果が出たら、スマートフォンを介して遠隔医療機関に直接接続し、治療のための処方箋を受け取ることができます。直近では、FDAを取得し、Amazonでの検査キットの販売も開始しました。

https://bit.ly/3oEDu2q

Welwaze (アメリカ)

【創業】2016年
【調達】Seed

Miami, Floridaを拠点とし、乳がんをはじめとする乳房疾患の早期発見をサポートするためにCelbrea®を開発しています。Celbrea®(セルブレア)は、FDA(米国食品医薬品局)の認可を受けたクラスI医療機器で、痛みを伴わず、使いやすく、わずか15分で医師や患者に潜在的な乳房の病変を知らせることができるプロダクトです。

https://bit.ly/3lO03zK

Gabbi (アメリカ)

【創業】2019年1月
【調達】Seedで$1M (2021年6月)

Portland, Oregonを拠点とし、人工知能を用いて女性の向こう2年間の乳がんリスクを予測するGabbi Risk Assessment Model (GRAM)を開発しています。現在、米国では毎年、38,000人の女性が診断の遅れにより乳がんで亡くなっています。これは尊い命を奪うだけでなく、金銭的にも大きな負担となっています。毎年、患者は、診断の遅れとそれに伴う医療費のために1,630億ドルを支払っていると言われています。Gabbiは、命を救い、患者の金銭的負担を減らすことで、以上2つの問題を解決することを目指しています。今後は、乳がんに加えて、子宮内膜症や多嚢胞性卵巣症候群など、予防可能な他のがんにも取り組んでいくそうです。

https://bit.ly/31NzP9v

Celmatix (アメリカ)

【創業】2009年
【調達】合計$53.7M (約61億500万円)

New Yorkを拠点とし、女性の3人に1人が経験すると言われる卵巣不全の前臨床段階のバイオテクノロジーを開発しています。

Eva (メキシコ)

【創業】2015年
【調達】合計$14.3M (約16億2500万円)

Mexico City, Distrito Federalを拠点とし、乳がんを非侵襲的に検出するウェアラブルデバイスを開発しています。センサーを搭載したブラジャー型のデバイスを開発しており、人工知能アルゴリズムを用いて乳がんに関連する異常を検出します。

https://bit.ly/3lRgKKz

10 Kheiron (イギリス)

【創業】2016年
【調達】合計$22.3M (約25億3500万円)

London, Englandを拠点とし、人工知能を活用した乳がんスクリーニング製品Miaを開発しています。Mammography Intelligent Assessmentを意味するMia®は、乳がん検診のための画期的なAIプラットフォームです。Miaは、放射線技師や検診機関が自信を持って、正確でタイムリーな結果を、女性に提供することを可能にしています。

https://bit.ly/3DEVH47

11 iPlaySafe App (イギリス)

【創業】2019年

London, Englandを拠点とし、安全な方法で性的健康状態を追跡し、他者と共有することができる医療アプリ「iPlaySafe」を開発しています。性病の有無など性的健康状態を追跡、共有することで、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で起こる子宮頸がんなどを防ぎます。

12 YesMom (タイ)

【創業】2017年2月

Bangkok, Krung Thepを拠点とし、女性が自宅でできる不妊症のホルモン検査を提供しています。さらに、ホルモン検査の結果を活用し、性と生殖に関する健康についての、個人に合わせた情報を提供しています。今後発売される家庭用診断キットは、不妊症スクリーニングを行うほか、遠隔医療をサポートします。

https://bit.ly/3dzjvMg

13 Lattice Medical (フランス)

【創業】2017年10月
【調達】合計 €2.3M (約2億9000万円)

Loos, Nord-Pas-de-Calaisを拠点とし、バイオエンジニアリングを用いて乳がん生存者の治療を行っています。統計的には、女性の40%が乳がん治療のために乳房切除術を受けますが、そのうち乳房再建を受けるのは14%に過ぎません。そこで、乳房再建をより簡単にするため、バイオプロテーゼ「Matisee」の開発を始めました。「Matisee」は、3Dプリントされた生体材料で構成されており、脂肪組織の再生により自然な乳房の再建を可能にします。

https://bit.ly/3Ez3IJ3

フェムテックシリーズ紹介

フェムテックシリーズでは、世界20ヶ国のフェムテックスタートアップ108社を解決に取り組んでいる問題別に11のカテゴリーに分類し、ご紹介しています。

①不妊治療に関する課題に取り組む6ヶ国18社のスタートアップ

②生理に関する課題に取り組む9ヶ国17社のスタートアップ

③女性用eコマースに関する6ヶ国10社のスタートアップ

④女性特有の病気や症状の検査・治療後のサポートを行う6ヶ国13社のスタートアップ

⑤更年期に関する課題の解決に取り組む3ヶ国8社のスタートアップ

⑥妊娠中の女性をサポートする4ヶ国6社のスタートアップ

⑦女性の栄養管理を助ける3ヶ国6社のスタートアップ

⑧オンライン診療のニーズに応える5ヶ国11社のスタートアップ

⑨産後・子育て期の女性を支える5ヶ国10社のスタートアップ

⑩避妊を助ける5ヶ国5社のスタートアップ

⑪失禁に関するお悩みを解決する4ヶ国4社のスタートアップ

気になるテーマのnoteを引き続きお楽しみください!

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