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学校推薦型選抜って何?選考方法やスケジュール、注意点について解説

こんにちは、みらぴか認定サポーターをしている松田剛典です。 普段は、大学や高校でキャリアに関する授業をしています。実際にいろんな高校や大学に訪問する中で気づいた高校や大学のリアルについてコラムを書いていきます。 
 
この記事では、学校推薦型選抜の概要や選考方法やスケジュールなどの仕組み、さらに注意点について詳しくご紹介します。
 
学校推薦型選抜は、一般選抜・総合型選抜とともに現在の一般的な大学入試方式です。保護者世代には、昔の名称である「推薦入試」のほうが馴染みが深いかもしれませんね。

出願には高校からの推薦が必要なうえ、評定平均など大学によってさまざまな条件が課されますが、早ければ年内に合否が確定するため、メリットも多い学校推薦型選抜。目指している人は、早い段階から情報収集と対策を行いましょう。

学校推薦型選抜って何?

学校推薦型選抜は、筆記試験が課される一般選抜や、昔のAO入試に当たる総合型選抜とは異なり、出身高校の校長から正式な推薦がなければ出願できないのが特徴です。一般的に、出願条件として評定平均や学内外における活動実績、外部外国語試験の実績(TOEFL)などが課されるため、誰でも受けられる入試方式ではありません。

私立大学の学校推薦型選抜入学者は4割超

文部科学省が公表した令和4年度の学校推薦型選抜入学者は、国立大学が全体の11.7%、公立大学が25.8%、私立大学が41.7%となっています。

出典:文部科学省「令和4年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」

特に私立大学で積極的に選考されており、少子高齢化のなかでも優秀な人材を獲得するため、大学によって多様な選抜方法が導入されているのが特徴です。

国公立大学でも学校推薦型選抜は拡大傾向

昔の推薦入試は主に私立大学で実施されていましたが、学校推薦型選抜は国公立大学でも多く導入されています。

出典:文部科学省「令和5年度入学者選抜について」

ただし、実施率は高くても簡単に出願できるものではない点には要注意です。国公立大学の学校推薦型選抜は募集人員が私立大学より少なく、出願条件として高い成績基準を設けていたり、大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)を課すところが多い傾向にあります。高校ごとに出願できる枠が限られているため、あらかじめ学内選考が行われるのが一般的で、実際に出願できるのは狭き門と言えます。

指定校制と公募制の2種類がある

学校推薦型選抜は、大学から指定された高校からしか出願できない「指定校制」と、応募要件を満たせばどの高校からでも出願できる「公募制」に分けられます。

指定校制推薦

指定校制推薦は、大学が高校を指定して出願枠を設ける選抜方式で、主に私立大学で実施されています。
高校3年間の成績や生活態度、学内外の活動実績などをもとに総合的に判断されます。大学から信頼を受けた高校のみが出願できるため、校内選考に勝ち残れば合格率がかなり高いのが特徴です。

公募制一般推薦

公募制一般推薦は、大学の求める評定平均などの基準を満たしていれば、高校を問わず出願できる選抜方式を言います。
全国のライバルと推薦枠を競わなければならないため、指定校制推薦とは異なり合格率はそれほど高くない点に注意が必要です。

公募制特別推薦

公募制特別推薦は、スポーツや文化・芸術などの分野で優れた能力を有している人のための特別枠です。
「スポーツ推薦」「課外活動推薦」「有資格者推薦」などがあり、大会や各種コンテストの出場歴、受賞歴などが評価されます。

学校推薦型選抜の仕組み

学校推薦型選抜を実施している学校の多くは、書類審査や小論文、面接などがメインで選考を行います。出願書類として評定平均などを示した成績の提示を求められるのが一般的ですが、学校によってはプレゼンテーションや口頭試問、資格の成績や共通テストを課すところもあります。

選考方法は書類審査や小論文・面接がメイン

学校推薦型選抜の選考方法は大学によってさまざまですが、書類審査や小論文・面接をメインにしているところが多い傾向にあります。一方、近年の教育改革で大学入試の仕組みが見直され、プレゼンテーションや口頭試問、実技、各教科・科目に関するテストや資格・検定試験の成績等を課す大学もあります。
 
