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総合型選抜って何?一般選抜・学校推薦型選抜との違いや仕組み、対策について解説

こんにちは、みらぴか認定サポーターをしている松田剛典です。 普段は、大学や高校でキャリアに関する授業をしています。実際にいろんな高校や大学に訪問する中で気づいた高校や大学のリアルについてコラムを書いていきます。 

そもそも大学の入試って今どうなっているの?

今回は大学の入試のの今について解説をしていきます。一部の国公立大学を除き、今は多くの学校が一般推薦や総合型選抜で学生の定員確保をしています。選ぶ学校によって入試の戦略が全く違うことに注意が必要です。


総合型選抜は、現在の代表的な大学入試方式の一つです。以前は「AO入試」と呼ばれていましたが、大学入試改革により2020年度から「総合型選抜」へと変更されました。

AO入試から総合型選抜への変更は、「単に名称が変わっただけ」ではありません。優秀で多様な人材を確実に獲得するため、選考基準や選考方法などが見直されています。

社会構造の急激な変化の中で進む入試改革

IT化やグローバル化、少子高齢化などの影響で社会構造が急速に変化するなか、従来の教育制度では時代に適応した人材育成が困難になってきました。そこで政府では2012年から、大学入学者選抜改革を含む「高大接続改革」(高校教育から大学入試、大学教育が一体となった教育改革)についての議論が継続的に行われています。

この教育改革の目的は、社会で自立的に活動するために必要な「学力の三要素」を確実に育成・評価することにあります。

「学力の三要素」とは、①「知識・技能」②「思考力、判断力、表現力」③「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」の3要素を指し、「学校教育において重視すべき三要素」として学校教育法第30条第2項に定められているものです。

 一連の教育改革によって、旧「センター試験」を廃し、2022年からは新たに「大学入学共通テスト」が実施されることになりました。

総合型選抜って何?

総合型選抜は、大学の求める人物像を定めた方針(=アドミッション・ポリシー)にマッチした学生を採用する目的で実施される大学入試方式です。2020年まで「AO入試」の名称で実施されていました。

書類選考や面接、小論文のほか、大学によって多様な選考方法が設定されます。
なお、そのほかの代表的な大学入試方式として「一般選抜」「学校推薦型選抜」があります。

総合型選抜は学力も評価の対象

総合型選抜では、評価方法として「小論文等、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等」あるいは大学入学共通テストを活用するよう規定されています。

私立大学の総合型選抜実施率は90%超

私立大学の総合型選抜実施率は高く、令和4年度実績では90%を超えています。

さらに令和4年の総合型選抜からの入学者数は15.7%となっており、総合型選抜の合格者が年々増加しています。

国公立大学でも総合型選抜の実施数は増加傾向

旧AO入試は私立大学の多くで実施されるものでしたが、近年は国公立大学でも幅広く導入されています。
 
文部科学省が2022年10月に公開したデータによると、国公立大学の58.4%が総合型選抜を実施すると回答しました。この結果は過去最多となっています。

国立大学協会では、国立大学全体として総合型選抜・学校推薦型選抜の占める割合を「入学定員の30%とする」ことを目標に掲げており、総合型選抜を実施する国立大学は今後さらに増加することが予想されます。

一般選抜・学校推薦型選抜との違い

一般選抜は昔の「一般入試」のことで、主に学力検査の得点によって合否が決まります。

学校推薦型選抜は、出身校の推薦を受けて出願する入試方式で、昔の「推薦入試」の一つです。大学側が高校を指定して合格枠を設けるものなので、校内選考に残り出願できれば、合格率がかなり高いのが特徴です。

 一方の総合型選抜は、出願条件を満たせば応募でき、個人の持つ特別な能力や強み、個性を配慮して一人ひとりの能力を丁寧に評価されます。

総合型選抜の仕組み

2020年度より始まった総合型選抜は、一般選抜・学校推薦型選抜とさまざまな点で仕組みが異なります。大学によっても選考方法も異なるので、志望大学が総合型選抜をどのように実施するか確認しておきましょう。

総合型選抜の選考方法

総合型選抜は、一人ひとりを丁寧に評価するためにさまざまな選考方法が実施されます。

多くの大学では書類審査・小論文・面接が実施されますが、そのほかにも以下のような選考が実施されることがあります。

 ●   実技試験
 ●   体験授業(セミナー)
 ●   プレゼンテーション
 ●   グループディスカッション

これに加え、一定水準の学力を評価する目的で、大学入学共通テストを必須化するところも増えています。

例として、ある国立大学のの総合型選抜を見てみましょう。

出願条件として
●   高等学校在学中又は中等教育学校4~6年次での特筆すべき活動を証明する書類を提出」
●   大学入学共通テストで5教科8科目の受験
が定められています。

以下は大学入学共通テストの受験科目の一例です。
 
  国語、
  世界史B、日本史B、地理B /「倫理・政治・経済」から2つ選択
  物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎から2つ選択
  (数学I・数学A)と(数学Ⅱ・数学B)の2つ
  英語(リスニング含む)、ドイツ語、フランス語、中国語、韓国語から1つ選択
 
第1次選考に合格すると、第2次選考として小論文と面接が実施されます。これに加え、大学入学共通テストの成績と提出書類の結果を総合的に判断して合否が確定します。

出願と合格発表の時期

文部科学省では、総合型選抜の出願時期は9月以降、合格発表時期は11月以降と定められています。

大学によって時期はそれぞれ異なりますが、学校推薦型選抜よりも早い時期に始まり、年内には合否が確定するところが多い傾向です。

総合型選抜への対策

総合型選抜への対策は、一般選抜や学校推薦型選抜と異なります。学生一人ひとりの個性をしっかりと見たうえで評価する仕組みなので、高校の成績や生活態度に気を付けましょう。

早いタイミングで情報収集を行い、志望校を確定する

総合型選抜の選考方法は大学によって異なるため、早めに情報収集を行い、高校1~2年の早いタイミングで志望校を確定することが大切です。

志望校が確定したら、関連する資料を読んだり行事に参加するなど、大学に関する理解を深めましょう。以下は大学の理解を深めるための一例です。

●   大学のアドミッション・ポリシーをしっかり読み込む
●   大学にどのような学部があって、どのような研究がなされているかを調べる
●   オープンキャンパスに参加する

授業にしっかり望み、一定の成績を維持する

多くの大学では、総合型選抜の出願条件として学習成績の状況(評定平均)や調査書の提出を義務付けています。つまり、高校における定期テストなどの得点や生活態度も評価対象になるということです。

どれほど成績が良くても遅刻や欠席を繰り返していれば、調査書の評価は下がってしまいます。授業やテストにしっかり臨み、生活態度にも気を配る必要があります。

学内外で取り組んだ活動実績を記録に残す

総合型選抜の提出書類として、学内外で取り組んだ活動実績を提出するよう求めるところもあります。 

部活やボランティア活動など、授業以外のさまざまな活動に積極的に取り組み、見える形で記録を残しておくと役立ちます。活動実績を記録として残す際には、日付や場所、取り組んだ内容などを忘れずにメモしておきましょう。

まとめ|総合型選抜の仕組みを理解し、子どもに合った入試方式を検討しよう

総合型選抜は、大学の定める方針にマッチした学生を採用するための大学入試方式です。

AO入試とは異なり学力も評価対象になりますが、一人ひとりの学力や個性、特徴をアピールできる場であり、多くの人にチャンスがあります。大学によってさまざまな選考方法が導入されているので、子どもの特徴や強みに合った入試方式を検討するとよいでしょう。

今回の記事がキャリア支援の現場を知り、あなたのキャリアプランの参考になれば幸いです。

また、「こんなこと知りたい」ということがあれば気軽にコメントいただけましたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

著者プロフィール 松田剛典
一般社団法人キャリアラボ 代表理事 https://kokoswitch.com
株式会社みらぴか 代表取締役 https://mirapika.jp 
ツイッター:https://twitter.com/goten_m
株式会社ベネッセコーポレーションで高校生の進路選択の部署に配属。全国の高校の進路相談会の運営や入試判定業務などに携わる。人材紹介会社の大阪責任者をを経て独立。キャリア支援の仕事を始めて約20年目。複数の大学でキャリアデザイン講座の講師をしながら、北海度から九州まで全国の高校大学を訪問する実践型キャリア支援家。年間3000件前後の面談と、5000件前後のキャリア講座を運営。
2023年保護者向けオンライン相談サービス「みらぴか」をリリース
著書:「はじめての課題解決型プロジェクト」ミネルヴァ書房

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