例として、ある私立大学の選考は以下のようになっています。

  【出願資格】
  ・「教育と文化」に関するグローバル・ローカルな活動の実績
  ・英語能力を証明できる資格
  【第1次選考】
  ・出願書類をもとにした書類選考
  【第2次選考】
  ・筆記試験(小論文)
  ・口頭試問(自身の活動に関するプレゼンテーションを含む)

特に私立大学は選考方法がバリエーション豊かなのが特徴です。私立大学の学校推薦型選抜を狙うなら、早めに選考方法の傾向を調査して対策を立てましょう。

国公立大学では共通テストが課されるケースも

共通テストを学校推薦型選抜で生かそうという動きも高まっており、国公立大学では出願条件に課されているところも見られます。
たとえばある国立大学では、人文学部や教育学部、理学部など幅広い学部で共通テストが課されています。

学校推薦型選抜のスケジュール

学校推薦型選抜のスケジュールは、文部科学省のガイドラインで以下のように規定されています。

  出願開始:11月1日以降
  合格発表:12月1日以降
  参考:文部科学省「令和5年度大学入学者選抜実施要項」

私立大学の多くは年内に合格発表が行われるところが多い傾向です。一方の国公立大学は、一般的に年明けに合否が決定し、共通テストを課している大学は合格発表も遅くなります。同じ大学でも学部によってスケジュールが異なる場合があり、注意が必要です。

学校推薦型選抜での注意点

実際に学校推薦型選抜を目指す人が注意すべきポイントをまとめました。

出願条件に評定平均を定めるところが多い

学校推薦型選抜は出願書類や面接・小論文などで合否が決定しますが、出願条件として一定の評定平均を定めているのが一般的です。評点平均とは高校3年間の成績を平均化したもので、5段階評価で高いほど成績が良いことを示します。
つまり、高校においていかにいい成績をキープできるかが大きなカギを握ります。学校推薦型選抜を目指すなら高校1年の早いタイミングから授業に専念し、定期テストで点を取れるよう計画的に学習を進めましょう。

「専願」が条件の大学は入学辞退ができない

学校推薦型選抜には「専願」と「併願」があり、「専願」の大学は合格した場合必ず入学することが条件になっています。特に指定校制推薦の場合、大学が高校に対して推薦枠を設けるものなので、一度辞退してしまうと、翌年から枠がなくなってしまうこともあるため注意が必要です。

必ず合格するわけではない

指定校制推薦の合格率が高いと言われていますが、ほかの学校推薦型選抜は必ずしも高いわけではありません。そのため、もし不合格だった場合に備え、併願の大学をしっかりと検討しておくことが大切です。学校推薦型選抜が終わればすぐに一般選抜の時期に入るため、さまざまなケースを想定した受験スケジュールを立てましょう。

まとめ|学校推薦型選抜を狙うなら早いうちから対策を始めよう

学校推薦型選抜は、出身高校からの推薦を受けた人だけが出願できる大学入学方式で、書類選考や小論文、面接、共通テストなどによって合否が決定します。
とりわけ重要なのが評定平均で、高校3年間で好成績をキープできるかどうかがカギを握っています。
 
大学により選考方法もさまざまなので、しっかりと情報収集を行ったうえで、早いうちから対策を始めるとよいでしょう。
 
 
「こんなこと知りたい」ということがあれば気軽にコメントいただけましたら幸いです。最後までお読みいただきありがとうございました。

著者プロフィール 松田剛典
一般社団法人キャリアラボ 代表理事 https://kokoswitch.com
株式会社みらぴか 代表取締役 https://mirapika.jp 
X(旧Twitter):https://twitter.com/goten_m
株式会社ベネッセコーポレーションで高校生の進路選択の部署に配属。全国の高校の進路相談会の運営や入試判定業務などに携わる。人材紹介会社の大阪責任者をを経て独立。キャリア支援の仕事を始めて約20年目。複数の大学でキャリアデザイン講座の講師をしながら、北海度から九州まで全国の高校大学を訪問する実践型キャリア支援家。年間3000件前後の面談と、5000件前後のキャリア講座を運営。
2023年保護者向けオンライン相談サービス「みらぴか」をリリース
著書:「はじめての課題解決型プロジェクト」ミネルヴァ書房 

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